夫の正体|夫の鶏ハムに、いつの間にか塩麹を塗っていた。
私は家事が苦手。でもコミュ力は負けない。
彼は家事が大得意。でもコミュ力はそこそこ。
私はご飯を作るのだけが唯一苦手じゃなくて、
美味しいものを作りたいと思ってる。
でも彼は食べれれば何でも良い人で、
とにかく作り甲斐がない。
なに食べたいと聞いても答えられない。
ここは彼が自分の主張ができない人だから、
仕方がないのだけれど。
作ってもまず第一声、
美味しいとか、
気の利いたことはあまり言えない。
一応本人は美味しいと思ってるらしいけど、
言ってもらわないと。
私はだんだん、やりがいを感じなくなった。
ある夜、
彼が低温調理器で、鶏ハムを4枚仕込んでた。
彼は独身時代、
毎日、お昼と夜に鶏ハムを食べていた。
その習慣は、今のお弁当でも健在。
昼はそれに卵とブロッコリー。
いわゆる筋トレ飯。
その日の夜は、余った鶏ハムを拝借した。
あ、そういうことか、これでいいんだ。
それから私たちは、
毎日同じものを食べることに決めた。
彼が食べていた、
納豆、豆腐、キムチ、鶏ハムを食べる。
ついでにお弁当も同じにした。
朝ごはんのついでに、
彼が作って冷蔵庫にそっと置いておく。
そのうち私の方がこだわり出した。
きちんと筋を取り、塩麹につけて柔らかくし、
彼の昼と私の昼と夜を1週間分。
3サイズのタッパーに全部分けて。
いつの間にか週末の手仕事になっていた。
食べたいものがある時だけ、
作ったり、外食する。
それだけでいい。それがいい。
今日も鶏ハムと、
何より好きなハイボールを一緒に。
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