【50代☆年の差婚のチャレンジライフ中!】創作大賞2026💛 恋愛小説部門エントリー作『セカンド・ロングバケーション』~第7話~偶然と運命が交差した、最後の送別会~
花火の夜
私は初めて
生き直していると感じた。
母を失ってから
ずっと孤独を抱えて
生きてきた私が、
今、日本の夜空の下で
誰かと一緒に
花火を見ていた。
~あらすじ~
北海道の夏の夜、
アパートの庭で
住人たちと花火大会を
楽しむミライとケン。
ジンギスカンや
焼きとうもろこし、
ちゃんちゃん焼きに囲まれ、
二人は子どものように
ふざけ合い、
久しぶりに
心から笑い合う。
けれど夜空に
大きな花火が咲いた瞬間、
ミライは十一歳で
母を失った記憶と、
海外で誰にも言えず
心を壊してしまった
過去を思い出す。
それでも今、
日本の夜空で
誰かと花火を見ていることが
奇跡のように思えた。
一方ケンは、
本当は建築の夢に
もう一度戻りたいと
静かに語り始める。
違う時代を生き、
違う痛みを抱えた二人。
それでも同じ場所で
同じ夜空を見上げながら、
少しずつ心の距離が
近づいていく。
そして花火の終わりに、
ケンがつぶやく。
「ミライさんといると、
不思議と何でも
できる気がする」
その言葉は
告白ではなかった。
でもミライの胸には、
花火よりも強く
残ってしまう。
この夏の夜に
二人の間で
何かが始まろうとしていた。
けれどミライは、
まだその気持ちに
名前をつけられなかった。
最後の3行
花火は消えたのに、
胸の奥の光だけが
まだ消えてくれなかった。
この人と始まる何かは、
きっと綺麗なだけでは
終わらない。
そう気づいた私は、
夜風の中で
そっと息を止めていた。
💛~第7話~偶然と運命が交差した、最後の送別会
私の人生に大きな光が差し込んだ
沖縄での就職が決まったのだ。
五十歳、病気、離婚、二十三年ぶりの帰国
人生の段ボールを抱えたまま
北海道の古いアパートに転がり込んだ私が
ようやく次の居場所を見つけた。
ずっと望んでいたはずなのに
スマホを持つ指先が少し震えた。
私は真っ先にケンへLINEを送った。
「就職決まったよ。沖縄!」
しばらくして通知が鳴る。
『おめでとう。ラッキーですね。良かったです』
……ラッキーですね?
「そこ、もう少し感動できなかった?」
私はスマホに向かってつぶやいた。
絵文字なし
感嘆符なし
温度で言えば北海道の
朝五時くらい低い
でも腹は立たなかった。
ケンらしい
大事なところで少しズレるけれど
ちゃんと返事はくれる。
その不器用な優しさが
今は少しだけ胸に引っかかった
よく週末ケンが地球岬へ
連れて行ってくれた。
「送別会です」
「二人だけで?」
「町内会も呼びます?」
「お祭り騒ぎバスツアーになる~」
「じゃあ少人数制で」
「高級フレンチみたいに言わないで」
車の中は、いつもの調子だった。
窓を少し開けると
北海道らしい
乾いた風が頬を優しくなでる
車は夏草の匂いを
まとった道をまっすぐ走る
どこまでも続く
アスファルトの先で
海がきらきらと銀色に瞬いている。
なんて、綺麗なの!
この景色を観せてくれた
ケンに感謝していた
地球岬に着くと
目の前には
水平線が広がる
「うわぁ……すごい」
空と海の境目が
わからなくなるほど
澄みきっていて
太陽の光を受けた水面は
細かな宝石を散りばめたように
まばゆく輝いている。
「ミライさん、地球、丸いらしいですよ」
「知ってます~」
「一応、確認で」
「私、縄文時代から来た人じゃないから」
ケンが小さく肩を震わせ
私もつられてクスッと笑った。
その横顔をそっと盗み見た瞬間
胸の奥のざわめきが
ふいに静かな波へ変わった。
私は沖縄へ旅立つ
ケンは北海道に残る
たったそれだけの事実が
水平線みたいに遠く見えた
「さあ、腹減ってきたな~
人気らしい定食屋に招待します」
「ほんと!ありがとう~」
連れて行ってくれたのは
外観は控えめなのに
扉を開けると地元のお客さんで
ほどよく賑わう
穴場みたいな和洋食の店だった。
木目のテーブルと
小さなランプが妙に落ち着く。
そして目の前に運ばれてきたのは
見たこともないほど大きくて立派なホッケ定食。
その隣に、なぜか場違いなくらい
可愛いクリームソーダが二つ
涼しげに光っていた。
「送別会にクリームソーダ?」
思わず苦笑い
「華やかじゃないですか」
「高校生の頃によく頼んでいたよ」
「ミライさん世代に合わせました」
「何で知っているの?」
くだらない会話が
テーブルの上でぽんぽん跳ねる。
ケンは焼き魚を器用に
ほぐしながら言った。
「沖縄、よかったですね」
「うん」
「ずっと行きたいって言ってたし」
「うん……」
「夢、叶ったじゃないですか」
その一言で、箸が止まった。
そう、これは私の夢だった。
暖かい場所で働くこと
誰かに頼らず
自分の足で立つこと
もう一度、人生を始めること
希望の光が差してきた瞬間
心のどこかに小さなすき間ができた。
夢が叶う響きは
もっと派手だと思っていた
シャンパンの栓みたいに
明るく弾けるものだと。
でも実際は違う。
新しい扉が開く音は
誰かと離れる足音にも
少し似ている。
「ケンくんも、戻れるよ。設計の仕事」
私が言うと、彼は少しだけ目を伏せた。
「戻りたいですけどね」
「うん」
「ミライさんは沖縄に
行くじゃないですか。
ちゃんと前に進んでる」
「まだ初めの一歩だけ」
「でも俺は、まだここで足踏みしてる感じがして」
その声は静かだったけれど
奥に焦りを感じた。
若いから大丈夫
まだ時間がある
そんな薄い励ましは
今のケンには届かない気がした。
「ケンくんは止まってないよ」
「そうですかね」
「止まってる人は、そんな顔で夢の話しない」
彼は一瞬だけ私を見た。
それから、困ったように視線をそらす。
「ミライさんって
たまに真面目なこと言うからズルい」
「たまに?」
「基本は焼きそば泥棒」
「まだ根に持ってるの??」
「俺の焼きそばでしたー」
私たちは吹き出した。
笑顔なのに少しだけ寂しい
寂しいのに、やっぱり楽しい
この人といる時間は
感情の忙しさが尋常じゃない。
夜、二次会は
カラオケボックスになった。
「最後に一曲いきましょう」
「ケンくん、カラオケ行くタイプなの?」
「行きますよ」
「最近の曲?」
「まあ、いろいろ」
その“いろいろ”が
まさか時代を
飛び越えてくるとは思わなかった。
薄暗い個室
青く光るモニター
安っぽいミラーボールが
壁に小さな星を散らしている。
ケンがリモコンを操作した。
次の瞬間
流れてきたイントロに私は固まった。
「……え?」
画面の曲名を見て
息が止まりそうになる。
WANDS『世界中の誰よりきっと』
「なんでケンくん
この曲知ってるの?」
その曲は、私が日本を離れる前
友達と何度もカラオケで歌った曲だった。
まだ怖いもの知らずだった私は
未来に何の疑いも持たずに生きていた
夜の繁華街
煙草の匂いが残る個室
甘いメロンソーダ
「これから海外へ冒険」と
胸を膨らませていた、若い私
その記憶がケンの歌声と一緒に
突然戻ってきた。
二十三年前の私には
こんな未来は想像もできなかった。
異国へ旅立ったあの日の私が
北海道の小さなカラオケボックスで
年下の彼に
なつかしい昔の歌を
歌われて胸を揺らすなんて
ケンの声を聞いていると
まるでこの出会いがずっと前から
決まっていたような気がした。
偶然なのか
運命なのか
なぜ同じ日に
あのアパートの隣に引っ越し
新しい人生をスタートした
二人は偶然にも出逢ったのか・・・
考えれば考えるほど、
少し怖くなるほど不思議だった。
そして
私の好きなクリームソーダーを
たのみ
私の好きな歌を歌っている
これって・・・運命?
曲が終わると
ケンが首をかしげた。
「ミライさん
なんでそんな顔してるんですか」
「その曲、ずるい」
「え?」
「私が日本を出る前によく歌ってたの」
「そうなんですか??」
「うん。なんか……
ケンくんが、私の昔を知ってるみたいで」
ケンはマイクを膝の上に置き
少し照れたように視線を落とした。
「知らないですよー
ミライさんの昔なんて」
「うん、そうだよねー
生まれてなかったよね~」
思わず笑ってごまかしたが
胸が、きゅっと鳴った。
「でもケンくん、やっぱり中身、昭和じゃない?」
「いいえ、昭和の勢い任せじゃなくて
自分は平成の慎重派です」
「どこが?」
「キャッシュレス使えます」
「そこだけ?」
図星なケンの表現が
あまりに可笑しくて
涙が出そうになった。
たしかに全く違う
昭和を駆け抜けた私と
平成を冷静に受け止めてきた彼
同じ思い出を
持つはずのない二人が
令和の小さなカラオケボックスで
ひとつの古いメロディに包まれている。
生まれた時代も違う
生き方も正反対
向かう場所も逆方向
それでも、たった一曲で
二十四歳の距離がふわりと縮んだ。
帰り際、ケンが何気なく言った
「沖縄行っても、連絡くださいね」
「もちろん。毎日、海の写真送る」
「毎日は重いです」
「じゃあシーサー」
「怖いです」
「じゃあ私の自撮り」
「ブロックしますー」
「なんで?そこは喜んでほしいのに」
ケンは前髪をいじり
視線を少しだけ逸らした。
その顔を見た瞬間、私は思った。
最後の送別会・・・
そう呼ぶには
この夜は少し甘すぎた。
少し可笑しくて
少し眩しくて
そして困るくらい忘れられない。
沖縄行きのチケットを
手に入れたはずなのに
私の心の片隅には
まだケンのいる
北海道の景色が残っていた
💛第8話はこちらから
~ごあいさつ~
こんにちは
ミライです♪
たくさんの記事の中から
訪れていただき
本当にありがとうございます!
このストーリーは
実在する
昭和世代の浦島太郎状態の妻
平成時代の堅実派な夫
出会い
遠距離恋愛
破局
マインドリセット
復縁
そして結婚までの
この五年間の歩みを描いた物語です
私たちの激動の1800日を
フィクションも少し交えながら
過ごしてきたストーリーを
お届けいたします。
アダルトチルドレンの私は
24歳も年下相手に
何度も本気でぶつかり
大泣きしてしまうような日々も
たくさんありました
それでも今は
涙あり
笑いあり
そして少しだけ
人生のヒントもある
人生再生&恋愛小説として
綴りました。
この五年間のチャレンジは
本当に紆余曲折の連続でした
50代の私にとって
決して楽な道のりではありませんでした
それでも
年齢に対する
不必要な常識の壁を
少しずつ越えていく中で
私はようやく
自分らしく輝いていいのだと
思えるようになりました
人生はいくつになっても
変わることができます!
そして
何かを突き抜けた先には
必ず明るい未来が待っていると
私は信じています
この物語が
同じように人生の岐路に悩み
迷いや不安を抱えている皆さんの心に
小さな勇気の灯りを
ともすことができたら
とても幸せです♪
いつからでも
誰でも
何度でも
あなたしだいで
ゆっくりと柔らかい光が
心に必ず差し込み始めます♪
ここまで
読んでいただき心から感謝です
ありがとうございました😊
ミライ
