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“受注できない”が7割の年──建設業2026年問題、人を増やす前の一手

建設業界でこの春から「2026年問題」という言葉をよく聞くようになりました。日本経済新聞の調査では、大手・中堅の建設会社の約7割が「2026年度内は大型工事を新規受注できない」と見ている、というニュースが出ています。仕事がないのではなく、あっても受けられない。人手不足が、ついに「受注できない」という段階まで来てしまったんですよね。今日はこのニュースを、一人社長や中小の会社の目線でほどいてみたいと思います。
■「2026年問題」は、3つの波が重なった複合問題
そもそも2026年問題とは、ひとつの原因で起きているわけではありません。2024年問題(建設業への時間外労働の上限規制=原則月45時間・年360時間)、2025年問題(団塊世代の熟練技能者の大量引退)、そして資材費・人件費の高騰。この3つが同時に押し寄せた結果が「受注できない・工期が守れない」という現実です。
・大手・中堅建設会社の約7割が「2026年度内は大型工事を新規受注できない」と回答。4割弱が契約済み工事の工期遅れの可能性を挙げる(出典:日本経済新聞 2026年調査)
・東京のRC造(鉄筋コンクリート造)集合住宅の工事原価は、2015年比で約38%上昇(出典:建設物価調査会の物価指数)
・建設業の就業者は55歳以上が約35%。熟練技能者の一斉引退で、技術の継承そのものが断たれつつある
■倒産2,021件、休廃業1万283件という現実
帝国データバンクの調査によると、2025年の建設業の倒産は前年比6.9%増の2,021件。4年連続の増加で、2013年以来12年ぶりに2,000件を超えました。
・2025年の建設業の倒産は2,021件(前年比+6.9%、4年連続増、12年ぶりに2,000件超/帝国データバンク)
・休廃業・解散は初めて1万件を上回り、1万283件。全産業の休廃業・解散のうち建設業が最多で15.3%を占める(帝国データバンク)
・人手不足を直接の引き金とした「人手不足倒産」は前年99件から113件に増加
倒産より休廃業のほうが多いというのは、「行き詰まって潰れた」より「先が見えないから自分でたたんだ」会社が多いということです。体力のあるうちに店じまいを選ぶ。それくらい、今の人手不足は重く受け止められているんですよね。
■大手と中小で、打ち手の方向はまったく違う
資本力のある大手は、人を確保するために会社ごと買うM&Aや、思い切った処遇改善、DX(デジタル技術による業務改革)への大型投資で対応しています。でも、一人社長や中小の会社に、会社を買う資金や給与を一気に上げる原資があるかというと、そう簡単ではありません。だからといって詰みかというと、そうではないんです。「人を増やす」が難しいなら、「今いる人の時間を取り戻す」。ここに中小の活路があると私は考えています。
建設業で見落とされがちなのが、現場の時間が現場以外にも食われている、という事実です。書類づくり、移動、関係先との調整。受注できない=現場に出せる人手が足りない、なら、その人手を間接業務から現場へ戻す発想が要ります。会社の規模が小さくなるほどデジタル化が遅れ、固定の事務コストが重くなる傾向があるとされています(出典:施工管理チャンネルMAGAZINE)。
■人を増やす前にやる、紙1枚の「業務の書き出し」
おすすめしたいのは、採用やM&Aの前に、まず紙1枚で「業務の書き出し(業務棚卸し)」をやってみることです。
・①書き出す:誰が・何の仕事に・月に何時間使っているかを並べる。その人が休んだら止まる仕事には印をつける
・②3つに仕分ける:『現場でしかできない仕事』『事務で巻き取れる仕事』『そもそも要らない仕事』に分ける
・③巻き取れる事務を、デジタル化・AI・外注へ回す。残った時間を現場に戻す
この1枚は、外注の準備にも、採用の準備にもなります。新しいツールやAIを入れても、どこに当てるかが決まっていないと空回りしてしまう。道具を入れるのも、まず書き出してから。順番が逆だと、せっかくの投資が活きません。
あなたの会社で「受注できない」「手が回らない」のは、本当に人数だけが理由でしょうか。今いる人の時間が、現場以外の何に消えているか。書き出してみると、意外と取り戻せる時間が眠っていることが多いんです。
■まとめ:規模で打ち手は違う。中小の一歩は紙1枚から
建設業の2026年問題は、大手も中小も直撃する構造的な問題です。ただ、乗り越え方は会社の規模で違います。大手はM&Aや大型投資で人を確保し、中小・一人社長は、今いる人の時間を間接業務から取り戻すところから始める。最初の一歩に大きなお金は要りません。人を増やせない時代だからこそ、まず仕事を分ける。そこから次の一手が見えてくると思っています。
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