「50代☆年の差婚のチャレンジライフ中!」創作大賞2026年エントリー作💛「セカンド・ロングバケーション」~第1話~古い階段から始まった誰かの存在(ドリームキャッチャーの揺れる窓辺で願いを込めて)
~あらすじ~
まさか……この出会いが
人生最大の幸せと
人生最悪の涙を
運んでくることになるなんて
あの時
まったく予想していなかった
五十代バツイチのミライ
恋も夢も人生も
もう終わったと
疲れ果てていた
そんな時に
突然、現れたのは
二十四歳年下の男性だった
二十三年間の海外生活を終え
心も人生も
ほぼ浦島太郎状態だったミライ
人生再出発
北海道の古いアパートで出会ったのは
夢に破れ
現実に苦しむ青年ケン
世代も違う
傷も違う
それでも偶然にも
人生にさまようと言う
同じ境遇二人は
いつの日か
笑い合い
支え合い
やがて恋に落ちていく
だが遠距離、同棲、未来への不安
そして自分のあるべき姿への迷い
多くのすれ違いが
二人を引き裂いていく
だが苦闘しながらも
それでも消えなかった
深い絆
人生最大のチャレンジの中で
自分の足で歩くとは何か
そして
究極の愛とは何かを
少しずつ知っていく
時代迷子の昭和女性と
現実派の平成男子が
人生の岐路をさまよいながらも
令和時代の目まぐるしい社会の中で
精一杯、向き合い歩き続け
破局を越え
自己再生を経て
復縁
そして結婚へと導かれていく
実体験をもとに描く
人生再生のラブストーリー
💛第1話
~古い階段から始まった誰かの存在~

私は誰にも知られたくない
レポートを持って
二十三年ぶりの日本に戻る
そしてその用紙を
出会ったばかりの
二十四歳年下の隣人に
拾われることになる。
~2021年 春 ~
二十三年ぶりの日本は
私の知っている母国ではなかった。
成田空港に飛行機の
タイヤが叩きつけられた瞬間
胸の奥で何かが終わった音がした。
たった一音だったのに
それは長年暮らした
オーストラリアの空
乾いた風
広すぎる道路
涙し苦しんだ結婚生活
そして最後までうまく畳めなかった
私の人生に乱暴に句読点を打った。
五十歳
バツイチ
肩書も
何もない
すべてを失った私・・・
スーツケースの中には
インクの乾いた離婚届の写し
袋いっぱいの薬
捨てるにはあまりにも間抜けな
古びたコアラのぬいぐるみ
そして悪魔祓いと夢を叶えてくれる
ドリームキャッチャー?
なぜ私はこれを
持って帰ってきたのだろう??
たぶん、何もかも失った女が
最後に抱えて帰るには
コアラくらいがちょうどよかったのだ。
入国ゲートを抜けると
目の前に広がっていたのは
マスクをした人、人、人。
誰もがスマートフォンを見つめ
誰もが無言で
整列しているかのように
さっそうと歩いていた。
私だけが
間違った国に降り立った
放浪者みたいだった。
地下鉄
あたりを見回しても
切符売り場がない??
「す、すみません
切符って、どこで買うんですか?」
恐る恐る、駅員さんに尋ねると
一瞬だけ目が泳ぎ忙しそうに
「えっと、今はほとんどICカードで……」
ICカード?
私は知っている顔をして頷いた。
「ですよね。アイ、シー」
もちろん、何もわかっていない。
あまりにも久しぶりの母国で
私は完全に「浦島太郎」状態
玉手箱を開けた覚えはないのに
気づいたら五十歳になっていた。
しかも髪に白いものが増え
体からは軽快さをうしない
夫もいなくなりと
人生の残存だけになっていた。
これが童話なら
最後に鶴か亀が迎えに来るはずだ。
でも現実は
リムジンバスの
乗り換え方法さえもわらかず
ベンチで途方にくれ
ひたすら待つばかりだった。
それでも
なんとか北海道へたどり着いた。
友人が半年だけ
貸してくれるという古いアパート
そこが私の避難所だった。
人生をやり直す前に
私はまず
ちゃんと息をしたかった。
誰かの妻でもなく
娘でもなく
頑張る人でもなく
ただのミライとして・・・
いや、正直に言うと
ただのミライとして
存在することさえ
少し怖かった。
引っ越し当日
私は日本のアパートの
階段というものを
完全になめていた。
オーストラリアの
アパートは無駄に広かった。
廊下で犬が
全力疾走できるくらい広かった。
だから私は
巨大な段ボールを抱えたまま
古いアパートの
狭い階段を堂々と上がった。
そして三段目で悟った
やばい
ここは日本
「うそ……狭っ」
段ボールが壁に当たる
肘が手すりに当たる
腰が変な角度になる
さらにタイミング悪く
上からも誰かが降りてきた
それは大きな荷物を
抱えた青年だった
黒いTシャツに
少し伸びた前髪
背は高いだけど
顔色はよくない
徹夜明けのコンビニ弁当みたいな
疲れ方をしている。
「あーー」
「あーーーの」
同時に声が出た
狭い踊り場で
私たちは見事に詰まった
私の人生と同じだ
上にも下にも
右にも左にも行けない
大大ピンチ
「あ、すみません。私、上がります。
いや、あなたが下ります?
えっと、交通整理しますね」
私はなぜか
自分で仕切ろうとした。
だがの体は
思ったほど機敏ではなかった。
段ボールを持ち直した拍子に
上に載せていた
紙袋がするりと滑った。
「あっーーーつ」
紙袋は私の叫び声よりも
軽やかに宙を舞った。
中から飛び出したのは
よれよれのコアラのぬいぐるみ
謎のブーメラン型マグネット
神秘的なドリームキャッチャー
「あれ?コアラ?」
彼は階段の下で
鼻の曲がったコアラの
ぬいぐるみを拾い上げた。
不思議そうな表情の中に
ほんの少しの微笑
でも私は
それを見逃さなかった。
疲れた人が
久しぶりに笑ったような顔だった。
「これ、なかなか味ありますね」
「はい、オーストラリア代表です!」
「代表、鼻曲がってますけど?」
「海外生活が長いと、いろいろ曲がるんです」
っと言ってから
しまったと思った。
冗談にするには
少し本音が混じりすぎた。
青年は薄ら笑いを浮かべていたが
何も聞き返さなかった。
ただ散らばったものを
一つずつ拾って
私の紙袋に戻してくれた。
その手つきが妙に丁寧だった
壊れものを扱うみたいに
まるで私まで壊れものだと
見抜かれた気がして
少しだけ息が詰まった。
「あの、ありがとうございます。
私、今日越してきたミライです。
未来がないミライです?」
っと冗談交じりで
言ったつもりだったが
彼はどんなリアクションを
したらいいのか焦って
とっさに
「ミライさん?」っと名前を繰り返した。
その響きが
自分の名前なのに少し懐かしかった。
「僕は、ケンです。隣です。」
「お隣さん~よろしくお願いします!」
私は必要以上に明るい声を出し
その場の寒い雰囲気をとりつくろった。
「同じ日に引っ越しなんて
すごい偶然ですね。
こういう時って、引っ越し蕎麦ですよね。
あっ!でも私、蕎麦用意してない。
どうしよう。
いきなり
非常識な住人としてスタートしてしまうわ~」
ケンは数秒、また真顔で私を見たが
思わず吹き出した。
「あの、、引っ越し蕎麦って
久しぶりに聞きました」
「えっ、今は言わないの?」
「言う人もいるかもしれないですけど、
少なくとも僕の周りでは聞かないです」
「うそ。私の日本、平成で止まってる?」
「たぶん、かなり止まってます」
「じゃあ、今どきのご近所挨拶って何?
タオルも渡さないの?」
ケンは
「この人は浦島太郎?」っと
感じたのか
呆れ笑いを浮かべた。
私は胸の奥で
何かが
小さくほどけるのを感じた。
二十三年ぶりの日本で
初めて人間らしい会話をした気がした。
空港でも、駅でも、私はずっと
「すみません」
「ありがとうございます」
だけで生き延びて到着した。
でも今
私はくだらないことで笑われている。
見知らぬ人が笑顔になる
それが、なぜか救いだった。
「じゃあ、改めまして
蕎麦はありませんが
コアラならあります」
「いらないです」
「即答?ですか?」
「あ、すみません」
「いいんです。コアラも
だいぶ断られ慣れてます」
ケンは笑いながら
私の段ボールを見た。
「それ、重たそうだから
部屋まで運びますよ」
「えっ、大丈夫です。
見た目より力ありますから」
私はそう言って
段ボールを持ち上げようとした。
次の瞬間、腰が小さく鳴った。
ピキ。
聞こえないふりをして欲しいと
神様に祈ったが・・・
やっぱりケンには聞こえたらしく
「救急車こまるから……運びます」
「はい、お願いします」
私は、潔く負けを認め敬礼をした。
ケンは軽々と段ボールを持ち上げ
階段を上がっていく。
私はその後ろ姿を見ながら
奇妙な気持ちになった。
若い。当たり前だけれど、若い。
私とは違う時間
世界を生きている人だ。
この異世代人は
これから
何度でも失敗できる人
何度でも夢を見られる人
何度でも恋ができる人
そう思った瞬間
腰の痛みよりもはるかな
激痛が胸に差し込んだ。
私はもう
そういう年齢ではない
深いため息しか出なかった
部屋の前に着くと
ケンは段ボールを静かに置いた
「大丈夫ですが?息がきれてますが?
ここでいいですか」
「はい。大丈夫、大丈夫
本当に助かりました」
「いえ。 隣なんで助け合い」
隣なんで・・・
たったそれだけの言葉が
なぜか私の心に残った。
ずいぶん前から・・
私は誰の隣にも
存在してないように感じていた
家族の隣にも
社会の隣にも
過去の自分の隣にも
でも、この古いアパートの
薄い壁一枚向こうに
今、誰かがいる。
それだけで
少しだけ世界観が戻ってきた。
「ケンさんは、どうしてここに?」
っと聞いてから
世話好きなおばさんのように
踏み込みすぎたか?と焦った
ケンは一瞬だけ視線を落とした。
「仕事、辞めたんです」
「あ……そうですか」
「というか、逃げてきた感じです」
彼は苦笑い
けれど
その笑い方はさっきとは違った。
うまく隠しているけれど
疲れがにじんでいた。
私はその顔を知っていた
鏡の中で、何度も見た顔だった。
「でも時には逃げるの、悪くないですよ」
気づいたら、そう言っていた。
曇ったケンの瞳が
じーーっと探るように
私を見つめる。
「逃げないと
生き残れない時がありますから」
ケンの言葉が
私の胸に刺さった。
そう・・・
私も逃げてきた
結婚から
病気から
過去から
そして
強がっていた自分から
けれど
逃げた先にも朝は来る
段ボールは片づかないし
薬は飲まなきゃいけないし
家賃は発生するし
人生は逃げた人間にも
容赦なく続く
だからこそ、たぶん
逃げた先で
もう一度
人生を始めることもできる。
ケンは少し黙ってから言った
「ミライさんも、逃げてきたんですか?」
普通なら、失礼な質問だ
でも不思議と腹は立たなかった。
私は何を勘違いしたか
自信ありげに
「ええ。かなり本格的に」
「本格的?」
「国をまたいで逃げてきました」
ケンは驚いた顔をしたあと
笑顔が戻った
「スケール大きいですね」
「五十年以上も生きると
逃げ方も大胆になるんです」
「なるほど」
「でもね、ケンさん」
私は箱を積み上げながら言った
「逃げるのと
終わるのは違うから」
なんだか
自分で言って、自分で驚いた
そんな強いことを言えるほど
私はまだ立ち直っていない
でも、言いたかった。
彼にではなく・・・
たぶん私自身に
ケンは、チラッと私を見た
その瞳の奥に
若さだけではない孤独があった
夢を持っていた人の目・・・
そして
その夢に
一度押しつぶされた人の目
「……そうですね」
彼は小さく答えた。
その時、鈍い音が響く
ガターーーン
二人で同時に振り向く
段ボールの山が
見事に崩れていった。
一番上から例のコアラが転がり落ち
玄関までやってきて
私たちの足元で止まった。
沈黙・・・・・
ケンが言った
「代表、また倒れましたね」
私は言った
「代表、打たれ強いんです」
一瞬、ケンは
きょとんとしたが
あまりにも
ずぼしすぎて
私は笑ってごまかすしかなかった。
帰国して二日目
何も解決していない
孤独も
不安も
年齢も
そして、これからの生活も
何一つ軽くなっていない
それでも私は
久しぶりに声を出して笑っていた。
昔懐かしいような
古風なアパートの
薄い壁
同じ日に越してきた
二十四歳年下の青年
この時の私は
まだ知らなかった。
この頼りなさそうで
どこか放っておけない隣人が
やがて五十代にもなっている
自分の人生を
二十代の時のように
もう一度
全速力で走らせることになるなんて。
そして私が
彼が捨てかけていた夢を
もう一度拾い上げる存在になるなんて。
その日の夕方
段ボールに埋もれた静かな部屋で
コアラのぬいぐるみの
ホコリをそっと払い
少し歪んだ鼻を指で整え
棚に置いた。
そして胸の奥にしまい込んでいた
わずかな夢を
もう一度形にするため
静かな祈りを込めて
ドリームキャッチャーを
カーテンレールに
そっと揺れるように掛けた
夕暮れの窓の外には
北海道の初夏の風が
静かに吹き抜け
少し冷たい空気が頬を撫でた
私は小さく呟いた
「セカンド・ロングバケーションへの出発・・・」
その声はまだわずかに
震えていた
その夜
片づけきれなかった段ボールの隙間から
レポートが廊下へ滑り落ちていたことに
私は気づかなかった。
翌朝
それを拾ったのはケンだった・・・
「ミライさん、これ……」
差し出された用紙を見た瞬間
胸の奥が冷たくなった。
まさか・・・
ケンの目が
ほんの一瞬だけ揺れた。
その時、彼のスマホが震えた。
画面に浮かんだ短い文字。
「お願い。そろそろ戻ってきて」
ケンは慌ててスマホを伏せた。
私の過去を拾った彼もまた
誰にも言えない
苦しみを抱えていた。
💛第2話はこちらから
~挿入歌 君と始めるストーリー~
作詞 ミライ
作曲 SUNO AI
~ごあいさつ~
こんにちは
ミライです♪
たくさんの記事の中から
訪れていただき
本当にありがとうございます!
このストーリーは
実在する
昭和世代の浦島太郎状態の妻
平成時代の堅実派な夫
出会い
遠距離恋愛
破局
マインドリセット
復縁
そして結婚までの
この五年間の歩みを描いた物語です
私たちの激動の1800日を
フィクションも少し交えながら
過ごしてきたストーリーを
お届けいたします。
アダルトチルドレンの私は
24歳も年下相手に
何度も本気でぶつかり
大泣きしてしまうような日々も
たくさんありました
それでも今は
涙あり
笑いあり
そして少しだけ
人生のヒントもある
人生再生&恋愛小説として
綴りました。
この五年間のチャレンジは
本当に紆余曲折の連続でした
50代の私にとって
決して楽な道のりではありませんでした
それでも
年齢に対する
不必要な常識の壁を
少しずつ越えていく中で
私はようやく
自分らしく輝いていいのだと
思えるようになりました
人生はいくつになっても
変わることができます!
そして
何かを突き抜けた先には
必ず明るい未来が待っていると
私は信じています
この物語が
同じように人生の岐路に悩み
迷いや不安を抱えている皆さんの心に
小さな勇気の灯りを
ともすことができたら
とても幸せです♪
いつからでも
誰でも
何度でも
あなたしだいで
ゆっくりと柔らかい光が
心に必ず差し込み始めます♪
ここまで
読んでいただき心から感謝です
ありがとうございました♪
ミライ
