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ビール嫌い、インドの青鬼に負ける

深夜1時。
私はパソコンの前で、
ビール界について考えていました。

原因は、AIです。
いや。正確には、青鬼です。

私は、ビールがそこまで
得意ではありません。

嫌いというほどではありません。
ただ、なぜか、飲むとおなかが
タプタプになります。

だから普段、ビール売り場は
だいたい素通りします。
ところが、見てしまいました。

インドの青鬼。

名前が、もう強い。
缶には、青い鬼らしき
顔がついていました。
こちらを見ています。

ただ、その顔は、とぼけています。
目は丸い。
鼻も口も、どこかゆるい。
迫力というより、
「ぼく、ビールですけど?」
という表情です。

普通のビールが「爽快」
「のどごし」「一日の終わりに」
を語りかける中で、その缶だけが、
物語を語りかけてきました。

それを見た私は、青鬼の誘惑に
負けました。
しかも、なぜか3本買いました。
ここが、人間のこわいところです。

家で飲みました。
一口。

苦っ。

これは、
ちょっと大人の味ですね
などという話ではありません。

口の中に、青鬼が鎮座していました。
しかも、かなり態度の大きい青鬼です。

たぶん、ビールに詳しい人なら、
ここでIPAがどうとか、ホップが
どうとか説明できるのでしょう。

でも私は、ビールを飲むと
おなかがタプタプになる人間です。

よく知らないし、
今必要なのは知識ではありません。
目の前の青鬼を、どう飲み切るかです。

私はなんとか1本飲み切りました。

しかし、問題はここからです。
冷蔵庫には、まだ2本いました。
私は冷蔵庫をそっと閉めました。
見なかったことにしたかったのです。

青鬼に困った私は、
公式サイトを見ました。

そこには、インドの青鬼には
キーマカレーが合う、
というようなことが
書かれていました。

キーマカレー。

そういえば、私は以前、
Bar Night Owlsに誘われたとき、
Barよりもインドカレーの店に
行く人間だと書きました。

ナンおかわり自由。
惣菜とデザート食べ放題。
スパイスの香りが
遠くからでも届く店。

大人のBarではありません。
ちゃぶ台の民は、
カレーの気配を
漂わせているのです。

そして今回、青鬼が来ました。
しかも、合わせる相手がカレー。
結局、私はどこに行っても、
カレーから逃げられないようです。

とはいえ、キーマカレーは
普段食べません。
私は、普通の中辛カレーを用意しました。
公式のおすすめからは、だいぶ横着です。

でも、青鬼のために
キーマの民にはなれません。

そして、再戦しました。
カレーを食べる。
青鬼を飲む。

すると。
あれ?おいしい。

あれほど、苦っと思った青鬼が、
なぜかそこまで苦くありません。
いや、苦いは苦いのです。
でも、カレーの辛さとコクの後ろで、
青鬼が突然いい仕事を始めています。

私は混乱しました。
さっきまで口の中で仁王立ちしていた
青鬼が、中辛カレーが来た瞬間、
急に仁王立ちをやめた。

私はAIに聞きました。
「なんで、カレーと一緒だと
苦いビールをおいしいと感じるの?」

AIは答えました。
「未桜さん。料理と飲み物の相性で、
味の感じ方が変わることがあります。
こうした組み合わせは、一般に
ペアリングと呼ばれます」

私の中のペアリングは、
ワインとチーズが
夜景の見える店で
やっているものです。

私はさらに聞きました。
「ビールにも、そういう
ペアリングってあるの?」

AIは当然のように答えました。
「あります。ビールにも種類があり、
苦味、香り、コク、炭酸の強さ
によって、合う料理が変わります」

ビールにも、そんな世界があったのか。
私はビールを、黄色くて泡があり、
おなかをタプタプにしてくる
一派だとばかり思っていました。

私はもう一度、AIに聞きました。
「じゃあ、インドの青鬼は
どういう料理と合いやすいの?」

AIは答えました。
「苦味や香りがしっかりした
ビールなので、スパイスのある料理、
味の濃い料理、油分のある料理と
合わせると、苦味が料理の味を
引き締めることがあります」

青鬼は、癒やしてくれるタイプの
ビールではありません。
お風呂上がりに、
ぷはーっと迎えてくれる
タイプでもありません。

一人だと、圧が強い。

でも、カレーが来ると違う。
そういえば、人間関係でも、仕事でも、
文章でも、そんなことがありました。

単体では強すぎる。

でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。

私はビールを、好きか嫌いかでしか
見ていませんでした。
でも、ビール界には、何と組ませるか
という別の扉がありました。

無敵だ。
最強だ。

Barに誘われたちゃぶ台の民は、
ついにビールと中辛カレーを
組み合わせました。

おしゃれな夜からは、
また遠ざかりました。

でも、冷蔵庫の中の青鬼は、
もう敵ではありません。

なお、まだおなかはタプタプになります。
そこだけは、ビール界も譲ってくれません。


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