文字を持たなかった昭和 百四十二(お盆、その二)

 母ミヨ子のふるさと、鹿児島の農村での初盆の習俗について少し補足する。

 祖先の御霊を迎える8月13日の夕方、初盆のお宅では墓地にも提灯を下げた。集落にはだいたい親族ごとに3,4箇所の墓地があり、どこもそれぞれの家から徒歩で行ける距離にあった――と言っても、あとから建てた家からは徒歩30分ぐらいかかるケースもあったが。

 初盆を迎えるお宅は墓地に提灯棚を用意した。木の枝と竹竿を組み合わせて作った、提灯を掛ける棚だ。そして、供養にいただいた提灯を竿に吊るした状態で担ぎ、墓地へ運ぶのである。棚のしつらえや提灯の移動は力仕事でもあるので、集落の「青年団」〈110〉が手伝ってくれるのがふつうだった。

 初盆の供養にいただいた提灯を全部墓地に運ぶわけではなく、お墓の後方に建てた棚には20~30個程度の提灯が運ばれた。そして吊るした提灯のろうそくに火を点けていくのである。

 初盆に限らず、お盆の墓参りは夕方以降にするものだった。

〈110〉青年団については「百四十(七夕踊り、その五)」で触れている。

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