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私がシオンの助け合いで本当に作りたいもの

住まいを通して、孤立しない共同体を目指して

「シオンの助け合い」について書き始めてから、住まい、命、自立、尊厳、助け合い、奉仕、希望、賜物について考えてきました。

書きながら、何度も自分に問いかけていました。

私は本当に何を作りたいのだろう。

高齢者のための住まい。
安心して年を重ねられる場所。
助け合える関係。
孤立しない共同体。

どれも大切です。

でも、私が本当に作りたいものは、ただの建物ではありません。

私が作りたいのは、「ここにいていい」と思える場所です。

住まいは、命に関わる場所

高齢者にとって、住まいを失うことは、ただ住所を失うことではありません。

安心して眠る場所を失うこと。
体調が悪い時に休める場所を失うこと。
誰かに気づいてもらえるつながりを失うこと。

それは、命に関わることだと感じています。

35年間、看護師として多くの方と関わる中で、住まいと命は深くつながっていると感じてきました。

人は、安心できる場所があることで、もう少し生きてみようと思えることがあります。

反対に、住まいの不安や孤独は、心と体の力を少しずつ奪っていきます。

だからこそ、住まいの問題は、福祉や制度だけの問題ではなく、人の尊厳と命の問題なのだと思います。

建物だけでは、人は救われない

もちろん、住む場所は必要です。

雨風をしのげる建物。
安全に暮らせる部屋。
生活しやすい環境。

それらはとても大切です。

でも、建物があるだけで本当に安心できるのでしょうか。

誰とも話さない。
誰にも気づかれない。
困っていても声を出せない。
自分の役割がない。
ここにいていいと思えない。

そのような状態では、たとえ屋根と壁があっても、心は孤立してしまいます。

私が作りたいのは、単なる住まいではありません。

建物というハードだけではなく、愛と信頼というソフトがある場所です。

一人で頑張らなくてもいい自立

この連載の中で、「自立」についても考えました。

以前の私は、自立とは人に頼らず一人で頑張ることだと思っていました。

でも今は違います。

本当の自立とは、誰にも頼らないことではなく、必要な時に「助けて」と言える関係を持っていること。

助けてもらいながら、自分にできることを大切にして生きること。

支えられるだけではなく、できる時には誰かを支えること。

そんな自立の形を、シオンの助け合いでは大切にしたいと思っています。

できないことが増えても、価値は減らない

年を重ねると、できることが少しずつ変わっていきます。

病気になることもあります。
介護が必要になることもあります。
誰かの手を借りなければ生活できなくなることもあります。

でも、できないことが増えても、その人の価値は減りません。

人の尊厳は、能力で決まるものではありません。

その人には名前があり、人生があり、愛してきた人がいて、愛されてきた記憶があります。

支援の中で大切なのは、何かを「してあげる」ことだけではなく、その人を一人の大切な存在として見ることだと思います。

シオンの助け合いでは、助けが必要になっても、尊厳が守られる場所を作りたいです。

助け合いは、一方通行ではない

助け合いは、助ける人だけの物語ではありません。

助ける人も、助けられる人も、互いに受け取っているものがあります。

誰かに助けを求めることは、相手に迷惑をかけるだけではありません。

その人に、優しさを表す機会を渡すことでもあります。

今日は助ける側。
明日は助けてもらう側。

今は話を聞く側。
別の日には、話を聞いてもらう側。

そんなふうに、役割がゆるやかに入れ替わる関係を作りたいです。

小さな奉仕が、共同体を温める

奉仕は、特別な人だけがするものではありません。

声をかけること。
話を聞くこと。
祈ること。
待つこと。
気づくこと。
そっとそばにいること。

小さな奉仕が、誰かの孤独を少し軽くすることがあります。

大きな制度や計画も必要です。

でも、共同体を本当に温かくするのは、日々の小さな奉仕の積み重ねだと思います。

希望は、「まだ私にできることがある」と思えること

高齢になっても、病気があっても、人には役割があります。

祈ること。
感謝を伝えること。
経験を分かち合うこと。
若い世代を励ますこと。
誰かの話を聞くこと。

「まだ私にできることがある」

そう思えることは、生きる力になります。

希望とは、大きな夢だけではなく、日々の暮らしの中にそっと灯る小さな明かりのようなものかもしれません。

その小さな希望を守れる場所を作りたいです。

賜物を生かし合う場所

人には、それぞれ賜物があります。

特別な才能でなくてもいいのです。

話を聞けること。
人を笑顔にできること。
料理ができること。
車を出せること。
手続きを調べられること。
祈れること。
静かに寄り添えること。

自分では当たり前だと思っていることが、誰かにとっては大きな支えになることがあります。

シオンの助け合いで作りたいのは、一方的に「助けられる人」を作る場所ではありません。

一人一人の賜物を見つけ、生かし合い、誰もが誰かの役に立ち続けられる場所です。

私が本当に作りたいもの

私がシオンの助け合いで本当に作りたいもの。

それは、豪華な建物ではありません。

完璧な制度でもありません。

誰か一人が頑張り続ける仕組みでもありません。

私が作りたいのは、
「ここにいていい」
「一人ではない」
「助けてと言っていい」
「私にもまだできることがある」
そう思える共同体です。

高齢になっても。
病気があっても。
介護が必要になっても。
経済的な不安があっても。
家族の形が変わっても。

誰も孤立しないで生きていけるように。

互いに重荷を負い合い、悲しむ者とともに悲しみ、慰めの要る者を慰める。

その精神を、住まいと暮らしの中で形にしていきたいです。

ここから始めたい

まだ、すべてが形になっているわけではありません。

むしろ、これからです。

だからこそ、皆さんの声を聞きたいと思っています。

将来の住まいに、どんな不安がありますか。
どんな助け合いがあれば安心できますか。
どんな場所なら、自分らしく年を重ねられると思いますか。
あなたには、どんな賜物がありますか。

理想の共同体の設計図は、誰か一人の頭の中にあるのではなく、皆さんの声の中にあると思っています。

この12回の連載は、私の中にある願いを言葉にする時間でした。

そして、ここからは、その願いを少しずつ形にしていく時間にしたいです。

シオンの助け合い。

それは、ただの住まいづくりではなく、
孤立しない老後を、共に創るための小さな一歩です。

読んでくださった皆さんと一緒に、これからも考え、祈り、行動していけたら嬉しいです。

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