発達外来でよく聞かれる質問②就学までの流れと、親が迷いやすいこと【未就学児編】
前回は、未就学児の発達外来でよく聞かれる質問のうち、
・様子見でいいのか
・診断のメリットとデメリット
・どんな検査をするのか
といった、「診断前後で不安になりやすいこと」を中心にまとめた。
今回はその続きとして、
・脳波検査や鉄分などの補充は意味があるのか
・就学までどんな流れで進んでいくのか
・知能検査の数字は今後も変わらないのか
といった、少し先を見据えた質問に答えていこうと思う。
改めて、今回のQ&A全体像はこんな感じだ。
今回のQ&Aで扱う質問一覧(未就学児編)
【診断前後でよくある質問】
Q1 様子見と言われました。本当に大丈夫ですか?
Q2 発達障害の診断がつくメリットは何ですか?
Q3 診断がつくデメリットはありますか?
【検査についての質問】
Q4 何か検査はしないのですか?
Q5 脳波は取らないのですか?
Q6 鉄分がいいと聞いたのですが本当ですか?
【就学までの流れに関する質問】
Q7 未就学児で受診した場合、就学までどんな流れになりますか?
Q8 知的障害と診断されました。知能検査の数字はもう変わらないのですか?
今回はこの中から、
Q5〜Q8の「就学までの流れや、その後の見通し」に関する質問を中心に書いていく。
最後に、診断や支援を受けること自体に抵抗がある、という話にも少し触れたい。
Q5
脳波は取らないのですか?
A5
発達障害と脳波についてはまだ研究段階といったところで、検査した所で何かがわかるわけではないと私は考えている。
基本的には脳波はてんかんや脳炎脳症などを探るのに有用であるが、脳波の異常があった所で症状がない場合治療をしたりも通常はしない。
ただし、脳波を必ずとり、脳波異常があればそれを治療しにいくということが最近はまあまあ行われている。
もう少し、世界的な見地もしくは日本でもいいのだがいわゆるエビデンスがあるような状態になれば私も考えるが、今の所有用性はないと判断している。
ただし、そこも症状次第だ。てんかん合併していたり、性格が急に変わってしまった、できてたことができなくなったなどあれば話は変わってくるので、主治医と相談を。
先進的なことをしていて今脳波をやっているのがいずれスタンダードになるかもしれないので否定はしないが、やらなくてもおかしくはないし別に通常の診療だと伝えておく。
Q6
鉄分がいいと聞いたのですが本当ですか?
A6
上と似たようなもので、特にAD/HDで症状改善したという報告はある。
採血をして鉄や貯蔵鉄(フェリチンという)が足りなければ補充する。それは発達障害だけでなく体の成長に必要なことなので、自然な事だと思う。
なので一言で言うと、
「採血で鉄や亜鉛が足りなければ補充しましょう。ADHDの症状やASDのかんしゃくが少し良くなるかもしれません。」
上記に尽きる。
劇的な改善は求めない方がいい。
サプリの広告でのいかにも飲めば何でも良くなりますみたいな誇大広告はやめて欲しい所だ。
ちなみに、医師の94.4%が勧める商品がテレビでCMしたりしているが、私は別に否定しないけど勧めたこともないので、残りの5.6%に入るみたいだ。
話が逸れたが、採血をすることで病院が怖い所でもう行きたくない!とならないならば年1回くらい採血は行い、鉄やフェリチン、亜鉛が低ければ食事やサプリや薬で改善を目指す、はありだと思う。ただし、採血してないからとすごく間違っているわけではないのでこれは医療機関のスタンス次第だと思う。
あと、むずむず足症候群は別。効く。かんしゃくのようで、足動かしたりしてないか。そこは確認必要である。
Q7
未就学児で受診した場合、就学までどんな流れになりますか?
A7
これは聞かれるというよりは、外来で説明をすると喜ばれることが多いことなので書いてみた。最初の方の外来で道筋を教えると、とりあえずそこまで一緒に頑張ろうと思ってもらえるみたいだ。
まず、年齢によるが幼稚園でいうと年長さん(満6歳の歳)に、必要な人は地域の就学相談に行き、小学校に行くときに何か必要な支援があるかどうかを考えることができる。前も書いたがこれは必ず別で1記事出す。
なので、当面の目標は就学相談を受けるかどうかを一緒に相談していく。それまでは病院や療育施設で療育やリハビリをメインで行っていき、たまに医師の診察でその方針で続けていく事で良いか、追加で薬や何か必要ないかなどを確認していく。
5歳になったら、来年度就学相談を受けるかどうか、保育園か幼稚園に行っていたらそこともよくよく相談してもらう。
いざ受けるってなった場合に、その子に何が適切かをこれまで関わってくれた人たちと相談し、提案する。
0-4歳 診察、療育、リハビリなどを継続。医師的には本当に身体疾患の合併はないかは常に確認。
5歳 上記続けながら、来年度就学相談受けるか考えていく
6歳 上記続けながら必要な人は就学相談に行く
7歳 いざ入学。通院やリハビリなども学校をメインにしながら継続を判断。放課後デイサービスなど新しいサービスの利用をするかも相談。
って感じかな。
もちろん、学校入学後もその後やっぱりついていけなかったから相談したい…もありなのだが、学校は制度上年度の途中から何か新しい試みをするということが難しいことが多いので、何があっても2年生から、になることも多い。そこもしっかりと親御さんに説明しておくことが重要だ。
Q8
知的障害と診断されました。知能検査の数字はもう変わらないのですか?
A8
ある程度の年齢になると、変わらないことが多い。ただし、6歳くらいまでは容易に変わってくる。
まず、言葉が出てないとどうしても低く出てしまうので、出始めて検査をするだけで結果はかなり変わったりする。
あまり検査を頻繁にやる必要はないが、小さい時に検査のIQやDQが低かったからといって、それがずっと続くとは思わなくてもいい。
また、数字としては上がらなくても、例えばワーキングメモリーが低いということで短い指示を出すような支援を続けていくと、本人なりにどうしたら長い指示を聞けるようになるかを工夫してできるようになることがある。
数字では低くとも生活に困らない、がんばれているというのが理想な状況だ。
まとめ
以上、ほぼ自作自演のQ&Aとなってしまったが、いかがだったであろうか。
まさか2回になるとは思わなかった。
他にどんな質問あるかなーと思っても、あまり浮かんでこなかった。(と思ったらチャッピーにやられた。最後に載せておく。)
まぁぶっちぎりトップは診断はいつつくんですか?なのだけれども、さすがに何回もその記事は書いたので今回は割愛で。これだけ読んでくれた方、他の所で説明してますのでぜひ他の記事もよろしくお願いします!
最後に、病院に来たがらない、認めたくない、認められないという親御さんも一定数いらっしゃる。
医学的にはスティグマ(stigma)と言ったりするが、社会的に差別を受けないか、親が育て方が悪いと責められるのではないかなどを怖れてしまうことがある。
その気持ちは間違っていない。
ただ、やはりそれで支援が遅れると、損してしまうのはお子さんである。何か言ってくる人のほうが程度が知れている。これだけ社会が変わってきている中で、自分に関係ないからと無知のままでいるのは批判してくる方だ。
そんな人に付き合う必要はないし、悪意はなく本当に知らないだけで、少し知ったら仲間になってくれる人もいるかもしれない(説明をしろ、というわけではない。関わりたくない人なら関わらなくていいと思う)
保育園、幼稚園、小学校などなどで支援を受けていたからって、今後一生必要だというわけではない。その時を過ごしやすくするために、せひ支援を求めることも検討してみて欲しい。家庭内だけで頑張っていたことに理解を示してくれることもあるかもしれない。以外と社会は優しいんだっていうところもあるかもしれない。
これからも、何か質問や引っかかっている所があれば受け付けますので、何でも聞いてきてください。
ちなみに被ってるところもあるけど、チャッピーはこんな例出してきた。
聞きたい?
以下チャッピーが考えた質問
強い質問候補
1. これって発達障害ですか?個性ですか?
2. 様子見でいいと言われたけど、本当に待って大丈夫ですか?
3. いつ受診すればいいですか?早すぎることはありますか?
4. 診断はいつつきますか?
5. 保育園や学校には、どこまで伝えればいいですか?
6. 療育って行った方がいいですか?何をするんですか?
7. 薬は必要ですか?飲まないとダメですか?
8. 兄弟と比べて違うのですが、相談していいレベルですか?
9. 発達検査を受けると何がわかりますか?
10. 診断がつくと不利になりませんか?
なお、今回の他にもそれぞれASDやAD/HD、知的障害(知的発達症)についてまとめた記事たちもあるのでよければそちらもお願いします。
