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神のデス・ギフト-F- 第7話 再び繰り返す!泥酔バンジー墜落撃沈?-うまい話は毒がある

これは、神から贈られた“死にかけるほどのギフト”の開封記録。
地獄を味わい、滑稽な現実を自ら笑う男の実話。

今までの神のデスギフトの”もくじ”はこちら

深酒と電話

俺は、不貞腐れてた。どうしようもない。
胸くそが悪い。
なんせ、会社を神によって解雇されたのだから。

俺「クソ!何社目だ!やっぱり俺はクズなのか!」

俺は大学を卒業してから4回目の失業。バイトも入れると6社。
6年で、6社。あわわわわ。
今28歳。詰んでいる。
他人が見れば、明らかに俺が悪くて辞めているようだった。

俺「職務経歴書の書く欄がもう無いやん・・・書き方も分からん」

しかも、辞めたのは悪魔たちの発酵未遂のしりぬぐいをさせられてだ。
久しぶりに頭蓋骨の中の納豆が泡立ってきた。

俺「飲まずにいられるか!」

神は、俺が進むと後退する様に仕向ける。
俺が走っても走っても、地面ごと後ろにずらしてくる。

俺「もう6年『八転び七起き』だぞ。中学生の時代くらいまで戻ってるわ!」

あれは秋晴れの清々しい空気と、藁の匂いがサーッと吹いている晴れの日だった。

再びの無職で悩み、自分を攻める俺

再び起こる泥酔バンジージャンプ!ロープ長め。

俺は何にもやることのない秋晴れの昼、またやってしまった。
そう。
親友Tに酔っ払って電話をかけてしまったあの最悪のレベルの神の召喚儀式だ。

パソコンもホームページも見られない俺は、タウンページを読んでいた。

まさかだが、タウンページ。知らないか?
スマホ前世紀の“紙版Google”だ。

ピラ ピラ ピラ

心「なんか俺が知っていて有名な会社ないかなぁ」
俺「しかし昼の酒はうめーな。ヒックッ」

晴れでもなく、雨でもなく、曇りでも無い中途半端な明るい空。
時折雲の合間から太陽の光が差す。
さわやかなサラサラの澄んだ風。
酔いを誘う空気感がそこにはあった。

突如タウンページが光った。
俺の目に「ある会社」が目についた。

俺「俺この会社知ってる!東京で働いていた時と同じ業界だ!!」

興奮した。
その刹那、プクプクと白菜が浮いてくる。
俺の脳が緊急発酵してきたのだ。

俺「あるのか、この田舎でも」
俺「できるのか。1年間工場で10トン溶かすなど180度違うことをしてても」
俺「できるに決まってるだろ。俺は最強だ。ヒックッ」

泥酔していた俺は、疑うことより、見つけた幸福感に占領され、デメリットを一切考えなかった。
そして、即座に飛んでしまった。

プルルル ガチャ

俺「もしもし、総務部ですか?そちらの会社に中途面接したいのですが?」

受付「はぁ、いきなりですね。自己紹介してください」

俺「ペラペラペラペラペラ・・・」(熱心に)

受付「わかりました。総務部長に聞きますので、後ほど折り返します」

ガチャ

俺「うおー!なんか進んでない?やったー」

俺は、母親の化粧だの鏡の前でガッツポーズをしていた。
完全に酔っ払いだ。

この時は珍しく神は不在だったと思えた。
不吉な風もないし、家も揺れない。
この『ギックリ腰を跳躍に変えろ』と言う啓示なのかもしれない。
もしかしたら、俺に適した酵母菌が充実した新しい樽に入れるかもしれない。

都合の良い解釈だけは捗る酒粕漬けの白菜だった。

ところが5分くらい立った時、
喜んで飛び跳ねる泥酔の28歳の携帯電話が急に鳴った。

プルルルル

俺「はい、もしもし」

総務部長「今ちょうど欠員がある所あるから明日面接来て」

俺「あ、明日?は、はい。喜んで行きます」

あまりのスピード感についていけない状態だったが、進んだ。
興奮を隠すことなく、この日は眠りについた。

酔っ払って面接依頼の電話をかけるかなり発酵している俺

いざ新しい会社面接へ出陣

いまいち何を話したか記憶は定ではないが、爽やかな朝を迎えた。

運良く髪型もひどいと言うほどではない。
髭さえそれば比較的清潔な感じだった。

俺「どれ、いっちょやりますか」

車で会社Uへ向かった。
駐車場の場所がわからなく迷ったのはミスだったが遅刻することなく到着。
子供のころからみている憧れの『U』の看板。
絶対にここで働きたい。
俺は心の中で強く魂を握りしめた。

心「そろそろ、俺に流れがくる」

至って冷静だった。
確かに昨日は酩酊していたが、今は何を話すかもシミュレーション済み。
本気の気持ちも堅い。
東京にいてもUは有名だ。
地元の企業では小さい子供でも知ってる。はず。

ネクタイの結び目をキュッと締め直し、俺は自動ドアを抜けた。
昨日電話対応してくれたであろう受付の人に挨拶する。

俺「昨日は、申し訳ございませんでした。御社に対する思いのあまり熱が入ってしまいました」

受付「いえいえ、私は繋いだだけです。お待ちください」

心「すでに完璧だ」

俺は、少し離れたテーブルに座り、背筋を伸ばし、目線を水平にし、静かに呼吸していた。

小走りに来た優しそうな顔の50代の小太りの威厳があるおっさん。
その古臭いメガネの男は俺の前に座った。

この男、見た目は“にこにこ町内会のたこ焼き係の係長”みたいなたこ焼き顔なのに、目だけは奥が笑っていなかった。

ロビーで待つ俺の前に、古いメガネが特徴のおじさんが近づいてきた

メガネ「初めまして。総務部長です、面接は別にして、まず日常会話ね」

俺「お時間いただきまして、ありがとうございます」

メガネ「ちなみに、今働いてるの?」

俺「リーマンショックの為、勤続1年未満の人員整理に会い今は無職です」

心「いえ、実はリーマンショックでサラリーマンショックです。ウフ」

面接で来たんだ。
正直に言わないで何になるんだと俺は思っている。
合コンではないんだ。

メガネ「わかるよ。我が社も前年割れだよ。いつから働けるの?」

俺「言われれば、今からでも」

俺は本気だったけど、これは嘘をついたと自覚していた。
ところがそれが刺さった様だ。

メガネ「いいね。その勢い。若さと情熱を感じる。少し待ってて」

メガネは軽く離れ携帯電話をかけ始めた。
俺は、姿勢だけは崩さす様子を伺っていた。

心「なんだ?なんだ?追い風吹いてるんじゃねえか?」

爆発寸前のワクワクと興奮を胸に押し込み、俺はメガネの帰りを待っていた。
こんな時に、
また神は手の込んだトリックを考えている。
とても人間には想定もできない究極の食い合わせの悪い発酵レシピを。

きっと、神はいたぶってアフアフする俺を見るのが好きなんだろう。
秋には珍しい突風が吹いた。
大きな社屋の窓ガラスに落ち葉が急に降りかかってきた。

メガネが機嫌良く電話をかけているのを見て浮かれる俺

なぜか外をメガネと歩く!告げられる隠し味

ウキウキしているのは俺だけではない。
なんとメガネもウキウキぎみではないか!

メガネは俺の目を見ながらギュンと顔ごと近づいて言った。

メガネ「よし。話は付いている。さぁ面接に行くか!」

俺「え?あ、はい。」

メガネは颯爽と外へ歩いて行ったのだ。
俺も小走りに追いついたものの腑に落ちない。

脳内の酵母が急に泡立ち始めた。嫌な泡立ちだ。

心「社内で面接しないって、どんな面接だよ」

俺は憧れの会社Uから出て、どんどんメガネについていく。
会社Uの見慣れた看板も小さくなっていく。

心「おいおい、ついにUのデカい社屋見えなくなったぞ!?」

メガネはもはやスキップしているのではないか、という歩き方をしている。
俺も置いて行かれないよう競歩でついていく。
息が切れる。酸欠になってきたのは速さのせいではない。
不安からだ!

メガネ「この業界何年やってたの?」
俺「3年くらいです。ハァハァ」

メガネ「地方は東京とは同じ業界でもちょっと違うよ」
俺「はい。そのつもりです。ゼェゼェ」

メガネ「メンタル強い?」
俺「人と比較できないですが、強いと思います。バフバフ」

思考が急降下で減っていく。
この散歩のゴールは何なのか、どこまで行くのか。

心「思考を削りながら面接。これが新手の面接形式だったらすごい発明だ」

何か、大通りから住宅地の中に入っていったと思ったらメガネが振り返った。

メガネ「さあ、ここだ。入ろうか」
俺「はひ」

心「いろんな意味で面接を断る選択肢がまったく見つからない」

俺は建物を見たとき、なんか早くも嫌な予感はした。
振った炭酸の様に微生物の泡が耳からこぼれ出してきた。
それが何かは分からなかったけど、不安な気持ちが膨らんだのは確かだ。

テナントビルに入っていくメガネ。
テナントビルの入り口で靴を抜く不思議。
別々のテナントの従業員の靴が並んでいる。

心「いい靴置いたら盗まれるじゃんか?」

踏み入れてはいけない異様な雰囲気。

心「一階部分が知らない宗教の支部になってる。えぇぇ」

メガネ「この宗教施設は別な会社だから安心してね」

心「安心できますかね、ふつう」

エレベーターもないビルの2階に着いた。ドアが見えた。
ドアには会社Uのかけらもなかった。
安っぽいドアを開ける。

20畳ほどの、雑多なフロアが広がっていた。

メガネ「お疲れさまー。面接の子つれてきたよー」

「はーい」

60歳手前の覇気がない爺さんが出てきた。
まるで八の字を書いたようなおでこのしわが印象的なくらい男だ。

メガネ「じゃ、よろしく頼むよ。君、頑張ってね」

メガネはサクッと笑顔で帰っていった。
俺は、意味も分からず取り残される。

八の字「じゃあ奥のテーブルに行こう」
俺「よ、よろしくお願いします」

心「断り方も、抜け出し方も、まったく浮かばない」

いつもの事だが、神の発酵レシピは普通ではない。
想像を絶している。
予防とか防災とか準備とか、前もってできる限界を遥か超えてくる。

震える俺は、勇気を出すべきか、なぜ勇気を出すべきか。
そんな事で迷ってる。
迷いながら、面接の席に着く。

パニックとは人間の本質を見るには
最も確実な方法なのだろう。

一方で、パニックを意図的に起こさせるのは悪意とも映る。
天然でパニックにさせているのなら良いだろうと、甘えられても困る。

人外。
神は、何か俺に超えさせたい壁を用意したようだ。

外は季節外れの雪がちらついていた。
俺はスタッドレスタイヤに交換していなかった。

第7話完

◆次回予告

明日の夜22時までに更新予定。
俺は採用なのか、それとも落とし穴なのか。
希望と地獄の境界線で揺れる—泥酔男の謎の会社の面接結果編。

メガネに笑顔で手招きされる俺

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