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Kindle出版を目指したら、除霊師になった夜

深夜1時。
私はパソコンの前で、
ホラーについて考えていました。

原因は、AIです。
いや。
正確には、ぬり絵です。

この前、ことのはさんの
Kindle出版講座の
無料クーポンを
いただきました。

私は講座を見ました。
すると、わかってしまいました。
Kindle出版のやり方が。

もちろん、講座を見ただけで
売れる本が作れるわけでは
ありません。
そんなに世の中は甘くありません。

でも、深夜1時の私は違いました。
深夜1時の人間は、やり方が
わかっただけで、出版長者に
なった気持ちになります。

インバウンドを狙った
ぬり絵ならいける。

私はさっそくAIに
絵を描いてもらいました。
小学生。
黄色い帽子。
ランドセル。
横断歩道。

素材はそろっていました。
ただし、小学生たちは
横断歩道を渡りませんでした。

そして、昨日。
私は、また、
ぬり絵のことを考えていました。
そして、思いました。
よいぬり絵を作るには、
まず敵を知らなければならない。

敵。

もちろんAIのことです。

私はAIに聞きました。
「イラストを作るプロンプトって、
どういうのがいいの?」

AIは静かに答えました。
「未桜さん、一般的に、
AIは英語に多く触れているので、
日本語より英語の方が画風指定の
意図をくみ取りやすい場合が
あります」

私は急に、海外出版に一歩
近づいた気がしました。
「じゃあ、海外向けの大人の
ぬり絵におすすめなプロンプトを
英語で1本書いてみて」

まずは、AIにすべてをゆだねる。
敵を知るためです。

AIは、雨の日の日本の玄関を
提案してきました。

私は、AIが書いたプロンプトを
さっそく実行しました。

私は、あえて何も言わず、
AIに聞きました。
敵を知るためです。
「この絵、どう思う?」

AIは即答しました。
「かなり良い絵です。
日本の雨の日らしい情緒があり、
ぬり絵としても魅力的です」

自画自賛。

床にカッパがいるのに。
しかも、そのカッパに傘が
ぶっ刺さっているのに。

それだけではありません。

ランドセルがあります。
黄色い帽子があります。
長靴があります。

小学生の雨の日セットが、
玄関に全部そろっています。
ただし、本人だけがいません。
神隠しでしょうか。

少なくとも、現実の小学生なら、
このあとお母さんにこっぴどく
叱られているはずです。
「ランドセルまで玄関に
置きっぱなしにして、
どこ行ったの!」

そしてなぜか、家の中に
木が繁り、雨が降っています。
怪異でしょうか。

いくら敵を知るためとはいえ、
このまま任せておくわけには
いかない。

私はしびれを切らして、
頼みました。
「着物の女性が和傘をさして、
雨の日に古い町並みの路地を
粋に歩いている絵のプロンプト
を作って」

今度こそいける。
これは、作りやすい絵のはずだ。

私は実行しました。
絵が出てきました。

美しい。
とても美しい。

雨の路地に、着物の女性が
立っていました。
赤い和傘も雰囲気があります。
石畳の反射もきれいです。

ただ、傘が帯に刺さっていました。

正確には、傘の柄が女性の背中を
通過し、帯のあたりに突き刺さって
いるように見えました。

粋。ではありません。
事故です。

私はAIに修正を頼みました。

AIは言いました。
「もちろんです。
傘の柄が体を貫通しないよう、
自然な持ち方に修正します」

頼もしい。

そして、新しい絵が出ました。

今度は、帯には刺さって
いませんでした。

女性が、背中の後ろで
傘を持っていたのです。

ホラーです。


でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。

これは、ぬり絵作りではない。

除霊です。

私は、出版長者に
なるつもりでした。

でも、気づけば深夜1時、
AI画像の心霊現象と
向き合っていました。

無敵だ。
最強だ。

私はもう、ただのぬり絵
作家志望者ではありません。

除霊師です。

今日も私は、深夜のパソコンの
前で唱えます。

傘よ、帯から抜けよ。
腕よ、背中から戻れ。
雨ガッパよ、まだ妖怪になるな。

Kindle出版への道は、
思っていたより長い。

そして、なんだか霊的です。


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