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神のデス・ギフト 第10話「神の笑い」—東京篇完結へ—神の追い討ちに抗えるか!?

「俺は、、、神が笑う音を聞いた気がした。」

あれは空耳ではなかったのか。
ベランダの方からおかしな音がしたが、俺は現在置かれている衝撃だけでいっぱいだった為か何も気にしていなかった。
いや、もう俺の頭に何かを入れるのをやめていた。拒んでいた。入れなかった。

アメリカから帰国し、有頂天だった俺は、結局自分だけ浮かれていただけだった。
その後、同棲中の彼女の妊娠が発覚、無職で貯金なしを自覚し、言い詰められた。
見せかけでも無い本当の自分自身との会話。
これが、一番辛い。
でも、人間止まってはいられないのが時の流れ、向き合うしかない。

俺は、腰が抜けたような状況で進む決意をして眠りについた。

呼吸のリズムと時計の針の音が、まるで同じテンポで進んでいた。
それだけが、俺がまだ生きている証拠だった。

眠りは祈りよりも正確に、現実を遠ざけてくれた。

これは、神から贈られた“死にかけるほどのギフト”の開封記録。 地獄を笑い、整えを始めた男の実話。

神に閉じ込められ悪夢でうなされる俺

大天使ミカエル:転職活動を無表情で淡々とこなす俺と働きたい業種とのアンマッチ地獄

翌日、虎ノ門の転職エージェントから転職先リストがメールで送られてきた。
俺は、心が全然燃えない。
何か自暴自棄な気持ちがある中、リストを見てゾッとした。

俺「全然昨日話した内容と一致していないじゃないか!?聞いていたのか?」

そう、今までの業界をそのまま活かして働きたいとお願いしたのだが、全く関係ない仕事を紹介されているのだ。

心「俺の希望を理解していないのではないか?」

無限にも似たゴールのないレースを数日中にゴールしなくてはいけない。

まるで「よーいドン」とマラソンを出発したが、審判が「終わり」と言うまで終われない。
ペース配分ができないのに1位が義務付けられている恐怖と不安が襲ってきた。

事実と異なる例えで濁すと、俺は今までアニメクリエイターとしよう。
でも、紹介されるのは引越し業者やホテルの清掃員。
エージェントは「前職の経験をいかせてピッタリです!ニッコリ」と言ってくる。
こんな感じだ。

途方に暮れた。

しかし、まだ初日。
担当者と何度か希望を擦り合わせていけば希望に近くなる。

そう思ってやりとりを重ね、、、5日が経った。

彼女が夜勤の週だったため運良く彼女とは対面しないで過ごすことができた。
日中彼女が帰って寝ている時はノートとペンを持って常連のドトールへ退避、夜になって帰宅しPCでメールとリサーチ。

しかし、なぜ担当者は5日もたって俺の事を理解できないのか?
今だに、路線バスの運転手や遊技場の仕事しか送ってこない。

いよいよ俺は思った。

俺「やはり俺には社会的市場がないのではないか?」
俺「20代中盤で2社退社して今無職。問題があるのは俺か」

どんどんマイナス思考が強くなっていく。

心「でも、向こうから見た俺も、同じくらいズレていたのかもしれない」

もうどんな会社でもいいや。
と思った時、一つだけ閃いたのだ。
なぜか袋小路に行き着いた俺の気持ちが「腑に落ちた」感覚になった。

俺「担当者に企業名を告げて求人があるか聞いてみよう」

俺は、何となく知っていた以前の業界の出入り業者を聞いてみることにした。
多少は業種は違えど、根底は近いものがあるから、心機一転にはいいのかも知れないと。

例で言うと、野球選手が引退してグローブの会社に勤めるようなものだ。

俺は、思いつく企業名のリストを作りエージェントにメールした。
祈る気持ちもなく、ダメならダメでいいや。程度で送った。

リスト作成の達成感と脳疲労で俺はこの日も崩れるように寝ることにした。

なんだか噛み合わないエージェントのメールを見て途方に暮れる俺

昼前まで寝てしまって、メールを急ぎ確認すると、返信が着ていた。
カーソルをあて、恐る恐るダブルクリックをした。

「カチ、カチ。」——その音が、神の笑い声にも聞こえた。


大天使ガブリエル:進んだ先の行き止まり、種類が違う頓挫が俺の神経を壊していく

“メールの開封音が、部屋の中にまだ響いていた。”

「ゴクリッ」期待はしていないのに生唾を飲み込んだ。


開いてよく読んだとき俺は眼球が飛び出しスーパーボールの様に部屋中を弾んだ。

俺「俺のリストの1件が求人を募集している!しかも非公開」

俺はすぐさまエージェントへ電話し、限りなく早い時点での面接を依頼した。
ここがエージェント企業のいい所、とんとん拍子に進み、面接は明日。
最短勤務開始日は翌月1日からだった。

時として神はハードルを下げるときがある。
しかし、神を信じるなかれ。
そう思っても安心してガードが下がってしまう。

そこが俺が狂っている証だ。

面接の話はつまらないから飛ばすとして、たまたま年齢と前業種の一致で即採用となった。
俺は、いよいよあと2週間後の初出社に向けて準備をし始めた。

息を吸った。久々に空気が澄んでいてさわやかで気持ちよかった。

もやが晴れて深呼吸をしている俺の心の中

初出社の日、天気は快晴だった。空気も澄んでいる。

向かった先は、東京メトロ丸の内線の駅ビル40階建ての20階ほどにあるオシャレなオフィスの企業だった。
デスクに物を置かないミニマムでシンプルなフロア。
人と人の間には観葉植物などで目隠しされていて落ち着きもある。
眺めもいい。東京都庁や新宿御苑などが見えた。

俺は運よく窓際の席をもらえ、気持ちも新たにスタートが切れた。

最初の3週間は研修という事で、出社したら席に荷物を置いたら研修室へ直行、帰りに席に戻るという感じだ。
みんな明るく挨拶もできて年齢も若い。おそらく平均年齢20代後半ではないだろうか?
部長が30代、本部長が40代という感じだった。

心「今までのブラックサタン企業や、地獄のテーマパークとは違いすぎる!」
心「神は俺をやっと見放してくれたのか!?」

いや、きっと“少し飽きた”だけだ。

心境が穏やかではなかったが、これが現実。
受け入れなければいけないし、受け入れていいんだと。俺は思った。

研修は採用された10人が仲良く同室で講義を受ける。
良かったのが、全員転職組。
話が合うし、皆一度会社を辞めてきたんだから大小別にして挫折したのは言わなくても分かっていたし、分かりあっていた。
お互い深い部分は探らないけど、なぜか気心が許せた。

心「ゾンビ先輩たちとは大違いだ!」

毎日が楽しく進み、研修の最終日には社長を入れての懇親会が開かれた。

半地下にあるイタリアンレストランの窓辺を貸し切っての宴だ。
楽しみにしていたし、実際本当に楽しくたくさん話し、かなり飲んで食べた。

みんなでとにかく話し、笑い、その瞬間心底楽しんだ。
久々の酒だ。酒と言っても俺は生粋のビール党だ。

特に一番気が合ったのは、唯一の同い年の女性「セブン」(と名づけよう)との会話だ。
押切もえの様な見た目で、だけども女っけのないボーイッシュな性格とファッション。
アフロなのもよかった。
その上、顔やスタイルは非常に端麗な雰囲気なのも好感だ。

異性を意識せずに、同い年の友として友情をはぐくむことができた。

ただ、あの夜のセブンの笑顔が、神の笑いと少し似ていたことだけは覚えている。

そのまま同期だけで二次会に行き、結局終電を逃してしまった。

俺「まぁ、明日は土曜日だ!いいだろう」

俺はセブンと渋谷のドン・キホーテで必要な物だけ買って東急本店の近くにある朝までやっている居酒屋に入った。
始発までジョッキ一杯で粘った。

金ももうないからな。俺なんてまだ給料もらってない。

居酒屋で4時間話してさらに仲良くなって、翌朝俺たちは渋谷駅で別れた。

疲れとアルコールのダメージがある中の朝日が無性に気持ちよかった。
俺は、最寄りの駅から自宅のボロアパートまで太陽の方向に向かって歩いた。

俺「まぶしいな!」

もう少しで寝れる。
気がユルユルになってきて、今すぐにでも布団にダイブしたい。

最後の角を曲がったら俺のボロアパートが見える。
俺は、無心でその角を曲がった。

違和感を感じた。
いや、神の存在を感じた。

俺のアパートの前だけ、粉が積もっている。
アスファルトが埋まっている。
一階の植物が粉塵をかぶっている。

俺「なんだこれは?米ぬかをばらまいたのは誰だ?」

酔って疲れているオレはそれを米ぬかだと思った。
いや、それ以外思いつかなかった。
謎の茶色の粒子の小さい粉。

俺「考えても、答えなんて出ないし、東京は不思議だ!って事で忘れよう」

上の階まで上がるのに精いっぱいで考えることをやめていた。
もちろん、研修が終わり達成感と、来週からの意欲で胸は膨らんでいた。

そして、俺はいつもの汚い階段を上がる。

心「しかし、埃っぽいな」

階段を上がって部屋のドアを見たとき、

俺「ん?」

それに気づいた。

ドアに紙が貼ってある。
よく見ると隣の部屋のドアにも貼ってある。
上の階のドアにも貼ってある。

俺は窪んだ眼を凝らして紙の文章を読んだ。

『立入禁止。屋上塔屋倒壊により即解体。入居者は10日以内に退去手続きを行う事。大家』

俺「……神よ、またなのか。」

粉は崩れた建物本体そのものだったのだ。
コンクリートと錆びた鉄が、風に紛れて舞っていた。

そして、以前ベランダ付近で聞こえた崩れる音は、本当に徐々に壁が落ちている音だった。

俺は天を仰いだ。

俺「まだ初給料も入ってないんだよ」

引っ越し?
また敷金礼金?
探すの?
10日以内?
大家の名前は?
連絡先は?

京王井の頭線の踏切の音が、まるで爆弾のカウントダウンみたいに聞こえた。
彼女の妊娠についての話も全く進んでいないのに。

神は銃を使わない。ただ、紙一枚で人を撃つ。
神の笑い声は、もう風の音に混ざっていた。

第10話完

次回予告

崩れて即退去というアパート。妊娠の彼女も解決していない。現金ほぼ無し。新しい会社で初の実務スタート。セブンはよき理解者だが。
この状況で四面楚歌、八方塞がりの俺を見て、まさか神は笑っているのか?

アパートの粉塵の中、驚き・怒り・焦り・焦燥・無心を共存させている俺

神のデスギフトはほぼ実話です。

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