MVP ESSAYS|人はなぜ、自分の立ち位置を確認し続けるのか - 宇宙船の姿勢制御から見える、人間の思考

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人はなぜ、自分の立ち位置を確認し続けるのか
宇宙船の姿勢制御から見える、人間の思考
宇宙船は、一度姿勢を決めたら、そのまま飛び続けるわけではない。
宇宙空間には空気がない。
一見、何も影響を受けないように思えるが実際には違う。
太陽光圧、重力、機器の振動、燃料噴射。
目には見えないほど小さな力が、少しずつ宇宙船の向きを変えていく。
そのため宇宙船は、自分の姿勢を絶えず観測し、必要最小限の補正を繰り返している。
姿勢を維持するとは、動かないことではない。
動き続けながら、目的の方向を見失わないことなのである。
ここで私は、人間も同じではないかと思った。
私たちは「 自分 」というものを持っているように感じている。
しかし実際には、環境、人間関係、情報、感情、経験。
毎日無数の外乱を受けながら生きている。
それでも私たちは、「 私は今どこに立っているのか。」
を確認し続けている。
大事なのは、立ち位置を変えないことではない。
新しい知識を得れば考えは変わる。
新しい経験をすれば価値観も変わる。
変わること自体は自然であり、むしろ必要なことである。
問題なのは、なぜ変わったのかが、自分でも分からなくなることだ。
私は AI と対話するとき、AI に同意してほしいとは思わない。
むしろ、AI には独立した判断をしてほしい。
なぜなら、一致しても食い違っても、どちらも私にとって現在位置を確認するための観測になるからだ。
AI は答えを教える存在ではなく、私にとっては姿勢センサーなのである。
宇宙船は、目的地を変えないために姿勢を更新し続ける。
人間もまた、自分らしさを守るために変わり続ける。
一見すると矛盾しているようだが、実は同じ構造なのではないだろうか。
一貫性とは、変わらないことではない。
一貫した軸を持ちながら、理由を持って更新し続けることである。

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