戦後のレトロラベル|プロローグ
押入れの奥で眠っていた画用紙をヒモで綴じた手作りのアルバム。色とりどりのラベルが数十枚貼られています。題して小学三年 自由課題「ラベル集」1955。昭和20年代に流通した様々な商品のラベルを紹介していきます。
戦後10年、GHQによる占領が終わり、街に色彩と暮らしが戻りつつあった時代。(1952年にサンフランシスコ講和条約が発効し、日本は国際的に主権を回復しました)そんな頃、1人の小学生が学校の課題で集めたラベルが70年近くの時を経て、押入れの奥から出てきました。
果物、薬、マッチ、殺虫剤、繊維類、文具…当時の家庭にあった日用品の断片が、まるで小さな文化誌のように並んでいます。

最初に紹介するのは、「蜂ブドー酒」のラベルです。上部に描かれた蜂の意匠と、赤地に白抜きの太い文字。下部には神谷酒造株式会社の住所。
このラベルが貼られていたのは、甘口の果実酒、いわゆるスイートワイン。製造元である神谷酒造は日本初のバー「神谷バー」の創業者・神谷傳兵衛の系譜に連なる酒造家によるものでしょう。蜂の商標を用いたこの商品は戦後、家庭でも手に入りやすい小瓶として親しまれていたのかもしれません。
ラベルには英語で "Bee Brand Sweet Wine" と記されており、進駐軍や輸出も意識されていた可能性がありそうです。コースターほどのサイズですが、時代の空気や生活の層が幾重にも刷り込まれていると感じます。
この連載では、これらのラベルを1枚ずつ紹介しながら、戦後日本のデザイン・暮らし・印刷文化をたどっていきます。次回は、毛糸会社の名前がなぜか果物ラベルに印刷された、「占領下の桃」を取り上げます。
MADE IN OCCUPIED JAPANです。
※掲載したラベル画像は私的収集資料に基づくものであり、現存する商標・企業・ブランドとは一切の関係を有しません。商標権や著作権等に配慮し、透かし処理を施した上で、文化的記録として公開しています。掲載に問題がある場合はお手数ですがinfoアットheather.co.jpまでご一報ください。追って対応いたします。
