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神デス-腐敗51 #02 タクシーの行き先が違う(職場篇)

◆セロニック Seronic=self (自己) + ironic(滑稽さ・皮肉)

俺の造語だ。
セロニック――絶望を、皮肉と笑いに変える発酵菌だ。

セロニックとは、怒りや恥や後悔を、滑稽さとともに時間と熱で熟成させ、
やがて笑いと諦観の香りを放つ“人間の納豆”へと変えていく心の酵母。

この記録は、実話として綴られた皮肉な発酵過程の観察日誌。

名を──「神のプレゼント腐敗51」。


◆タクシーの行き先が違う(職場篇)

22歳の入社直後の夏のような暑さのあの日。

先輩に言われ、行き先のメモ預かり、言われていた家電を銀座のビックカメラに行った。

冷蔵庫ほどの、無駄に大きい箱だ。
重さは40kgほど。
タクシーを電話で呼び、トランクに入らないため、後部座席を使った。

タクシーは動き出した。
ブーーーン(エンジン音)


しばらくタクシーは走って、止まった。
運転手「着きました。四千円です」

赤坂見附の住宅街で降ろされた。
俺はでかい荷物をアスファルトの上に置き見まわした。

タクシーは静かに視界の外に消えていった。

俺「静かだ」

言われた会社は、どこにもない。
どうやら先輩の書いた行き先が間違っていたようだ。

荷物は一人では持てない。
タイムリミットは迫っている。

20年前でスマホもない。

住宅地のため流しのタクシーはもう通らない。
人も歩いていない。
閑静で高級だ。

俺「多分、殺されるな」
俺「俺のミスは俺のせい。先輩のミスは俺のせい」

天を仰いだ。
初夏のあの日、青空が美しかった。
風も爽やかだった。

神はおそらく、俺を天日干しにしてアミノ酸を凝集させたいのかもしれない。


◆次回予告

腐敗.03 翻訳地獄(職場篇)

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