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父子のロードムービー北海道1983→2025①

●第一章:父の地図をたどる朝

2025年8月。夏休みを利用して、陽翔(はると)はある旅に出る決意を固めた。行き先は北海道。それは単なる観光旅行ではなかった。

42年前、1983年の夏に、彼の父が高校1年の時に体験した北海道一周の旅。
その記録が、古いノートと手書きの旅程表として家に残されていた。
部屋の押入れに、まるで地層のように折り重なった段ボールの中に。

そこには黄ばんだ時刻表のコピーと鉛筆で書かれたルート、ユースホステルのスタンプ、そして「ヒッチハイク:HH1」「HH2」などという不思議なメモが綴られていた。

その記録を丁寧に読み解きながら、陽翔は父と同じルートを辿る旅をすることに決めたのだった。ただし、当時と全く同じ旅はもうできない。廃止された鉄道路線、廃業した宿、失われた風景。

それでも陽翔は、できる限り父の旅を追体験したかった。その夏の旅が、父の中で何かを決定づけたように思えたからだ。

今は亡き父が、まだあどけなさを残す15歳の少年だった頃──
あの夏の旅路を、現代の自分が追いかけてみる。
それは、自分自身を見つめ直す旅にもなる気がした。

そして今朝、旅の出発点である神奈川県三浦市の実家で、陽翔はバックパックに荷物を詰め終えた。

「じゃあ、行ってくる」

母に短く告げて玄関を出ると、潮の香りがふわりと鼻をかすめた。

最初の目的地は、京浜急行で向かう横須賀線の久里浜駅。
父の記録には、こうあった。

『8月1日 07:56 久里浜発(大神ビル) → 東京 → 上野 →(夜行急行)→ 函館』

陽翔は、かつて父が立ち寄ったという「大神ビル」の前にも足を止めた。

名前は変わっているがビルの外観は当時のままだった。

(父さん、ここから旅が始まったんだね)

陽翔は東京駅から上野へ、そして夜行バスに乗り込んだ。

深夜、車窓に流れる街の明かりをぼんやりと見つめながら、
これから始まる2週間の旅に胸を高鳴らせていた。

※冒頭のイラストはAI生成されたものです。

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