【50代☆年の差婚のチャレンジライフ中!】創作大賞2026💛 恋愛小説部門エントリー作『セカンド・ロングバケーション』第5話〜運河に揺れる偶然の軌跡~
~第4話 あらすじ~
「帰りたい」
十代だらけの教習所で
五十代のミライは
初日から心が折れかける
ケンの一言に背中を押され
岩手の合宿免許へ飛び込んだものの
鬼教官に怒られ
若者たちのスピード感についていけずと
心身共にヨレヨレ
それでも、
十代の仲間たちの無邪気な優しさが
止まりかけていた心を少しずつ動かしていく
卒業試験のクランクで絶体絶命になった時
後部座席から届いた小さな声がミライを救った
合格した瞬間
真っ先に伝えたかったのはケンだった
その気持ちの名前を
ミライはまだ知らない

💛第5話~運河に揺れる偶然の軌跡~
無事に運転免許試験に
合格した翌日
アパートへ戻った朝
出来立ての免許証を
ケンに観てほしく
思わずドアをたたいていた
「ケンくん、おはようー
約束通り
連れてってあげるから
私の運転で!」
するとケンは、
寝ぼけた顔が一気に
真顔になった。
「朝から……本気ですか?」
「何で?本気も本気!」
「僕の車まだローン
残ってるんですけど」
私は思わず
吹き出した。
「失礼~
岩手で鍛えられたの」
「その“鍛えられた”が
怖いんですよ」
そう言いながらも
ケンは観念したように
車のキーを差し出した。
私は少しだけ
胸が熱くなった
ノリノリで運転席へ
ハンドルを握った瞬間
懐かしい感覚が一気にもどった
オーストラリアで
毎日のように運転していた日々
はてしなく広い空
真っ直ぐな道
どこまでも続く海岸線
110キロで走るハイウェイ
アクセルを踏むたび
昔の自分に
戻れる気がした
「ミライさん!
ブレーキ、ブレーキ!」
「わかってるー」
「いや今
完全にアクセルでした!」
「まさか?」
助手席で
シートベルトを握るケンを見て
私は肩を揺ら笑いをこらえた
私、日本で運転している
久しぶりに
明るい空気が流れ
心も晴ればれしくなった
そこからはエンジンが
かかりすぎて
私は岩手での
教習所生活を
夢中で話し始めた
「教官にね
“高山さん、それ
車線変更だから”って
言われたの」
「何したんですか……」
「ちょっと斜めに
入っただけ!」
「絶対ちょっとじゃない」
ケンは呆れながらも
どこか楽しそうだった
「あとね、卒業試験で
クランクで止まった時
高校生の子が助けてくれた」
「優しいですね」
「“未来さん、大丈夫!”って」
「青春映画みたいでしょ?」
「五十歳主人公の?」
そう言うと
ケンは声を漏らした。
「でもミライさん
そういうの似合いますよ」
「どういう意味?」
「年齢とか関係なく全力な感じです」
その言葉に
私は少し黙った。
いつからだろう。
失敗しないことばかり
考えるようになったのは・・・
傷つかないように。
期待しすぎないように・・・
そんなふうに
自分の可能性まで
小さくしていた。
でも岩手では
なりふり構わず
久しぶりに必死だった
怒られて
落ち込んで
それでも前進あるのみ
そんな私を
ケンはちゃんと
見てくれていたのかもしれない
小樽へ向かう道中
とめどなく楽しい
会話は止まらなかった
「オーストラリアって
カンガルーに
遭遇するんですか?」
「いるいるー
ボクシングしあってる」
「怖っ……。
ヒグマとどっちが強いですかね」
「それ戦わせたら
ニュースになるね」
二人同時に大笑い
「あと巨大ワニも
洪水になると道、歩いてる」
「もう絶対、住めないなー」
ケンが本気で
顔をしかめるから
私はお腹が痛くなるほど
可笑しかった。
逆に私は
日本のコンビニ文化に
感動していた
「納豆の種類が多すぎない?」
「そこ感動します?」
「あと、おにぎり
温めますか?って
聞いてくれるの好き」
「感動ポイント独特です」
意味のない会話
でも、それが心地よかった
気を遣わなくていい
沈黙も心地よい
そんな時間を
私はずっと
忘れていた気がした
小樽へ着く頃には
空がオレンジ色に
染まり始めていた
花畑で彩られている
運河沿いを歩く
赤レンガのクラシックな
ガラス館には
淡い光をまとった
繊細な工芸品が並び
まるで時間まで
ゆっくり流れているようだった。
「綺麗……」
立ち止まり
ショーウィンドウを
覗き込む私を見て
ケンが小さく言った。
「ミライさん
そういうの好きそうだな」
「え?」
「キラキラしたもの
見てる表情が
子供みたいな顔してる」
「それ褒めてる?」
「もちろん」
少し照れくさくなって
私は頭をかきながら
視線を逸らした。
そのあと入った
活気に満ちていた寿司屋で
握りたての新鮮な寿司を
久しぶりに頬張る。
「めっちゃ美味しい……
本物のお寿司ーーー」
自然と声が漏れた。
「本物?って?」
「ケン。私ね、
今すごく
“生きてる”って感じする
本当に日本に戻れて嬉しいの」
そう言うと
彼は静かにこちらを見た
「・・それなら良かったです」
その声は
潮風みたいに
静かで柔らかかった
しばらく私たちは
何も言わずに
海辺へ腰を下ろしていた
小樽の夕暮れは
なぜだか心の奥まで
ほどいていくようだった
運河に映る灯りが
ゆらゆら揺れていた
その時だった
ケンがぽつりと呟いた
「……こんなふうに
笑える日が来るなんて
思ってなかったです」
私と同じことを感じていた
ケンの横顔を思わず
真剣に見つめてしまった
ケンは少しだけ遠くを
見るような眼差しで
運河の灯りを見つめていた
「前の会社、結構パワハラで」
静かな声だった
「新入社員をほとんど
採らない会社だったんです。
自分以外は三十代から五十代の人ばかりで」
潮風が、二人の間を通り抜けた
「資格を取るには、実務経験が必要だったから
とにかく三年は頑張ろうって決めてました」
ケンは観たことのない
神妙な表情をした
「でも、思っていた以上にきついし
毎日、意味なく怒鳴られて
人格を否定されるようなことも
言われてました」
私は衝撃をうけ
何も言えなかった
いつも飄々として
冗談ばかり言っている彼から
そんな言葉が出るとは
思っていなかったから
「最初は自分が悪いんだって
思ってたんです」
ケンは苦く笑った
「でも、毎日ずっと続くと
だんだん人が信じられなくなるんですよね」
ケンは少しだけ
遠くを見るような眼差しで話し始めた
夏とは言えども涼しい
潮風が吹き抜ける
私は胸の奥が痛くなった
この人も
ちゃんと傷ついていたんだ
若いから平気なんじゃない
男だから強いわけでもない
みんな
見えない場所で
何かと戦っている
ケンは照れくさそうに
小さく息を吐いた
「でも最近ミライさんといると
なんか気が楽なんですよ」
「え?」
「変に頑張らなくていいっていうか」
私は思わず
ふっと目を細めた
「いい加減ってことかな?
でもね・・・それ、私も同じ」
離婚して
帰国して
居場所も未来も見えなくなって
私はずっと
“ちゃんとしなきゃ”って
肩に力を入れて生きていた
でもケンの前では、
失敗しても笑えた
道を間違えても
コンビニで迷子になっても
教習所で怒鳴られても
全部“ネタ”に変わっていった
それが
たまらなく救いだった
「なんか不思議」
私がそう言うと
ケンが首を傾げた
「何がですか?」
「二十四歳も離れてるのに
同じタイミングで
同じ日から
同じ場所で
人生やり直してるね」
一瞬だけ、ケンが黙った
それから
少し照れたように笑った。
「確かに」
その瞬間
私はふと思った
年齢って?
人生経験って?
本当は“壁”じゃないのかもしれない?
傷ついたこと
遠回りしたこと
もう一度立ち上がろうとしていること
その痛みを知っている
人同士だから
分かり合える瞬間がある
夜の運河には
星屑を溶かしたみたいな
灯りが揺れていた
その光の中を
私たちはゆっくり並んで歩いた
この凸凹の二人は?
恋なのか
友情なのか
まだ分からなかった
でも確かだった
あの頃
ひとりでは見られなかった景色を
今、私は誰かと一緒に見ている
それだけで十分幸せだった
なぜなら
幼い頃に置き去りにされた痛みも
誰かに否定され続けた痛みも
一人で抱え続けなくていいのだと
ずっと思っていたからだった
💛第6話はこちらから
~ごあいさつ~
こんにちは
ミライです♪
たくさんの記事の中から
訪れていただき
本当にありがとうございます!
このストーリーは
実在する
昭和世代の浦島太郎状態の妻
平成時代の堅実派な夫
出会い
遠距離恋愛
破局
マインドリセット
復縁
そして結婚までの
この五年間の歩みを描いた物語です
私たちの激動の1800日を
フィクションも少し交えながら
過ごしてきたストーリーを
お届けいたします。
アダルトチルドレンの私は
24歳も年下相手に
何度も本気でぶつかり
大泣きしてしまうような日々も
たくさんありました
それでも今は
涙あり
笑いあり
そして少しだけ
人生のヒントもある
人生再生&恋愛小説として
綴りました。
この五年間のチャレンジは
本当に紆余曲折の連続でした
50代の私にとって
決して楽な道のりではありませんでした
それでも
年齢に対する
不必要な常識の壁を
少しずつ越えていく中で
私はようやく
自分らしく輝いていいのだと
思えるようになりました
人生はいくつになっても
変わることができます!
そして
何かを突き抜けた先には
必ず明るい未来が待っていると
私は信じています
この物語が
同じように人生の岐路に悩み
迷いや不安を抱えている皆さんの心に
小さな勇気の灯りを
ともすことができたら
とても幸せです♪
いつからでも
誰でも
何度でも
あなたしだいで
ゆっくりと柔らかい光が
心に必ず差し込み始めます♪
ここまで
読んでいただき心から感謝です
ありがとうございました😊
ミライ
