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漫画を作ろうとしたら、ネギがほとんど残っていなかった

深夜1時。
私はパソコンの前で、
ネギについて考えていました。

原因は、AIです。
いや。正確には、漫画です。

先日、私は電子書籍の
出版について考えていました。

文章を入れたい。
ぬり絵の失敗画像も入れたい。
できれば漫画も入れたい。

欲張りです。

しかし、重大な問題が
ありました。
私は、漫画を一度も
作ったことがありません。

漫画を入れたいと
言いながら、コマを
割ったことすらありません。

ただ、Kindle出版した
ぬり絵も、最初は
作ったことが
ありませんでした。

それでも、一応、
本にはなりました。

ぬり絵長者にはなっていません。
しかし、ぬり絵村の入口に、
小さな売店くらいは出せました。

漫画も、できないはずはありません。

私は、考えているストーリーを
元に、とりあえず、試作を
一枚だけ作ってみることに
しました。

場面は簡単です。

冷蔵庫から卵と
ネギを取り出す。
パソコンの前に座る。

それだけです。

今回は試作なので、
セリフも入れません。

AIは随分考えた後、
漫画の試作を完成させました。

白黒でと頼んだのに、
白黒ではありません。
そして、なんだか、
怪奇現象が起きそうな
雰囲気の部屋です。

しかし、もっと
おかしいことがありました。

ネギが短い。

冷蔵庫から取り出した
ばかりなのに、すでに
人生の大半を終えています。

一本のネギではありません。
ネギだったものです。

さすがの私も、冷蔵庫には、
もう少し立派なネギが
入っています。

しかも、よく見ると、
冷蔵庫の扉まで変です。

開いているのですが、
どう開いているのかが、
よくわかりません。

そして、卵の持ち方も、
明らかにおかしい。

卵を二個、片手に載せて
います。
そして、右手には、
ネギの残骸を持っています。
床には本と紙が散乱している。

こんな不安定な状態で、
落ち着いた顔で
悠々と歩いています。

無理です。

一歩間違えれば、
卵は割れます。
足は滑ります。
ネギは見失います。

しかし、二コマ目を見ると、
卵は無事に机へ到着していました。

二個ともあります。
割れていません。

ネギもあります。
短いままです。

どうやら私は、
かなりの運搬の
達人です。

三コマ目では、
私は何事もなかったように
パソコンに向かっています。

机の上には、卵二個と、
ネギ数センチ。

しかも、ただ置いてあるのでは
ありません。
机の隅に、今にも落ちそうな
状態で置かれています。

どうやら私は、
食材を机に置く達人でも
あるようです。

二個の卵と数センチのネギは、
ぎりぎりの均衡を保ったまま、
私のそばに控えています。

私はAIに聞きました。
「ネギが短すぎない?」

AIは答えました。
「未桜さん、長さを具体的に
指定すると改善しやすくなります。
たとえば『40センチほどの
長ネギ』と記載してください」

「卵を二個、片手で運んで
いるのも危なくない?」

「小さなボウルや皿に
入れて運ぶよう指定すると、
自然になります」

「冷蔵庫の扉も変じゃない?」

「扉の開閉方向や開いた状態を
具体的に指定すると改善しやすく
なります。
たとえば『右開きの冷蔵庫の扉が
自然な向きで開いている』と
記載してください」

私は漫画を作ろうと
していました。

漫画づくりに必要なのは、
画力でも物語でも
ありませんでした。

食材と設備の管理です。

漫画とは、同じ人物を描けば
完成するものではないのです。

一コマ目のネギを、
二コマ目でも同じ長さにする。

卵の数を守る。
卵を現実的に運ぶ。
自然な位置に置く。

冷蔵庫の扉を、正しい向きで
開かせる。

人間にとっては、
どれも当たり前です。
しかし、AIにとっては
違います。


こちらが指定しなければ、
ネギは縮みます。
卵は素手で運ばれます。
食材は机の隅で
危険な均衡を保ちます。
冷蔵庫の扉は、どちらに
開きたいのか冷蔵庫
自身でもわからなくなります。

でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。

漫画とは、物語の前に、
世界の法則を守る
仕事なのかもしれません。

無敵だ。
最強だ。

まずは、ネギを伸ばします。
物語は、そのあとです。


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