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 暗闇を恋しがる|痛みに酔っていた




今の私は、
人より恵まれているかもしれない。

穏やかで、優しい人がいる。

でも時々、懐かしむ。

辛かった頃。 

泣き崩れていた頃。

私は痛みに耐えていた。

そんな自分に、
どこか酔っていた。

傷ついている自分には、
価値がある気がした。

誰かのために苦しんでいる私は、
愛されている気がした。

連絡が来ない夜。

眠れないまま、
何度も画面を開いた。

たった一言でいい。

大丈夫。

会いたい。

そんな言葉を待っていた。

苦しかった。

本当に苦しかった。

でも、その苦しさがあるうちは、
まだ繋がっている気がした。

不安になるたびに、
相手を求めた。

相手を求めるたびに、
自分の気持ちの大きさを確認した。

愛しているから苦しい。

苦しいほど愛している。

いつの間にか私は、
そう思い込んでいた。

穏やかな愛は、
静かすぎて分からなかった。

待たなくていい夜。

疑わなくていい関係。

傷つかなくても続いていく毎日。

それは昔の私には、
どこか物足りなく感じた。

今の穏やかさが余計に、
私の記憶をかき乱す。

あの頃の私は、

痛みの中でしか、
自分の価値を感じられなかった。

幸せになった今でも、

時々、

あの痛みが恋しくなる。




痛みの中でしか、自分の価値を感じられなかった。
その前提は、どこで作られたんだろう。

▶ OSの女|Interlude|触れていない

▶ OSの断片|穴の中の怪物

▶ 全部、繋がっている。

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