見出し画像

盛り上がった9月後半を、10月の前提にする前に【月刊販促設計 2026年9月号 第3回・最終回】

このシリーズについて

「月刊販促設計」は、総務省統計局が毎月発表する家計調査データと気象庁の気象データを活用し、3か月先の販促計画を立案するための実践的な情報を提供するシリーズです。

こんにちは。ミタカ販促設計ラボ室長のサタケです。

2026年9月号の最終回です。

第1回では2025年9月の家計調査データを分析し、その結果として2026年9月を「二度切り替わる月」と定義しました。

第2回では同じく2025年9月のデータを踏まえて、2026年9月の設計に向けた思考軸として「全部売ろうとした瞬間にズレる」という視点を整理し、2026年9月の前半と後半を別の設計で持つ必要性を示しました。

最終回は2つのことをします。ひとつは前年(2025年9月)のデータが示した構造を改めて整理すること。もうひとつは、そこから2026年9月・10月の設計にどんな示唆が得られるかを考えることです。

このシリーズで使っているのは前年同月の家計調査データです。2025年9月に何が起きたかを確認することと、2026年9月にどう設計するかは、別の話です。前年データは判断の根拠であって、「今年も同じことが起きる保証」ではありません。この前提を最終回でも維持したまま進めます。

A:2025年9月に何が起きたか

全体像

2025年9月の消費支出は実質1.8%の増加でした。前月比(季節調整値)は実質0.7%の減少で、2025年8月の勢いより落ちた数字でした。勤労者世帯の実収入は実質±0.0%で止まり、可処分所得は実質0.6%の減少でした。平均消費性向は82.1%で、前年同月(76.6%)より5.5ポイント高い水準でした。2025年9月は、収入が伸びない中で消費性向を高めて支出を維持した月でした。

何が動いたか

2025年9月の消費全体を最も大きく引き上げたのは自動車等購入(寄与度+1.18ポイント)と諸雑費・寄付金(寄与度+1.31ポイント)の2費目でした。教養娯楽は6.4%の増加(2か月連続)で、旅行需要を含む費目として動いていました。保健医療は11.1%の増加で4か月連続の実質増加でした。

何が止まったか

被服及び履物は7.4%の減少でした。食料は0.5%の減少で4か月連続の実質減少が続きました。光熱・水道は2.4%の減少で、2025年8月の4.7%増から方向が反転しました。住居は7.0%の減少で3か月連続の実質減少でした。

気象との関係

2025年9月の月平均気温は全国的にかなり高く、上旬平均気温は東日本で平年より2.9℃高い、1946年以降の9月上旬として1位の高温でした。台風第15号が9月5日に高知県・和歌山県に上陸し、上旬の消費行動に影響しました。中旬は前線停滞による大雨、下旬は北・東日本を中心に晴天が続きました。

2025年9月の構造をひとことで言えば

消費全体は伸びていましたが、その伸びを作ったのは自動車購入と諸雑費(寄付金)という変動性の高い2費目でした。収入が止まった中で消費性向が高まり、気温が依然高く秋物は動かず、食料の節約傾向は4か月継続していました。これが前年データとして確認できた2025年9月の姿です。

B:そのデータから2026年設計へのヒントを読み取る

ここからは前年(2025年9月)のデータを「参照材料」として、2026年9月・10月の設計判断にどんな示唆が得られるかを整理します。前年と同じことが起きるという予測ではなく、「前年の構造を知った上でどう備えるか」という考え方です。

ヒント① 自動車購入の比較ベースは高くなる

2025年8月(+162.1%)→2025年9月(+52.3%)と2か月連続の大幅増だった自動車購入は、2026年の8月・9月において前年の比較ベースを高くする費目です。3月号検証(42点)で繰り返し確認してきた「急伸した費目の翌年は反動リスクを持つ」という視点をここでも当てはめると、2026年9月にこの費目が同水準で動くとは考えにくく、比較ベースの高さが全体の数字を厳しくする可能性があります。

ヒント② 諸雑費・寄付金の扱いは慎重に

2025年9月に+14.9%と大きく伸びた諸雑費(寄付金を含む)は、定着した動きとして2026年の設計に組み込むには慎重な判断が必要な費目です。寄付金は社会的な出来事や制度に連動して動く可能性があり、2026年9月に同水準で動く根拠を前年データだけから見出すことはできません。

ヒント③ 教養娯楽は連休の条件を確認してから判断する

2025年9月の教養娯楽+6.4%は、連休という特定の条件に連動していた可能性があります。2026年9月も同様の連休構造が存在することは確かですが、旅行需要は気象・物価・客層によって変動します。前年の数字を2026年の期待値にするのではなく、連休前の週の実際の動向を確認しながら判断することが現実的です。

ヒント④ 保健医療は継続展開の根拠がある

2025年9月の保健医療4か月連続増加は、変動性の高い費目ではなく構造的なトレンドとして読める動きでした。この傾向が続くとすれば、2026年9月においても季節の変わり目・インフルエンザシーズンへの移行という条件と重なることで継続展開の根拠になります。

ヒント⑤ 被服は気温次第で反転の可能性がある

2025年9月に7.4%減少した被服は、2026年9月の比較ベースを低くします。気温が十分に下がれば前年同月比でプラスに出やすくなりますが、2025年9月が残暑で動かなかったように、これは気温という条件次第です。「前年が低かったから今年は上がるはず」という読み方ではなく、「気温が下がったタイミングで展開する準備を持っておく」という姿勢が前年データからの自然なヒントです。

ヒント⑥ 2025年9月の消費構造からは、SW後の引き締まりが示唆される

2025年9月は収入が止まった中で消費性向を高めて支出した月でした。また食料の節約傾向は4か月継続しており、2025年9月のデータからは日常消費の引き締め基調が続いていたことが読み取れます。この構造を前提にすると、2026年のシルバーウィーク終了後に消費が引き締まる可能性は十分に考えられ、2026年10月の設計においてSW後の需要縮小を想定しておくことが前年データからの自然な示唆です。

8月号との接続:前年データで「歪みの連鎖」を読む

8月号の最終回で「2025年8月は歪みが出た月だった」と書きました。自動車購入・旅行費という突出した費目が2025年8月の全体を引き上げ、贈与金・食料が落ちるという歪みが前年8月のデータとして確認できました。

2025年9月のデータを見ると、その歪みの一部が継続していました。自動車購入は2025年9月も52.3%増で続き、教養娯楽も2か月連続で増加しました。一方、光熱費は2025年8月の4.7%増から2025年9月の2.4%減へと反転し、この費目の歪みは1か月で収束しました。

このように「2025年8月の歪み→2025年9月での部分継続と部分収束」という流れを前年データとして把握しておくことが、2026年の設計判断の土台になります。2025年の単月データだけを参照していると、前年の歪みが月をまたいで続いていたという構造を見落とします。

9月号を通じて伝えたかったこと

前年(2025年9月)のデータが示したのは、「落ち着く月」でも「盛り上がる月」でもなく、前半と後半で消費の動機が異なる月でした。この構造を根拠として2026年9月を「二度切り替わる月」と定義し、前半と後半で別の設計を持つことを提案しました。そして前年後半の需要集中が示す比較ベースの高さを踏まえ、2026年10月の設計においてSW後の引き締まりを想定しておくことが、前年データからの自然な考え方です。

付録のご案内

本号の最終回公開にあわせて、「2026年9月 販促設計カレンダー(PDF版)」を配布します。台風シーズン・敬老の日・シルバーウィーク5連休・給料日集中など、9月の重要な日程と週別の推奨アイテム・施策メモを1枚に整理しました。現場での週次確認にお使いください。

(本記事末尾よりダウンロードいただけます)

プロフィール

室長について
佐竹 昭治|株式会社サタケプランニングオフィス 代表取締役

小売・サービス業の現場で、生活者視点を軸にした販促戦略を提案。マーケティングプランナーとしての経験(20年以上)×データ分析×AI活用による「ハイブリッド販促設計」で、「伝わる販促」「来店してもらえる仕掛け」づくりをサポート中。

ご相談・お問い合わせはこちらまでお寄せください▼

コーポレートサイトのお問い合わせフォームでも承っております▼

関連サービスのご案内
この記事で取り上げた販促予測や市場分析を、お客様の業種・エリアに特化した形で作成するサービスを提供しています。詳しくは以下の記事をご参照ください。

付録:2026年9月販促設計カレンダーPDF

これまでの分析を一覧化した「2026年9月販促設計カレンダー」をPDF形式で配布します。

台風シーズン・敬老の日・シルバーウィーク5連休・給料日集中など、9月の重要な日程と週別の推奨アイテム・施策メモを1枚に整理しました。現場での週次確認にお使いください。

[PDFダウンロードはこちら(無料)▼]

いいなと思ったら応援しよう!

サタケ|ミタカ販促設計ラボ 販促のヒント、伝わっていれば何よりです。 チップは今後の調査・記事制作の資金として大切に使わせていただきます。──室長・サタケ