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【第1話アサイン】サファイアを追いかけろ~とある会社の採用ストーリー~

速くなった鼓動は、まだおさまらない。
手のひらには汗がにじんでいた。どうしてこんなことに。

話は少し前にさかのぼる。

「朝霧くん、ちょっといい?」

僕を呼ぶ部長の顔には、いつもと少し違う笑みが浮かんでいた。すでに嫌な予感しかしない。その予感は、すぐに現実になる。

社長室に連れていかれた僕は、そこで衝撃の言葉を耳にした。

「社長、先ほどの来期50名採用の話、彼に責任者を任せようと思います」

ドクン、と強く鼓動が胸を打つ。

どういうことだ。今期の採用って20名でしたよね。しかも未達確定ですよね。それでもって来期50名? 責任者を任せるだと?
僕は心の中で早口にまくしたてていた。

社長は短く言う。
「そうか、朝霧くんか。わかった」

いや、わかるなよ……。

相手は社長だ。口に出せるはずもなく、心の中で突っ込むことしかできなかった。

社長は続けた。
「新中計が走り出すことは知っているね。その実現に向けた最初の50名だ。
経営・事業計画から必要な部門ごとの人数を出し、来期は50名採ることを決めている。うちの会社は採用がうまくいっていないことは、知っている。だから過去のやり方は気にせず、思い切ってやってほしい。」

それからの会話は、あまりよく覚えていない。
確かにこの数年、うちの会社の中途採用はうまくいっていない。2019年に一度下がったはずの各企業の中途採用への意欲は、実はすぐに回復してしまった。だから苦戦してきたのだ。

うちの会社は、応募が特別多いわけではない。面接まで進んでも、オファーを出しても辞退されることは多かった。採用のライバルたちに負けてきたのだ。だから今期も未達だった。それなのに来期は倍以上の採用計画。どうする。

社長室を出たところで、足が少し震えているのに気づいた。それでも、断るという選択肢はなぜか頭に浮かばなかった。

速くなった鼓動は、まだおさまらない。
手のひらの汗は、にじんだままだ。

そんな僕を見かねてか、部長が静かに口を開いた。
「予算はある。責任は取るから、思うようにやってくれ。もし不安なら、この人に相談してみるといい。」

そう言って部長は、ある採用コンサルタントを紹介してくれた。

まずは相談してみるか。
半分は不安で、半分は何かが変わるかもしれないという期待で、すぐに僕はコンサルタントへ連絡を入れた。


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