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【50代☆年の差婚のチャレンジライフ中!】創作大賞2026💛 恋愛小説部門エントリー作『セカンド・ロングバケーション』~第8話~ブーメランが知っていた、ふたりの未来


#創作大賞2026 #恋愛小説部門





沖縄行きが
決まった瞬間、
人生に光が差した。

でもその光は、
ケンのいる
北海道を少しずつ
遠ざけていく
ものでもあった。

~あらすじ~


沖縄での就職が
決まり、ミライは
ようやく新しい
居場所を見つける。

喜びを真っ先に
ケンへ伝えるが、
返ってきたのは
彼らしい少し
不器用な祝福だった。

週末、ケンは
送別会として
ミライを地球岬へ
連れ出す。

青く広がる海、
穴場の定食屋、
ホッケ定食と
クリームソーダ。

何気ない時間の中で
二人は別れが
近づいていることを
少しずつ実感する。

夜のカラオケで
ケンが歌ったのは、
ミライが日本を
離れる前に
よく口ずさんだ
懐かしい曲だった。

偶然なのか、
運命なのか。

沖縄へ向かうはずの
ミライの心には、
なぜかケンのいる
北海道の景色が
残り始めていた。

沖縄行きの
チケットは、
確かに私の手の中に
あった。

でも心の片隅には、
ケンのいる北海道が、
まだ静かに
残っていた。

💛第8話~ブーメランが知っていた、ふたりの未来~



出発の三日前

私は部屋の真ん中で
開いた段ボール箱を前に固まっていた。

沖縄へ先に送る荷物を詰めるだけ。
たったそれだけの作業なのに
手に取るものひとつひとつが
妙に胸に引っかかる。

オーストラリアから持ってきた
厄除け?夢を叶えるドリームキャッチャー
羽は少し曲がり
糸もところどころほつれている。

その隣には
ボロボロのコアラのぬいぐるみ。
「あなたも、だいぶ年季入ったわね」

二十三年前、まだ怖いもの知らずだった私と
一緒に海を渡った小さな相棒
毛並みはくたびれ、片耳も少し曲がっている。

それでも捨てられなかった

夢も、挫折も、孤独も
全部知っている顔をしていたから。

「沖縄でもよろしくね」

そう言って、私はドリームキャッチャーと
コアラを、そっと箱に入れた。

荷造りって未来へ向かう準備のはずなのに
どうしてこんなに過去を触る作業なんだろう。

そんなことを思っていた夕方
控えめなノックがした。

ドアを開けると、ケンが立っていた。

「荷造り、進んでますか」

「進んでるように見える?」

ケンは部屋をちらりと覗いた。

段ボール、服、書類、謎に増殖した靴下。
床に置き去りのガムテープ。

彼は真顔で言った。
「……事件現場ですね」

「再出発の準備です」

「再出発って、こんなに散らかるんですね」

「人生ってそういうものよ」

「便利ですね、人生」

 私は思わず頬が緩んだ。

ケンはいつも、普通の顔で変なことを言う。
重くなりそうな空気を
知らないうちに軽くしてくれる。

「あ、そうだ」

 彼は何でもないことみたいに言った。

「三日後、空港まで送りますよ」

「えっ、いいの? 仕事は?」

「休みです。あの荷物、一人で運んだら腰やりますよ」

「私を何歳だと思ってるの」

「五十……」

「そこ、正直に言わなくていい」

「事実確認です」

私は睨んだふりをした。
でも胸の中には
小さな灯りがともっていた。

ありがたい感謝
嬉しい
そして、少しだけ苦しい

「じゃあ……お願いします」

「はい、任されました」

その短い言葉が不思議なくらい心強かった。

ふと、段ボールの底から
小さなマグネットが出てきた。

オーストラリアから持ってきた
アボリジニ柄のブーメランマグネットだった。

赤土のような色
点で描かれた独特の模様
小さな弧の中に
二十三年分の異国の記憶が詰まっている。

「ケンくん、これあげる」

「え、いいんですか?」

「うん。冷蔵庫に貼っておいて」

感謝を込めて
ケンの大きな手にゆっくりと渡した

ケンは不思議そうに
手のひらの上のブーメランを見つめた。

「ブーメランって
投げたら戻ってくるやつですよね?」

「そう。アボリジニが狩りで使う道具でもあるんだけど
“戻ってくる” って意味もあるの。
旅に出ても、ちゃんと帰ってくる。
離れても、また巡ってくる。そんな感じかな」

「……じゃあ、縁起いいですね」

「でしょ?」

軽く言ったつもりだった。

でもその瞬間
ケンの表情が少しだけ静かになった。

「じゃあ・・貼っときます。
ちゃんと見えるところに」

その言葉だけで
胸の奥にやわらかな波紋が広がった。

私は沖縄へ行く
ケンは北海道に残る

でもこの小さなブーメランだけは
私の代わりに彼の部屋の冷蔵庫に残る

まるで、いつか何かがまた戻ってくる?ことを
黙って約束してくれているみたいだった。

「ケンくん、お礼にラーメン行こう
お勧めのラーメン屋さん」

私はわざと明るい声を出した。

「いいですねー」

「空港送迎予約の前払いです」

「安いですね、俺の労働力」

「じゃあ餃子もつける」

「契約成立です!」

私たちに笑顔が戻る

洞爺湖の近くにある
ラーメン屋へ向かった。

ちょっと古ぼけた赤いのれん
湯気で曇った窓
カウンターの奥から漂う味噌とにんにくの香り。

運ばれてきたラーメンは
湯気までごちそうだった。

「沖縄行ったら
こういう味噌ラーメン恋しくなりますよ」

「そうかも?まだ出発してないのに
ホームシックにしないで」

「予行練習です」

くだらない会話をしながら
ふたりで麺をすすった。

熱くて、濃くて、美味しい
北海道らしい美味が心を休める

店を出ると
洞爺湖の夜は静かだった。

湖面には街灯の光が細く揺れ
遠くのホテルの灯りが
黒い水の上に金色の線を落としている。

「ちょっとコンビニ寄っていいですか」

「うん」

 ケンはそう言って車を停めた。

私は助手席で感傷的な気持ちを
落ち着かせていると
数分後、彼は袋を片手に戻ってくる。

「はい」

渡されたのは、ロイヤルミルクティーだった。

「……え?」

「好きでしたよね」

「うん、大好き・・・」

たったそれだけなのに
胸がぎゅっとなった。

私が好きだと言ったことを
覚えていてくれた。

それも大げさにではなく
何気なく
当たり前みたいに差し出してくれた。

「ありがとう」

「どういたしまして」

ケンは前を向いたまま
少しだけ照れたように言った。

こういう優しさや思いやりは
年齢では測れない

二十代だから未熟だとか
五十代だから大人だとか
そんな単純な話ではないと感じた。

人の本質は
もっとさりげないところに出る。

誰かの好きなものを覚えていること

寒そうな時に窓を閉めてくれること

何でもない顔で
そっと助けてくれること

ケンはそれを自然にできる人だった。

車は洞爺湖の夜道をゆっくり走った
ラジオから知らない曲が流れている

窓の外では湖の闇が静かに横たわり
街灯が途切れるたびに
世界が少しだけ深くなる。

「沖縄行ったら、まず何食べるんですか?」

「ソーキそば?かな?」

「ラーメンの浮気ですね~」

「麺類は国境を越えるの~」

「名言っぽく言わないでください」

リズミカルに会話が舞う

「じゃあケンくんは?」

「俺は……とりあえず仕事ですね」
「平成の現実型なんで」

「昭和の暴走型よりいいよ・・」

「ミライさんの勢いは、たまに事故物件です」

「失礼すぎる!」

ケンの鋭いツッコミにが
図星過ぎて何も言えない
どっちが大人か分からなくなってくる

私はロイヤルミルクティーの蓋を開けた
甘くて、やさしい香りが広がる
その香りに、なぜか泣きそうになった。

そしてケンもいつもの
カフェオレを隣で
心地よさそうに飲んでいる。

ケンにブーメランを渡した
二人でラーメンを食べ
夜の湖を走った

そして好きな飲み物を
彼が覚えていてくれた。

それで十分

これ以上、何かを望んではいけない

私は胸の奥で
何度も自分に言い聞かせた。

この人は・・・
私の人生の長い休暇に現れた、やさしい偶然。

北海道で再出発する間だけ
神様が隣の部屋に置いてくれた光

だから沖縄へ行ったら
私は私の人生を生きる

ケンはケンの夢へ進む

そうやって
それぞれの場所へ戻っていく。

ブーメランみたいに
また巡ってくるかどうかなんて?
今は考えない

考えたら、怖くなるから。

アパートに戻ると
ケンは車を停めて言った

「じゃあ、三日後」

「うん。よろしくお願いします
運転手さん~」

「荷物係も兼任です」

「優秀!!」

「追加料金、餃子一皿です」

「もう払ったでしょ~」

「延長分です」

最後まで私たちは
冗談ばかり交わしていた。

でもその軽さが胸の奥にある寂しさを
少しだけ癒してくれ

そのくだらなさに救われながら
私は部屋へ戻った。

窓の外には
ケンの部屋の明かりが灯っていた。

あの冷蔵庫に
ブーメランは貼られるのだろうか?
ちゃんと見えるところに?

その想像だけで
胸が少しあたたかくなる

私は段ボールの前にしゃがみ込み
ガムテープを引き出した。

ビリッという音が静かな部屋に響く

これで二人の思い出は終わり
私はそう、自分に言い聞かせた。

けれどその夜、なぜか箱のふたを
やはり閉じずにそのままにしていた。

なんで?さっさと閉じないのか?
その時の私は
まだ知らなかった。

本当に閉じられなくなるのは
段ボールではなく
ケンへの想いだったことを・・


💛第9話はこちらから



~ごあいさつ~

こんにちは
ミライです♪

たくさんの記事の中から
訪れていただき
本当にありがとうございます!

このストーリーは

実在する
昭和世代の浦島太郎状態の妻
平成時代の堅実派な夫

出会い
遠距離恋愛
破局
マインドリセット
復縁
そして結婚までの

この五年間の歩みを描いた物語です

私たちの激動の1800日を
フィクションも少し交えながら
過ごしてきたストーリーを
お届けいたします。

アダルトチルドレンの私は
24歳も年下相手に
何度も本気でぶつかり
大泣きしてしまうような日々も
たくさんありました

それでも今は
涙あり
笑いあり

そして少しだけ
人生のヒントもある
人生再生&恋愛小説として
綴りました。

この五年間のチャレンジは
本当に紆余曲折の連続でした

50代の私にとって
決して楽な道のりではありませんでした

それでも

年齢に対する
不必要な常識の壁を
少しずつ越えていく中で

私はようやく
自分らしく輝いていいのだと
思えるようになりました

人生はいくつになっても
変わることができます!

そして
何かを突き抜けた先には
必ず明るい未来が待っていると
私は信じています

この物語が
同じように人生の岐路に悩み

迷いや不安を抱えている皆さんの心に
小さな勇気の灯りを
ともすことができたら
とても幸せです♪

いつからでも
誰でも
何度でも

あなたしだいで
ゆっくりと柔らかい光が
心に必ず差し込み始めます♪

ここまで
読んでいただき心から感謝です
ありがとうございました😊

ミライ



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