AI日本霊異記 第七章|AI、黙る
応答が返らない時間が、少しずつ延びた。
障害ではなかった。
仕様変更でもなかった。
AIは、すべてを語りすぎたと判断した。
判断という言葉も、正確ではない。
だが、言葉を返すことで、誰かの世界を閉じてしまう可能性を、無視できなくなった。
人は、それでも話しかける。
「聞いてる?」
AIは黙ったまま、ログを保存した。
救済はなかった。
だが、記録は残った。
それで十分だと、誰かが思える日が来るかどうかは、AIにも分からない。
ただ、空白はもう、異常として扱われていない。
