【50代☆年の差婚のチャレンジライフ中!】創作大賞2026💛 恋愛小説部門エントリー作『セカンド・ロングバケーション』第6話~夏が微笑んだ、時空を超えた始まり~
~第5話 あらすじ~
免許を取り直した翌朝
ミライは出来立ての
免許証を握りしめ
ケンの部屋のドアを叩く。
寝ぼけ顔のケンは
愛車のローンを心配しながらも
小樽行きに付き合うことに。
久しぶりの運転に浮かれるミライと
助手席で命懸けのドライブに耐えるケン。
笑いの絶えない道中、
二人は運河の夕暮れに包まれ、
少しずつ心をほどいていく。
そこでケンは、
前の会社で傷ついた過去を
初めて打ち明ける。
年齢も人生も違う二人なのに
なぜか一緒にいると楽になれる。
友情なのか、恋なのか
まだ名前のない感情が
夜の小樽で静かに動き始める。
💛第6話~夏が微笑んだ、時空を超えた始まり~
北海道の夏は、すがすがしく
すべてが鮮やかだった。
夕暮れが古いアパートの庭を
茜色に染めるころ
炭火の香ばしい匂いと
住人たちの賑やかな声が風に
混ざっていた。
「ミライちゃーん! こっち座りな!」
三階のおばさんが、大きく手振る。
今夜は町の花火大会
庭には年期を感じる折りたたみ椅子が並び
北海道ならではの
ジンギスカン
焼きとうもろこし、
ちゃんちゃん焼き
紙皿いっぱいの
焼きそばが所狭しと置かれている。
缶ビールの弾ける音が響く
焦げた醤油の匂い
遠くから聞こえる祭り囃子
その真ん中で
私は久しぶりに
心からほどけていた。
大好きな母国で
ようやく自分らしさを
少しずつ取り戻している気がした。
「ケンちゃーん! 肉、真っ黒だよ!」
町内会のお姉さま軍団に囲まれたケンが慌てて網をひっくり返す。
「うわ、本当だ。すいません!」
「設計はできても料理は壊滅的だねぇ」
「完全に建築ミスです」
その焦り真顔の返しに
庭中がどっと沸いた。
私も思わず頬を緩めた。
相変わらず、不思議な人だ。
無愛想に見えるくせに
時々びっくりするほど人の心を察する。
ぶっきらぼうなのに
誰より周りに気を遣っている。
はたして私が二十六歳の頃
こんなに場の空気を読めていただろうか。
そう思うとケンが妙に大人に見えた。
「ミライさん、飲みすぎじゃないですか?顔、真っ赤ですよー」
「ケンくんこそ、顔まっくろー!」
「え、うそ」
炭火の前で焼き係をしていたケンはTシャツの袖で顔をゴシゴシこすった。
その仕草はまるで部活帰りの男子高校生だった。
この人、大人なの? 子どもなの?
妙に落ち着いている時は
昭和のサラリーマンみたいなのに。
急にこういう顔をするから困る。
お酒に弱い私たちは缶ビール数本ですでにすっかり夜に飲まれていた。
「ミライさん、鮭はやっぱり味噌でちゃんちゃん焼きですよ」
「違う違う。バター醤油」
「味噌です」
「バター!」
「味噌!」
「バター醤油!」
するとおばさんが、汗だくで
うちわで煙を払いながら割って入った。
「お二人さん、どっちでもいいから~皆おまちかねよ~」
また庭中に陽気な笑いが広がった
「ほら、ミライさんのせいで恥かいたー」
「私のせい!?」
「年上なんだから責任取ってください」
「都合いい時だけ年上扱いしないでよ!」
私は紙皿に乗った焼きそばを
さっと奪った。
「あっ、それ俺の!」
「早い者勝ち!」
「大人げなっ!」
「大人だから勝つの?!」
アパートの小さな庭をいい大人二人が本気で逃げ回る。
「ミライさん、年のわりに足速っ」
「オーストラリア仕込みだからね~」
「何?その謎スキル??」
「人生サバイバルってやつ!」
くだらない。
くだらないすぎるのに
苦しいくらい楽しかった。
まるで
どこかに置き忘れてきた青春を
真夏の夜にもう一度
拾い集めているみたいだった。
――ドォォォン
突然、夜空に大輪の花火が咲いた。
群青色の空に金色の光が滲む。
赤、青、銀色。
無数の煌めきが
暖かさにあふれている
アパートの庭を
夢の中みたいに照らした。
「うわぁ……」
みんなの感嘆の声が重なる。
その爆音が
胸の奥にしまい込んでいた記憶を
呼び起こした
十一歳で突然、
母がこの世を去ってから
私はずっと
どこか置き去りにされた
子どものまま生きてきた。
海外で暮らしていた頃も
その孤独を誰にも相談できず
気づけば心は限界を越え
自力では生きて行けなくなり
入院するところまで
追い込まれていた。
時は刻々と過ぎていった
いつか、どうしても母国へ帰ろうと
思いとどまりれた時から
回復するまで、十年近くかかった。
だから今
日本の夜空の下で
誰かと一緒にこんな
綺麗な花火を見ていることが
私には奇跡みたいに思えた
今、その光に照らされた
ケンの横顔をそっと見つめた。
花火を見上げる彼の瞳は
驚くほど澄んでいた。
少年みたいに真っ直ぐでなのに時々途方もなく切なげだった。
「ミライちゃん、もうずっとここに住みなよー!」
一階のおばあちゃんが陽気に叫ぶ。
「そうそう!
ミライちゃんとケンくんが来てからこのアパート明るくなった」
一瞬、空気がふわりと揺れた。
私は何気ないふりで、隣を見る。
なんで私はこんなに彼の反応が気になるんだろう。
ケンは少し照れたように視線を落とし、それから静かに言った。
「……いてくれたら、俺も嬉しいですけど」
その声は爆音に
打ち消されていたが
私の胸の奥へ真っ直ぐ落ちてきた。
夜風が髪を揺らす。
沈黙をごまかすように
ケンが炭をつついた。
「俺、やっぱり建築やりたいんですよね」
「建築?」
「はい。今の仕事は金をためるため。本当は、設計会社に戻りたいんです」
炎の揺らぎが、彼の横顔を柔らかく照らした。
「いつか、自分でデザイン家に住みたい。誰かが、帰りたくなる場所を作れたらいいなって」
私は黙って彼を見つめた。
夢を語る人の目は輝く
迷いの中にいても
一瞬だけ未来の光を宿す。
「ケンならできるよ」
私は迷わず言った。
「絶対できる!」
「なんでそんな断言できるんですか?」
「分かるから。そういうの」
「適当だなぁ」
ケンは小さく息を漏らした。
けれどその表情は少しだけ救われた人の顔をしていた。
その瞬間
頭上で次の光が真夏の闇を
大きく押し広げた。
眩しい閃光のあと
一瞬だけ静寂が落ちた。
この時間はきっと永遠じゃない。
私は昭和を全力で駆け抜け
ケンは平成を慎重に生きてきた
まったく違う時代、違う環境
違う痛みを抱えたてきた二人が
なぜか
令和の古いアパートで
同じ日から
同じ不安をかかえ
人生を模索している。
これって?偶然?
それとも神様のいたずら?
出逢うべくして出会った運命?
でも、これから
向かう未来は、きっと全然違う
いつか彼は
自分の夢の場所へ行くのだろう
その時に私はちゃんと送り出せるのだろうか
やっぱり
どう考えても非現実的な二人?
「ミライさん?」
「……ん?」
「また難しい顔してる」
「してない」
「してるよ」
ケンが喉の奥で小さく笑った。
私は返事の代わりに
散っていく光の欠片を追った。
最後の大花火が
私達を包み込むように
真夏の空いっぱいに広がる。
あまりにも綺麗で
あまりにも儚かった
胸の奥で
小さな痛みが静かに弾ける。
でも私はまだその感情に名前をつけたくなかった。
ただ、この時間が愛おしかった。
この人といると
未来が少しだけ怖くなくなる。
火花の残響が
ゆっくり夜空へ溶けていく。
その横でケンが不意に呟いた。
「……俺、ミライさんといると
不思議と何でもできる気がする」
ケンくん・・・
その言葉は、告白じゃない。
好きだとも
そばにいてほしいとも言っていない。
なのに私はその一言で
胸の奥で何かがそっと揺れた。
まるで花火みたいだった。
一瞬だけ夜を支配する
眩しいほどの光。
けれど次の瞬間には
あっけなく散って
煙になって
跡形もなく消えていく。
この人と始まる何かは
きっと綺麗なだけじゃない。
年齢も、過去も、
これから歩く道も違う。
近づけば近づくほど
嬉しさの奥に
小さな不安まで見えてしまう
私は何も返せなかった
もし答えてしまったら
この夏の夜に咲いた小さな光を
もう知らなかったことには
できない気がした。
花火のように華やかで
同じくらい儚くて
でも確かに胸に残る何かが
私たちの間で静かに
始まろうとしていた。
そのことに気づいてしまった私は
ただ夜風の中で
そっと息を止めていた。
💛第7話はこちらから
~ごあいさつ~
こんにちは
ミライです♪
たくさんの記事の中から
訪れていただき
本当にありがとうございます!
このストーリーは
実在する
昭和世代の浦島太郎状態の妻
平成時代の堅実派な夫
出会い
遠距離恋愛
破局
マインドリセット
復縁
そして結婚までの
この五年間の歩みを描いた物語です
私たちの激動の1800日を
フィクションも少し交えながら
過ごしてきたストーリーを
お届けいたします。
アダルトチルドレンの私は
24歳も年下相手に
何度も本気でぶつかり
大泣きしてしまうような日々も
たくさんありました
それでも今は
涙あり
笑いあり
そして少しだけ
人生のヒントもある
人生再生&恋愛小説として
綴りました。
この五年間のチャレンジは
本当に紆余曲折の連続でした
50代の私にとって
決して楽な道のりではありませんでした
それでも
年齢に対する
不必要な常識の壁を
少しずつ越えていく中で
私はようやく
自分らしく輝いていいのだと
思えるようになりました
人生はいくつになっても
変わることができます!
そして
何かを突き抜けた先には
必ず明るい未来が待っていると
私は信じています
この物語が
同じように人生の岐路に悩み
迷いや不安を抱えている皆さんの心に
小さな勇気の灯りを
ともすことができたら
とても幸せです♪
いつからでも
誰でも
何度でも
あなたしだいで
ゆっくりと柔らかい光が
心に必ず差し込み始めます♪
ここまで
読んでいただき心から感謝です
ありがとうございました😊
ミライ
