戦後のレトロラベル|01
昭和20年代の毛糸のラベルに宿る時代の記憶
「MADE IN OCCUPIED JAPAN」の文字が語るもの
熟れた桃の房の下に印刷された2つの文字列
「NISSHIN COTTON SPINNING CO., LTD.」
「MADE IN OCCUPIED JAPAN」

これは、昭和20年代、いわゆる「占領期」に製造・輸出された毛糸や繊維製品の包装ラベルとみられます。戦後の混乱期に作られた日本製品。「MADE IN OCCUPIED JAPAN」という表記は1947年から1952年の間、アメリカをはじめとする連合国向け輸出品に対し、事実上の標準として広く使われていました。日本がGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の管理下にあったことを示す言葉です。
このラベルに描かれた桃のイラストは、海外向けの商品として、日本的な瑞々しさや品の良さをアピールしたものだったのでしょう。背景の濃紺と、アールデコ調の枠のデザインも含め、実用と美術が融合した昭和モダンの香りが漂います。
ラベルの下部に記された社名「NISSHIN COTTON SPINNING CO., LTD.(日清紡績株式会社)」は、当時の日本の繊維産業を代表する企業の1つで、輸出向けの製品も多く手がけていました。戦後復興の原動力として、繊維は「外貨を稼ぐ」重要な産業だったのです。
小学三年生の自由課題として
このラベルは1955年に小学三年生が「自由課題」として収集・整理した「ラベル集」の1枚です。当時の子供たちは身の回りの日用品のパッケージを丁寧に剥がしては画用紙に貼って観察し、記録しました。今では昭和の生活文化を記録する貴重な資料です。
桃の絵が印象的なこのラベル1枚にも敗戦から立ち直ろうとする日本の足音が刻まれている気がします。
※掲載したラベル画像は私的収集資料に基づくものであり、現存する商標・企業・ブランドとは一切の関係を有しません。商標権や著作権等に配慮し、透かし処理を施した上で、文化的記録として公開しています。掲載に問題がある場合はお手数ですがinfoアットheather.co.jpまでご一報ください。追って対応いたします。
