どん底からのやり直しストーリー④講師になるまで
第3話で、300円から始まった案件が17,000円になるまでの話を書きました。編集者の目線を学んで、某オンラインスクールと出会ったところまで。
そこからすんなり講師になれたかというと、まったくそんなことはなくて。実はその少し前に、私は一度、ぽっきり心が折れていたんです。
ほぼ決まり、からの不採用
あるAI講師の案件に応募したときのこと。
書類が通って、面談も和やかで、「ぜひお願いしたいです」みたいな空気まで出ていました。私の中ではもう、半分決まった気でいたんです。やっとここまで来た、と。
ところが、最終的に不採用。
理由ははっきりとは分かりませんでした。ただ「今回はご縁がなく」という、あの定型文だけが残りました。
正直、こたえました。クラウドワークスの画面を開くのも嫌になって、しばらく応募ボタンが押せませんでした。あれだけ手応えを積み重ねてきたのに、肝心なところで選ばれない。自分の何がダメなんだろうと、何度も考えました。
控えめに、おとなしく
それでも、応募をやめたら本当に終わってしまう。
そんなときに目に留まったのが、某オンラインスクールの講師募集でした。
前回の反省が、私の中にありました。たぶん私は、積極的すぎたんだと思います。「できます!」「やれます!」を前に出しすぎた。だから今回は、逆をいこうと決めました。
控えめに。おとなしく。聞かれたことに、等身大で答える。盛らない。
そうしたら、二次面談に進めたんです。拍子抜けするくらい、すんなりと。
二次面談に、社長
二次面談には、社長が出てきました。
スクールはちょうど規模を広げていく時期で、講師も増やしていく。その流れで、社長がこんなことを言ったんです。
「既存の講師陣のスキルは高い。ただ、受講生さんの“心のフォロー”には、まだ伸び代がある」と。
技術を教えられる人はいる。でも、つまずいて落ち込んでいる人の隣に座れる人が足りない。そういうニュアンスでした。
決め手は、AIじゃなかった
そこで、私が傾聴サロンをやっている話になりました(「誰も来ません」という話もちゃんとしました。)
人の話を、ただ聴く。否定しない。アドバイスしない。解釈しない。評価しない。それを仕事にしてるんです、と。
社長の表情が、そこで変わったのを覚えています。
結局、私を採用してくれた決め手は、AIスキルではありませんでした。傾聴力と、メンターとしての関わり方。「教える」より「伴走する」ほうを買ってもらえたんです。
正直、不思議な気持ちでした。あれだけ必死で積み上げてきたKindleや副業のスキルじゃなくて、もっと前から私が大事にしてきたもので選ばれるなんて。
でも今になって思います。爆死も、詐欺も、ポンコツ案件も、ぜんぶ無駄じゃなかった。さんざん転んだ人間だからこそ、転んだ人の隣に座れる。
延べ30名のご縁
採用から、早いものでもう1年が経ちました。
これまでに伴走させてもらった受講生さんは、延べ30名以上。年齢も背景もバラバラで、毎回ちがう人生の話を聞かせてもらっています。これがもう、本当におもしろい。
ありがたいことに、大きなトラブルもほとんどありません。
ただ、たった1件だけ。
たった1件の「何だ女か」
その受講生さんの初回面談には、時間的にも余裕があったので、いつも以上の準備をして臨みました。資料を揃えて、進め方を組み立てて、用意周到で。
なのに、オンラインを繋いだ瞬間です。
画面の向こうの方が、ぽつりと言いました。
「何だ、女か」
えっと。今、令和ですよ、令和。一瞬、くらくらしました。準備してきたものが、ぜんぶ音を立てて崩れていくのが分かりました。
私はいちおう昭和生まれです。社会に出たころは、女性はまだ“腰掛け”扱いされてました。どれだけ能力があっても、出世するのは男性。責任あるポジションには、なかなか女性がつけない。そういう景色を、反吐が出るほど見てきました。
通訳の仕事は、本来は能力勝負のはずでした。それでも会議に出てくるのは、決まって全員男性。中身のない男性同士の雑談まで訳さなければいけないのは、正直、けっこうなストレスでした。
でも、世の中は少しずつ変わっていきました。変化を恐れない人間にとっては、ずいぶん生きやすくなってきた——そう感じていた矢先に、この一言です。
あり得ない。本当に、そう思いました。
その後は、完全にモチベダウン。こちらからも「ダカラナンダ」オーラがオンライン越しに伝わっていたんだと思います。無理に取り繕う気にもなれず、講師変更をお願いしました。受講生さんからの変更リクエストも、私からの変更リクエストも、後にも先にもこの1件きり。
全員と分かり合えるわけじゃない。それはわかっています。でも今でも、あの一言は許していないです。
こうして私は、某オンラインスクールの講師になりました。
そしてこの1年の積み重ねが、2026年6月26日――初めてのウェビナーへとつながっていきます。
それは、次回に。
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