夫の正体|プロポーズの言葉は、私が考えた。
結婚を考える頃には、もう暗闇を恋しがることはなくなっていた。
彼との生活は、いつもうまくいくことばかりじゃなかった。
それでも私たちなりに、
前に進んでいたと思う。
ただ、一向に彼は何も言ってこない。
私は合理的だ。
結婚する気がないのに、何年も付き合う意味がよく分からない。
ある日、痺れを切らした私は聞いた。
「私たち、いつ結婚するの?」
詰め寄ったのは私の方だった。
すると彼は言った。
「パートナーでもいいと思ってたけど」
私はすぐに反論した。
近くのスーパー、新婚さんは5%引きだよ。
病気になった時は手術の同意書にサインしてほしい。
他にも色々プレゼンした気がする。
彼は前のめりではなかったけれど、
最終的には同意してくれた。
でも、それで終わりではなかった。
私はどうしても、プロポーズをしてほしかった。
「いや、そういうのは……」
彼は嫌そうだった。
仕方がないので、私が言葉を考えた。
そして私の後に続いて言ってもらった。
こうして私たちは、無事にプロポーズを終えた。
今思うと、少し変だった。
でも、あれも私たちらしかった。
夫は今でも、自分からはあまり言わない。
だからたぶん、
もう一度やっても同じだと思う。
私が言葉を考えて、
彼が復唱する。
それでもちゃんと、夫婦になった。
▶︎喧嘩の夜のあとに、
私たちは少しずつ話せるようになった。
