見出し画像

英語を英語のまま理解する「直読直解」技術のメリットは大きく分けて2つ。世間では「速読力」しか知られていない。【前編・共通テスト英語リーディング対策】

今回は前後編の記事になります。

英語を英語のまま理解する「直読直解」という言葉をテーマに据え、今回の前編では「大学入学共通テストの英語リーディングで高得点を取るために必要な能力・学習方法」について述べていきます。


■本記事の対象読者は「共テRの得点が現状6割前後」の受験生

前編である当記事の対象読者は、大学入学共通テストの英語でリーディングの得点率が現状5割~6割程度、目標を7割~8割程度と設定する生徒です。もちろん、英語の読み方の話ではあるので、私大文系専願であっても対象になります。

要するに、「それほど難しくない内容の英文を素早く理解する」必要があり、「その技術を身につけたい生徒」が対象です。

この記事では、共通テストレベルの文章を「英語を英語のまま理解する」ための前提スキルは何か?そのスキルを身につけるためには何をすべきか?を提示します。

安定して8割~満点を取れる生徒向け(2次試験で記述英語が必要になる生徒)や、英語指導者向けの「突っ込んだ」内容は後編で触れます。


■「直読直解」とは

「直読直解」という言葉を聞いたことがありますか。
「英語を英語のまま理解する」という言い方であれば、ほとんどの人が効いたことがあると思います。

今回はこの「直読直解」という「英文の読み方・英文を読む技術」について、前後編合わせて長々と述べていきます。
前編では直読直解の技術を身につける意義やその方法、後編ではWeb検索ですぐに出てくるような内容ではなく、この技術を習得するメリットをさらにその先まで深堀りし、提示していきます。

■「直読直解」には2段階ある

「直読直解」には2段階あると私は考えます。
必要な技術・それによって得られるメリットは、それぞれの段階によって異なります。

「直読直解」の第一段階は、「日本語を経由せずに(平易な)英文の内容がわかる」です。

その結果として「直読直解」できることは、巷でも良く言われている「速読力の向上」に繋がります。

共通テストレベルの文章であれば、この「第一段階」の習得だけで十分ですが、難関国公立大学を突破したいのであれば、次の記事で述べる発展スキルである「第二段階」まで習得したいところです。

要するに、前後編を通して伝えたいことは、「対象となる文章の複雑さによって、どの段階まで習得すべきかが異なる」ということです。暗に言いたいのは、「直読直解は速読のためだけではない」ですよ、ということです。

では直読直解・第一段階の内容の説明に入っていきましょう。


■「直読直解・第一段階」のメリットは「速読力の向上」

さて、「直読直解」のメリットその1である「速読力の向上」について話していきましょう。

これはほかにもいろいろな人が解説している、既に手垢が付きまくった内容なので、私はそれほど多く語るつもりはありません。

そのため、一般論ではなく「大学入学共通テストの英語リーディングで高得点を取るには何をすべきか」にフォーカスを当てて話していきます。


■共テ英語Rで要求される能力とは

共通テストで安定して高得点を取るために必要な能力は、比喩で言えば「そこそこ広い砂浜で80分飽きずに宝探しを高速で行い続ける能力」です。

とにかく目の前の砂(=文章)を高速で掻きまわして(=速読して)、途中で手を緩めずにお宝(=解答の根拠)を見つけ続ける。それだけです。

これが、国が受験生に習得を強制する英語の能力です。

共通テストのような平易な文、悪く言えば「筆者が伝えたい主張もない、読者をひきつけるワクワクもメリハリもない、レトリック(修辞技法)もない、なんの味わいも読後感もない、受験生に対する嫌がらせのために作った駄文」を無感情で大量に処理することが「是」とされているのです。

毒を吐くわたくし

この能力が英語で書かれた文学作品を味わったり大学入学後に論文を英語で読み書きしたりするのに必要なのかどうかは、ここでは一回置いておきましょう。

とにかく、共通テストでは「大量の文章を速読し、80分飽きずに解答の根拠を見つけ続ける能力」が問われているのです。


■「返り読み」という日本人特有のいびつな英文の読み方について

日本語には最後に述語動詞を置くという文法的制約が、英語には述語動詞を(だいたい)2番目に置くという文法的制約があります。

この文法的制約の違いで、かの有名な「主語を訳してから後ろから戻って訳し上げる」という「返り読み」が日本の英語教育の場で昔から広く行われています。そう教えたほうが、英語初心者である中学生に理解しやすいですからね。必要悪と言えます。

ちなみに私は「返り読み」は全面反対はしません。日本語ネイティブである以上、複雑な文になると返り読みをして日本語を経由するほうがやっぱり理解しやすいことは否定できないからです。
しかし、全部が全部「返り読み」をしていると時間が足りなくなるし、いちいち最初に内容を無視して後ろの方に意味の切れ目を探しに行くのが面倒なので、やはり英語ネイティブと同様に頭から内容を処理していく方が速いし自然なのです。

そういうわけで、「返り読み」については、禁忌事項として完全に封印するのではなく「頻度を押さえて、要所要所で誤解釈を防ぐためにピンポイントで行う読み方」くらいが気楽でよいと思います。少しくらいは許されるのです。我々は英語ネイティブではないのですから。


■どうすれば共通テストレベルの英文を直読直解して速読できる?

すぐに解答を言ってしまうと「多読すること」がこの問いかけへの解答となるのですが、多読をする前に身につけておくべき内容があります。

まずは「英文法力」と「単語力」を身につけることが必要不可欠です。

「英文法力」を身につけるには、高1のときに学校で使っていた参考書を使うだけでほぼ十分です。また、単語帳は「共テレベルの単語」の部分だけでもちろん十分です。それぞれ3周くらいして、ある程度しっかり仕上げましょう。

そうでないと、直読直解しての速読はできません。

勘違いされやすいのですが、「ゆっくり読んでも意味の分からない文章」は「急いで読んで意味が分かる文章」にはなりません。そのために、「直読直解して速読する」というスキルを習得するための前提スキルとして、前述した「英文法」「単語力」が必要となってくるのです。

この前提スキル「英文法力」「単語力」を習得して初めて、「直読直解して速読する」に繋がる「多読」の段階に入っていけます

「英文法力」「単語力」を疎かにして文章を素早くたくさん読んだとて、得点はついてきません。だって速読をしている「ふり」をしているだけで、内容を理解していないんですから。

また、「多読」というプロセスを経るうちに、「英単語のまま脳内にイメージを浮かべられる語が増える」という、「直読直解」に欠かせない能力を身につけることができます。

"dog" や "car" 、"children" などは、わざわざ日本語を介在させなくても意味が分かる日本人は多いと思いますが、多読をすることによって「日本語を介在させなくても意味が分かる英単語」の数を増やすことができます。

「日本語を介在させなくても意味が分かる英単語」の数は、文章を通じて出会ってきた数に比例します。これは単語帳で単語を覚えても出会う頻度には限界があるので、多読を通じて増やしていくしかありません。

また、リスニングの練習を同時に行うことも推奨します。
「英単語を前から前から一定の速度で強制的に処理する」ことは「直読直解」に欠かせない要素だからです。


■やりこむのを避けた方がよい参考書

注意したいのが、巷で売られている「英文法」「英文解釈」の問題集の選定です。

英文法は、共テで高得点を取りたいという文脈においては完璧を目指す必要はありません。
有名な英文法問題集である"Vintage"や"Next stage"は、文法問題が消えてしまった共テにおいてはセンター試験時代のような権威性は消失しており、全生徒が盲目的にやりこむ必要性はありません。

また、「英文解釈」の問題集についてですが、これは、2次試験で英語が不要であれば、高3で時間のない受験生が無理に時間を割いてやる必要はないと思います。

「英文解釈」と称した問題集をやれば「精読」ができるようにはなるでしょうが、「直読直解力」は身につきません。共通テストの英語には精読力が不要なので、じっくり英文を読む癖がつき、英語の点数は逆に下がってしまう可能性まであります。

それなら多読の教材として、センター試験時代の過去問をたくさん読んだほうがずっと良い結果が得られるでしょう。しっかり時間をかけて練り上げられた、良質な長文が多くあります。

「問題形式が違う」というような表面的な違いにとらわれるのは、英文を「直読直解する」ことを身につける必要性や、それを身につけるためには多読するしかない、という本質が見えてません。


■共通テストレベルの「直読直解力」とはどのようなものか

私が適当に作った簡単な英文を提示します。
日本語を介在させず、文章の頭からどんどん英語のまま脳内にイメージを作っていってください。制限時間は6秒です。

In the morning, he woke to find his girlfriend still asleep. He slipped out of bed, left the room quietly, and went into the kitchen to make two cups of coffee.

ワイのオリジナル

(大学生になったらこんな朝を迎えたいなあ、みたいな)情景を思い浮かべながら、単語が入ってくるたびに脳内にイメージを累加していくことができましたか?

試験本番までに、本番レベルの文章でそうできるようになることが目標です。きれいな日本語訳は必要ありません

ちなみに英語の移動に関する動詞は「動詞+副詞(or 前置詞+名詞)」の組み合わせが多いので、熟語としてひとつひとつ日本語で覚えるよりも、そのまま英語で頭に入れていった方が楽です。
(英語の日常語はゲルマン語由来が多いので、移動の意味に限らずこの傾向は顕著ですね)

さて、実際の脳内イメージの仕方を説明します。

toやinto, andは「➡」で適当に処理(私は授業では「ほんで」と訳します)します。
slip out of bed はまさに「直読直解」、slip ➡ out ➡ of bed と単語ごとに脳内にイメージを追加していきましょう。

★和訳もイメージ提示のため便宜上つけておきます

In the morning, he woke to find his girlfriend still asleep.
「朝」「彼起きた➡見つけた」「彼女まだ寝ている」

He slipped out of bed, left the room quietly,
「彼滑って出た」「ベッドから」「出た部屋を静かに」

and went into the kitchen to make two cups of coffee.
「ほんで行った➡台所に➡作った2カップ、コーヒー」

ガバガバでええねん

以上の内容が、英語のまま脳内にイメージできれば合格です。
大事なのはきれいな日本語にすることではなく、「英語で意味を取ること」「戻って読まないこと」です。


■前編のまとめ

共通テストのリーディングで高得点を取るためには以下の内容をしっかりこなす必要があります。

・「直読直解」は日本語を介在させず、英語のまま文章を解釈すること
・「直読直解」ができるようになるためには、まずはしっかりとした
 「文法力」「単語力」が必要
・「脳内への直接イメージ」は「多読」を通して身につける

見ての通り、1週間や1ヶ月ほど頑張った程度では身につく技術ではありません。毎日着実に積み上げていける者だけが、高得点という結果を得られるのです。

後編記事で扱う内容は、「第一段階」である「平易な文章を素早く読む」ができていることが前提の内容になります。

後編記事のリンクを張っておきます。前編は5,000字のボリュームでしたが、後編は2倍以上、12,000字オーバーの骨太な記事に仕上がりました。

英語の視力を爆上げしたい人はぜひご購読ください。

いいなと思ったら応援しよう!