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俺たち北支工作隊⑥

第6話 雨の行軍
2月16日、徳安を出発。
行き先は天門、その先に南昌。
今回は車両を置き、全員徒歩だ。

舗装もない道は、雨でぬかるんでいる。
一歩ごとに足が沈み、靴底に泥が重く張り付く。
背中には工兵の七つ道具、脇には徴発したロバや水牛がのろのろとついてくる。

前線の川に着くと、銃声がすぐそこに聞こえた。
「行くぞ!」
命令と同時に、俺たちは膝まで水に入る。
冷たさで足の感覚が消える前に杭を打ち、丸太を渡す。
橋ができるまで、戦闘部隊は向こうへ行けない。

天門の戦闘が一段落したのは、出発からおよそ一週間後だった。
しかし休む間もなく、今度は南昌へ向かう。
途中、砲撃で落ちた橋や壊れた道を修復しながら進む。
遠回りが続き、一日の行軍距離は倍にも感じられた。

ある日、谷間の村で稲の穂を見つけた。
森田が笑ってしごき、瓶に入れる。
「今度こそ食えるだろ」
夜、火にかけたが、結果は前と同じだった。
硬く、苦く、腹を満たすものではない。

3月に入る頃、旧ロ鎮に到着。
泥にまみれた軍服はほつれ、靴底は剥がれかけていた。
それでも隊列は崩れず、全員が前を向いていた。

※この物語は実在した中隊の記録を基にしたフィクションです。
 この中隊は正確には旅団独立工兵中隊であり、物語の中に出てくる地名や橋などの建造物の呼称は実在したものを使っています。

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