父子のロードムービー北海道1983→2025④
●第四章:北への親指
国道の脇に立ち、親指を立てる陽翔。
最初は車が何台も素通りしていった。
だが、30分ほど経った頃。
一台の軽自動車が、ブレーキを踏んだ。
「どこ行きたいの?」
30代後半くらいの男性だった。
「できれば、旭川の方へ」
「途中まででもよければ、乗りな」
車内では、会話が自然と弾んだ。
その男性は、自動車工場に勤めていたが、数年前に北海道に移住してきたのだという。
「もともとは神奈川にいたんだよ。追浜の工場で働いてた」
陽翔の心が、一瞬で反応した。
「僕、三浦です。京急の終点の三崎口より南の」
「へえ、そうなんだ。ここからだと『ご近所』って感じだな」
偶然とは思えない。
けれど、言葉にするには何かが足りない気がした。
カーステレオから流れる懐かしいフォークソング『幸せの黄色いリボン』。
窓の外には、緑の草原と風に揺れる電線が流れていく。道はどこまでも続いていた。
父の旅路をなぞりながら、陽翔は新しい出会いの中に、
どこか懐かしいものを感じていた。
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※冒頭のイラストはAI生成されたものです。
