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10月は秋物が動く月だと思っている人ほど、タイミングを外す【月刊販促設計 2026年10月号 第2回】

このシリーズについて

「月刊販促設計」は、総務省統計局が毎月発表する家計調査データと気象庁の気象データを活用し、3か月先の販促計画を立案するための実践的な情報を提供するシリーズです。

こんにちは。ミタカ販促設計ラボ室長のサタケです。

第1回では2025年10月のデータを分析し、消費支出が実質3.0%の減少だったにもかかわらず、その主因が自動車購入の急落と通信費の減少という日常消費とは直接関係の薄い費目だったことを確認しました。日常消費に近い業態にとって、月全体のマイナス3%という数字と自業態の実態は別の話として読む必要があるという視点を提示しました。

今回は「被服が2025年9月の▲7.4%から10月の+6.3%へと反転した」という事実に注目します。

一見すると「10月になって気温が下がり、秋物が動いた」という単純な話に見えます。しかし前年(2025年)の気象データを確認すると、その動きは「10月になったから」ではなく「10月の中のいつ気温が下がったか」によって起きたことが読み取れます。

この記事でも、2025年10月に何が起きたかという前年データの確認と、そこから2026年10月の設計にどんな示唆が得られるかを、明確に分けて整理します。


2025年10月の気象と被服の動き

気象の二極構造

2025年10月の気象は、月の中で大きく2つに分かれていました。

上旬から中旬にかけては記録的な残暑が続きました。上旬の平均気温は北日本で平年より2.2℃高、西日本で3.0℃高、沖縄・奄美で2.9℃高で、1946年以降の10月上旬として1位または1位タイの高温でした。中旬は西日本で平年より4.6℃高となり、10月中旬として1946年以降1位の高温でした。10月12日には鹿児島県の観測点で歴代最も遅い猛暑日が記録されています。

下旬は一転して北・東日本でかなり低い気温となりました。シベリア高気圧が顕著に強まり、秋から冬への急激な移行が起きました。

同じ「10月」という月の中で、上旬・中旬は記録的残暑、下旬は急寒という、まったく異なる気象が続いた月でした。

被服の反転はいつ起きたか

2025年10月の被服及び履物は実質6.3%の増加でした。2025年9月の7.4%減から方向が反転しています。

月全体として「10月に秋物が動いた」と読むことはできますが、気象の二極構造を重ねると、その動きが月の前半に起きたとは考えにくく、下旬の急寒が到来してから秋物への需要が動いた可能性が高いと読み取れます。上旬・中旬の残暑の中で秋物を購入しようという動機は生まれにくく、下旬に急に寒くなったことで緊急性が発生したという構造です。

2025年9月の被服が7.4%減だったのも同じ理由で説明できます。2025年9月は上旬から月全体を通じてかなり高い気温が続き、秋物に手が伸びる気象条件にありませんでした。

保健医療の5か月連続増加

2025年10月の保健医療は3.6%の増加で5か月連続の実質増加でした。季節の変わり目に伴う体調管理需要と、インフルエンザシーズン前の受診行動が継続した結果と読み取れます。変動性の高い費目ではなく、定着したトレンドとして機能していた費目です。

宿泊料の減少

2025年10月の宿泊料は前年比で大幅に減少しました。2025年9月の連休需要で動いていた旅行費が、10月に引き締まった動きとして確認できます。9月号の第3回で示した「SW後の引き締まりを想定しておく」という示唆が、前年の実データで確認された形です。

2025年10月が示した「タイミング」の問題

2025年10月の被服の反転と気象の二極構造を重ねると、一つの事実として整理できます。

2025年10月は「10月だから秋物が動いた月」ではなく、「下旬に気温が急落したから秋物が動いた月」でした。

月の前半3週間は記録的な残暑が続いており、その期間に秋物売場を最前線に出していても、消費者の体感とのずれが生じていた可能性があります。月全体の数字として被服がプラスに出たのは、下旬の急寒という気象トリガーがあったからであり、月の初めから秋化した売場が機能した結果とは読み取れません。

2026年設計のために → 2025年データから得られるヒント

ここからは前年(2025年10月)のデータを参照材料として、2026年10月の設計判断にどんなヒントが得られるかを整理します。

ヒント① 10月の秋化は「月初」ではなく「気温確認後」が基本姿勢

前年の2025年10月は上旬・中旬まで記録的残暑が続きました。2026年10月がどの程度の気温で推移するかは気象予報を待つしかありませんが、10月の気温が前半高く後半下がるという構造は、2025年に限った話ではなく過去にも起きています。月初から秋化した展開を全面的に押し出す設計より、最高気温が一定水準を下回ったことを確認してから切り替える判断軸を持っておくことが、前年データからの自然な考え方です。

具体的な判断基準として、最高気温が継続して20℃を下回る週が始まったタイミングを秋物展開の本格化の目安とすることが、前年データを踏まえた設計として考えられます。この基準は地域によって異なるため、自店の商圏の気温データを週次で確認する習慣を持つことが有効です。

ヒント② 残暑が続く前半の設計は「夏の延長」として持つ

前年の2025年10月上旬・中旬は残暑対策商品・保健医療用品・飲料の需要がまだ存在していた可能性があります。保健医療が5か月連続で増加していたことを踏まえると、10月前半は「夏の延長として保健医療・衛生用品を維持しながら、秋への移行準備を進める」という両面設計が、前年データからは自然な流れとして読み取れます。

ヒント③ 宿泊料の減少はSW後の引き締まりとして10月設計に組み込む

前年の2025年10月に宿泊料が減少したことは、9月の連休需要の反動として読み取れます。2026年9月もシルバーウィークがある前提であれば、2026年10月の旅行・外出関連需要は引き締まる可能性が高く、教養娯楽サービスへの過大な期待は避けることが前年データからの警鐘です。

ヒント④ 被服の比較ベースが低いことを活かすのは「下旬」

2025年10月の被服が6.3%増と反転したため、2026年10月の比較ベースは高くなります。一方で2025年9月の被服が7.4%減でしたから、2026年9月の比較ベースは低い状態です。2026年において被服がプラスに出やすい月として9月が挙げられますが、これも気温次第です。月間の数字より「いつ気温が下がったか」という週次の動きを追うことが、被服カテゴリーの設計精度を上げます。

ヒント⑤ 保健医療は引き続き継続展開の根拠がある

2025年10月まで5か月連続で増加していた保健医療は、定着したトレンドとして扱える費目です。2026年10月においても、インフルエンザシーズンへの移行という季節的な条件が重なることで継続展開の根拠が続きます。前半の残暑期間中も、後半の寒波到来後も、保健医療は週を問わず維持できるカテゴリーとして設計に組み込めます。

「秋化のタイミング」という判断軸

4月号の検証記事で確認した「名目と実質は別物として読む」「大口費目の振れに引っ張られない」「前年の急伸・急落は翌年のベースになる」という3点を、今号の文脈に当てはめると次の整理になります。

10月は名目でわずかなプラス(+0.3%)でも実質はマイナス3.0%という、名目と実質の乖離が大きい月でした(物価上昇分が消費を名目上かさ上げしている)。自動車購入の急落という大口費目の振れが全体を引き下げた月でした。そして8月・9月に急伸した自動車購入が10月に急落したことは、前年の急伸がベースを高くした結果として読み取れます。

この3点が同時に確認できた月として、2025年10月は今後の設計判断の参照材料として価値ある月です。

2026年10月の設計において最も重要な判断は「いつ秋化するか」のタイミングです。前年データは「月初から」ではなく「気温を確認してから」という判断を支持しています。

次回予告

第3回では「10月が終わったら、11月を何で設計するか」として、前年(2025年10月)のデータ全体を2026年10月・11月の設計へのヒントとして改めて整理します。最終回公開後には「2026年10月 販促設計カレンダー(PDF版)」を配布予定です。

プロフィール

室長について
佐竹 昭治|株式会社サタケプランニングオフィス 代表取締役

小売・サービス業の現場で、生活者視点を軸にした販促戦略を提案。マーケティングプランナーとしての経験(20年以上)×データ分析×AI活用による「ハイブリッド販促設計」で、「伝わる販促」「来店してもらえる仕掛け」づくりをサポート中。

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サタケ|ミタカ販促設計ラボ 販促のヒント、伝わっていれば何よりです。 チップは今後の調査・記事制作の資金として大切に使わせていただきます。──室長・サタケ