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【検証記事】月刊販促設計2026年1月号は的中したのか 5項目で採点する答え合わせと次への改善【月刊販促設計 2026年1月号 検証編】

月刊販促設計とは

「この時期、何をどう売ればいいか分からない」

小売業の現場でよく聞く、この切実な声。「月刊販促設計」は、そんな悩みに寄り添うための連載です。

家計調査や気象データなど、生活者の行動変化を裏付ける「根拠のある情報」をもとに、3か月先の売場を週単位で設計していきます。気配を読み、流れをつかみ、売場を先回りして整える。小売りの現場に立つ方々と一緒に考えたい、販促の「設計図」をお届けしています。

こんにちは。ミタカ販促設計ラボ室長のサタケです。

2025年10月、「月刊販促設計 2026年1月号」として3本の記事を公開しました。「3つの相(初売り・成人の日連休・日常回帰)で読み解く1月販促戦略」という枠組で、消費フェーズ編、データ活用編、カレンダー設計編という構成です。

あれから5か月。2026年1月の家計調査データが3月10日に公表され、記事で示した予測を検証できる材料が揃いました。結論から言えば、全体消費動向の予測は外れました。予測では前年並みの横ばいを想定していましたが、実際は実質マイナス1.0%と2か月連続の減少でした。

今回は5つの軸で点数をつけ、何が外れて、何が機能していたのかを検証します。


この記事シリーズの前提条件

最初に、このシリーズが何を目指しているのかを確認しておきます。

このシリーズは無料公開記事であり、使用データは誰でもアクセスできる公開情報のみです。具体的には、総務省の前年同月の家計調査データと、気象庁の過去の気象データ。この2つだけです。

実際の有料コンサルティング業務では、複数年のトレンド分析、消費者信頼感指数、POS分析など、多様なデータソースを使います。しかしこのシリーズでは、あえて最低限の公開データだけを使い、そこから販促思考をどう組み立てるかを示しています。

つまり、これは「完璧な予測」を目指したものではなく、「限られたデータで考える販促思考のチャレンジ」です。今回の検証も、その前提でお読みください。

私が2025年10月時点で想定していたこと

2025年1月の家計調査データは実質プラス0.8%、住居費が大幅増(設備修繕・維持が前年比82%増)、教育費も授業料等を中心に増加という内容でした。私はこの流れに注目し、次の3点を予測の柱に据えました。

住居関連は「住まいリフレッシュ」意識が継続するとして、第2回でDIY用品・掃除用品の重点展開を提案しました。教育費は受験シーズンを根拠に「堅調」と読み、第1回・第3回で受験応援コーナーの設置を具体的に指示しました。保健医療と教養娯楽は「気温に左右されない安定カテゴリー」として継続成長を見込みました。

また、「3つの相」という思考枠組を核に置き、1月4日・12日・17日という転換節目を設定し、週別・日別のアクションカレンダーまで提案しました。

実際に起きたこと

2026年3月10日に公表された2026年1月の家計調査データは、想定と異なる展開でした。

消費支出は307,584円で実質マイナス1.0%。2か月連続の実質減少です。勤労者世帯の実収入は実質プラス1.3%と増えましたが、消費支出は実質マイナス0.7%。収入が増えても使わないという状態が続いています。

費目別では、住居が実質マイナス12.3%、教育が実質マイナス22.6%と大幅に落ち込みました。一方、家具・家事用品が実質プラス13.5%(エアコンが主因)、教養娯楽がプラス10.8%、食料もプラス1.5%と予想外の伸びを示しました。保健医療は8か月連続プラスで、プラス3.1%と堅調でした。

5項目での採点評価

項目1:全体消費動向の予測精度 25点/100点

前年(実質+0.8%)の流れから「横ばい微増」を想定しましたが、実績はマイナス1.0%で方向が逆でした。

最大の原因は、前年同月の急伸費目がそのまま続くという前提で組んだことです。住居費と教育費はいずれも2025年1月に特異な急伸があり、その高い比較ベースが翌年の反動減を引き起こしました。「急伸した翌年は反動減の可能性が高い」という視点がありませんでした。これは構造的な見落としとして次回に持ち越します。

項目2:カテゴリー別予測の精度 40点/100点

当たった項目は保健医療(8か月連続プラスの継続を指摘)と教養娯楽(初売り期の開放感)。この2つは方向・規模ともに概ね正しかったと言えます。

外れた項目は住居(大幅マイナス)と教育(大幅マイナス)、そして予想外の伸びを示した家具・家事用品です。特に教育については重要な読み違えがあります。家計調査の「教育」費目の大部分は授業料等(大学・専門学校の学費)であり、受験応援グッズや参考書は「補習教育」や「書籍・他の印刷物」といった別の費目に分散されます。「受験シーズン=教育費が増える」という読み方は、費目の構成内容を確認すれば成立しない誤接続でした。費目名と実際の中身のずれを確認しなかった結果です。

項目3:思考枠組(3つの相)の有用性 80点/100点

「初売り期・成人の日連休・日常回帰」という3つの相の構造、各転換節目(1/4・1/12・1/17)の設定、週別・日別のアクション指示は、全体の消費数字が外れても現場で使える内容です。

消費支出の予測は外れましたが、「何をいつやるか」という実務指針は、マイナス成長の局面でも有効です。保健医療が堅調であると知っていれば、その売場を強化できます。相の転換タイミングを理解していれば、消費が冷えていても売場の切り替えミスは防げます。このシリーズの本質は「予測の的中」ではなく「思考の枠組の提供」にあります。その点では一定の機能を果たしました。

項目4:データ活用視点の妥当性 55点/100点

家計調査と気象データを組み合わせる方向性、気温シナリオを複数準備する考え方、景気ウォッチャー調査を補助指標として言及した点は妥当でした。

ただし気象シナリオは記事の主軸を「前年(暖冬・多照)の延長」に置いており、実際には前年より寒い1月になりました。エアコン需要が急増したのはその結果です。また、費目の中分類・小分類を事前に確認するという手順が抜けており、「教育費」の実際の構成品目を確認していれば生じなかった誤読が残りました。データを読む前の「費目定義の確認」をプロセスに組み込む必要があります。

項目5:実務への応用可能性 75点/100点

週別の具体的テーマ設定、売場転換の段取り、PDCAの回し方など、記事で示した実務指針は数字の予測が外れても現場で使えるものです。

「第2週の木・金から初売り商品を撤去し連休モードへ」「共通テスト翌日から日常売場へ完全転換」といった判断軸は、消費支出がプラスでもマイナスでも変わらない現場判断です。ただし、全体が冷え込む局面での守りの戦略(在庫圧縮、粗利確保重視への切り替え)は盛り込まれておらず、そこは改善余地として残ります。

総合評価:55点/100点

5つの軸の平均は55点です。12月号検証(61点)より低い評価となります。「当たる予測」だけを軸にすれば25点ですが、「使える思考法の提供」という目的から見ると枠組は機能していました。ただし、費目定義の確認不足という再現性のある誤りが含まれており、それが全体評価を引き下げています。

予測が外れた主な理由

3点に整理できます。

前年の急伸を翌年も継続する変化として扱ったことが最大の要因です。住居費も教育費も、2025年1月の数字は複数年の平均から見れば明らかな突出値でした。前年同月1点だけを参照する以上、異常値を正常値と誤認するリスクは常にあります。

費目の構成内容を確認せずに命名から意味を類推したことも要因です。「教育費」を「受験関連全般」と読み替えた誤接続は、中分類・小分類を確認すれば避けられました。

気象シナリオを複数準備するという方針を打ち出しながら、主軸の設定を1パターンに収束させてしまったことも反省点です。

枠組は機能していた

ただし、検証を通じて確認できたのは、提供した「枠組」そのものは有効だったということです。

保健医療の安定成長、教養娯楽の伸びは記事で指摘していた通りでした。「3つの相」という構造理解は、全体の消費がマイナスでも現場で活用できます。限られた公開データから、実務で使える思考プロセスを示す。それがこのシリーズの目的であり、その点では機能していました。

次回に向けた工夫の余地

費目の主要構成品目(中分類・小分類)の事前確認を予測プロセスの標準手順として組み込みます。費目名から意味を類推する前に、家計調査の品目分類を確認する作業をはさむだけで、今回のような誤接続は避けられます。

また、前年の大きな寄与度項目が「一時的な変動か、定着した変化か」を検討するステップも加えます。この判断のために、前年1点ではなく複数年の同月データとの比較を可能な範囲で参照します。

ただし、いずれも無料記事としての読みやすさとのバランスがあります。できる範囲で少しずつ試していきます。

検証の意義

予測したら終わりではなく、実際のデータと突き合わせて何が正しく、何が間違っていたかを確認する。この作業なしに、次の精度は上がりません。外れたら黙って次の予測を出すのではなく、透明性を持って検証する。それがこのシリーズの姿勢です。

55点は決して高くありません。しかし、限られたデータでの挑戦として、今回の検証から得た学びは次号に反映します。読者の皆さんが小売業の現場で使える思考の枠組を、これからも追求していきます。

プロフィール

室長プロフィール
佐竹 昭治|株式会社サタケプランニングオフィス 代表取締役

小売・サービス業の現場で、生活者視点を軸にした販促戦略を提案。マーケティングプランナーとしての経験(20年以上)×データ分析×AI活用による「ハイブリッド販促設計」で、「伝わる販促」「来店してもらえる仕掛け」づくりをサポート中。

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【小売チェーン向け市場予測:外れても説明できる5層分析フレーム】

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サタケ|ミタカ販促設計ラボ 販促のヒント、伝わっていれば何よりです。 チップは今後の調査・記事制作の資金として大切に使わせていただきます。──室長・サタケ