一目惚れした相手を「分析」で落とし、婚約まで持ち込んだ美大生
芸術家にとって恋愛は手放せない。
それは「恋人がほしい」というシンプルな理由ではない。誰かを愛することそのものが、創作のいちばん純粋な燃料になるからだ。
実際、歴史に名を残す芸術家の多くは、強烈な恋をしている。フリーダ・カーロも、ゴッホも、ダリも。誰かを激しく愛して、嫉妬して、傷ついて、それを絵に、言葉に、形にして残してきた。
だから、美大生の恋愛はちょっと普通とは違う事の方が多い。「どんな人と付き合うか」よりも、「この感情は創作になるか?」のほうが大事だったりする。むしろ、少し痛みを伴っているほうが、作品として昇華しやすいとさえ思ってしまう。
人を好きになるときは、自分の意思では止められない。世界に75億人もいるのに、その中のたった1人の言動で泣いたり、笑ったり、幸せを感じたり、恋愛によって、自分の感情がこんなにも揺さぶられるなんて、理屈じゃ説明できない。その感情の揺れ幅が、そのまま作品のハリになる。
私にとって恋愛は、表現の中で最もリアルで、最も濃密な素材だ。
実際、ある失恋のときには、1ヶ月で35枚の絵を描いた。寝ても覚めても感情があふれて、描かずにはいられなかった。

あのときは本当に苦しかったけれど、今振り返れば、「感情がそこまで動いた」という事実そのものが、かけがえのない創作の種だったと思う。
そんなある日、出会ってしまった。
恋に落ちる瞬間は、いつだって突然だ。
私は初めて彼を見たとき、心がざわついた。まるで映画のワンシーンのように、一目惚れだった。
でも、私の恋愛はそこからが普通と違った。
「どうしてこんなに惹かれるんだろう?」
「彼のことをもっと知りたい」
「どうやったら付き合えるんだろう」
そう思った私は、自然と相手を分析し始めた。
SNSの投稿、話し方のクセ、生年月日、言動のパターン。できる限りのデータを集め、整理し、どうすれば彼の心に届くのかを考えた。
人間は一人一人違う、よくネットに転がっている小手先の恋愛テクニックが全員に通用するとは限らない。
気づけば、好きという気持ちすら数値化してデータとして観察していた。
なんだかんだ言いながら、その作戦(?)はわりとうまくいって、気づけば私はただの知り合いから、恋人になって、やがて婚約者になっていた。
今回は、「一目惚れ → 分析 → 婚約」という、ちょっと変わった恋愛プロセスと、分析することによる落とし穴を正直にふり返ってみようと思う。
💔|恋愛下手な私の恋愛パターン
私は世間一般的に見れば、いわゆる恋愛下手だ。
一目惚れで恋に落ちて、相手を都合よく理想化してしまう癖がある。そして、その理想像から相手が外れた瞬間に、「あれ、思ってたのと違うかも」と急に気持ちが引いてしまう。
私はこれを「打ち上げ花火みたいな恋」と名付けている。突発的なときめきに酔いしれ、相手の実像を知る前に「この人はきっとこういう人だ」と勝手に理想像を作り上げてしまう。そして、その高揚感に身を任せ、気持ちはまるで打ち上がる花火のように一気に昇っていく。けれど、理想と現実にズレが生じた瞬間、期待は音を立てて弾け散る。
でも、恋愛が上手な人たちは違う。たいてい一目惚れなんてしない。相手を知って、理解して、少しずつ好きになっていく。きっとそのほうが安定していて、裏切られることも少ないのだろうと思う。
私はそんな恋のあり方を、「円熟型の恋」と呼んで、ちょっと憧れている。
本当は、最初は友達として距離を縮めていくのが理想なんだろうけど。これまでの人生で、最初に「この人、いいかも」と思わなかった相手に、後から恋に落ちたことは珍しかった。ファーストインプレッションがとにかく大事だった。
美大に通っていると、こうした『打ち上げ花火のような恋=直感型の恋愛』をする人に、実はよく出会う。
「なんとなく惹かれた」
「この人、絵になりそう」
「声が刺さった」
「目に色がある」
そんな理由で恋に落ちるのが、どこか当然のような空気すらある。美術や表現に触れているぶん、感覚的で、イメージ優先で恋に落ちる人が多いのかもしれない。
だからこそ私は、自分のこの「直感で惚れるが、違うと思ったらすぐ冷める」という恋愛パターンに、長い間もどかしさを感じてきた。
でも、あるときふと考えた。
直感で惹かれることそのものは、悪いことじゃないのかもしれない。大事なのは、そのあとどう向き合うかだ。
だから私は、「直感で好きになった相手と長く続ける」ためには、自分の恋愛パターンそのものを変える必要があるのかもしれないと思った。
「相手をもっと知っていく」
衝動で恋に落ちるのではなく、落ちたあとに、ちゃんと分析し、相手を知り、向き合う。恋の熱だけで突っ走らないように、自分なりの方法でその人の本質にたどり着こうとした。
そうして私は、「一目惚れした相手を、分析で落とす」という不器用な恋のアプローチを選んだ。
🧬|元々分析好きで、失恋するたびに数ヶ月間分析期間に入る
私は失恋するたびに「数ヶ月間の分析期間」に突入する。これはもはやルーティンのようなもので、感情に溺れることを極力避け、客観的に自分と相手の関係性を見直すための時間だ。
でも時には、この分析によって出てきた感情が、そのまま美術作品へと昇華することもある。映像・インスタレーション・絵画・写真と本当に多種多様な作品を作った。作品にすることで、言葉にならなかった感情が形を持ち始め、ただの失恋が、創作に変わる。私にとってこれは、感情をただ浪費せずに、自分の力に変えていくための大事なプロセスだった。
そうやって私は、恋愛という感情の爆発を、なるべく無駄にしないように、自分なりの方法で咀嚼してきた。
私のモットーは、「何事も全力でやり切る」
なぜなら、全力で恋してやり切ってダメだったなら、それは単に相性やタイミングの問題であって、自分の努力のせいではないと納得できるから。
恋愛は相手ありきのことなので、自分だけの力でどうこうできる問題ではない。そして、どれだけ不器用でも、真剣に向き合った姿勢は決してダサくないと思っている。
逆に言えば、全力でぶつかってもうまくいかなかったときこそ、自分の考え方や行動パターンを根本的に見直すチャンスでもある。恋愛に限らず、分析は私にとって前に進むための方法なのだ。
なぜ上手くいかなかったのか?
何が期待外れだったのか?
自分はどんな行動を取り、何を恐れていたのか?
LINEの文面の温度感や返信速度、会話の流れ、相手の口癖までスクショしては振り返り、まるで人間関係のログ解析のようなことをしていた。そうやって、恋愛感情の裏側にある自分のパターンやクセを洗い出していく。
この作業を経ることで、「感情的に辛い」を「論理的に納得できる」に変換してきた。
恋愛期間中、相手も私も、貴重な時間と感情をお互いに費やしていた。私は私なりに未熟ながらも本気で相手に向き合ってきた。だからこそ、私はその経験をきちんと自分の中で咀嚼し、分析する。そうすることで「ただ終わった恋」にせず、作品に昇華したり、意味のある時間として未来に繋げていこうとした。私なりのケジメのつけ方だった。
そうやって、「自分にはどんな相手が合うのか?」が、少しずつ輪郭を帯びてくる感覚があった。
私がこれまでの恋愛で、圧倒的に足りていなかったのは、「相手のことをよく知る」という試みだった。次こそ一目惚れだけで突っ走らないぞ、と何度も誓った。
……でも。
どれだけ分析を重ねても、どれだけ理性を鍛えても、強烈な一目惚れの前では、すべてが吹き飛んでしまうことがある。
その一瞬のきらめきは、全部の理屈やロジックを軽々と飛び越えてしまう。
頭では止められない。心が先に走り出してしまう。
そしてまた、物語が始まってしまった。
👀|今回の一目惚れのケース
今の婚約者とは、知り合いの開催したパーティで出会った。
私はもともとパーティが苦手だったけれど、ある日なんとなく予約した占い師にこう言われたのがきっかけだった。
「半年後に友達の集いに積極的に参加すると良い。あなたと恋愛にご縁がある人は友達の付き添いでやってくるよ」
なんとなくこの言葉を頭の片隅に入れて、しばらくの間、誘われた集まりには断らずに積極的に顔を出していた。
とはいえ、そんな都合よく運命の人なんて現れるわけがない。何度か参加していくうちに、そんな占い師の言葉も忘れ、ただ新しい人と男女問わず出会うことそのものを楽しむようになっていた。
そしてその日も、いつものように「まあ誰か面白い人がいればいいかな」くらいの気持ちで参加した。
だけどその会場で、彼を見た瞬間、私は確かに何かを感じた。説明のつかない感覚。まるで既視感のような、あるいは、何かがぴたりと合わさるような。頭の上から何かがストンと降りてくるような感覚。「この人だ」と、インスピレーションが私に告げていた。目があった瞬間に「この人と将来付き合うかも」と直感が働いた。
あのときの占い師の言葉が、久しぶりに頭をよぎった。
──「彼は、友達の付き添いでやってくる」──
その場にいた知り合いにこっそり「あの人誰?」と聞くと、案の定、彼は「友達の付き添い」だった。
そして実際に彼と会話してみると、過去の恋愛経験を通じて私が分析してきた「自分に合う性格像」に、彼がまるでぴったり当てはまっていた。
さらに、私しか知らないはずのマニアックな話題にも精通していて、正直、鳥肌が立った。まるで、頭の中でこっそり組み立てていた理想像が、そのまま現実になって目の前に立っているようだった。
その時点で、私はすでに軽く恋に落ちていた。
でも、ここからが問題だった。私は恋をすると、自分でも気づかないうちに、相手を理想化してしまうクセがある。占い師の言葉に影響されたのもあって、その人の声や話し方、表情の一つひとつに意味を見出し、「この人はきっと、こういう人だ」と脳内で勝手に人物像を設計してしまうのだ。
けれど彼は、そういった理想の補正をしなくても、ちゃんと魅力的だった。異性に対してまっすぐで誠実な姿勢を持ち、しかも、私しか知らないであろうマニアックな話題にも自然に反応してくれる。無理して合わせている感じでもなく、むしろ話せば話すほど、「この人は私と合うかもしれない」と思わせてくれるような空気があった。その絶妙なバランスに、私はどんどん引き込まれていった。「理想化しなくても魅力的」そんな人に出会えた。
これはもしかして、ただの一目惚れとは違う。
ちゃんと相手を知りたいと思える恋だ。
だからこそ私は、同じ過ちを繰り返さないために、次の一手を考えることにした。
衝動で突っ走って、勝手に理想を膨らませて、あとから失望するなんて、もう繰り返したくなかった。
私はこの恋を、「打ち上げ花火みたいな恋」で終わらせないために、インスピレーションで惹かれた相手の本質を、徹底的に分析することにした。
分析① |手始めに、生年月日とMBTIを聞く
分析好きの私が、まず最初にやることは決まっている。それは、生年月日とMBTI(16タイプ性格診断)をさりげなく聞き出すことだ。
生年月日は、凄まじい情報である。
多くの人が軽い気持ちで「誕生日いつ?」と聞くが、私は違う。
生年月日を手に入れた瞬間、統計学でその人の本質や無意識の傾向、そして人生の運気の流れまで分析できてしまう。もはや誕生日とは、他人に見せる履歴書のようなものである。
占いを信じる・信じないの問題ではない。「統計学データとして活用」という感覚に近い。
一説によると、中国の一部の経営者や政治家たちは、自分の生年月日を公表しないという文献をどこかで読んだことある。生年月日がわかれば命理学/四柱推命によってその人の「弱い時期」や「判断を誤りやすい時期」が読まれてしまう。そして、そういう隙を突いて、ビジネスや権力争いの場面で攻撃される可能性があるらしい。
たかが誕生日、されど誕生日。それは単なる数字の羅列ではなく、「その人の履歴書」でもある。
相手に疑われないように「○月生まれっぽいよね当たってる?」「MBTIって知ってる?やったことある?」と尋ねてみる。
すると彼は、特に警戒もせず、ふつうに答えてくれた。
(……ふふ、よしよし。第一関門突破。)
私は聞き出した生年月日をもとに、四柱推命やホロスコープをはじめとする占星データベースに照らし合わせ、彼の「本質」を徹底リサーチ。
さらにMBTIのタイプから、人間関係の築き方、意思決定の癖、恋愛傾向までをざっくり分析した。
もちろん、生年月日がすべてを物語るわけではない。誕生日やMBTIは、あくまでも「〇〇の人はこの傾向がある」という統計学であって「決定された事項」ではないし、家庭環境によっても変わってくる。最終的には本人の行動や価値観がすべてだ。
でも私は、自分の感情に飲まれないようにするためこうした分析ツールを使った。
心理学、脳科学、動物行動学、算命学、ホロスコープ、MBTI診断。使えるものは全て使った。
「〇〇生まれの人は、この方法で恋に落ちやすい」
私が彼を分析する中で、いくつかの傾向が見えてきた。
まず、恋愛に対してはどちらかというと受け身。最初からぐいぐい来られるのは苦手で、特に女の子っぽさを前面に出されると、逆に一歩引いてしまうようだった。
でも分析をしていくうちに、今の彼は「新しい出会い」や「未経験の場所」に対してとてもオープンなモードに入っているとわかった。
つまり、恋愛としての好意を匂わせず、「友達として気軽に出かけるお誘い」がいちばん刺さるタイミングだったのだ。
そこで私は、「好意を出しすぎず、でも印象に残る」という絶妙な距離感で、彼にアプローチをすることに決めた。
💐|恋愛下手なので、お誘いするのに1ヶ月かかる
分析はしたものの、私は奥手すぎて好きな人を誘うのに勇気が出るまでに1ヶ月経ってしまった。しかも彼はSNSの更新をあまりするタイプではなく、好きな話題がなかなか掴めなかった。
初対面のときに聞いた限られた情報で、DJを趣味にしているらしいことはわかっていたので、まずは自分のインスタグラムのストーリーに音楽関連の投稿をしてみた。

すると、彼から反応があって、おすすめのアラブ系音楽を教えてもらえた。これで「音楽好き」という趣味がはっきりした瞬間だった。
ちょうどその頃、大学の友達に誘われて音楽系のイベントに参加する予定だった。「これはチャンス!」と思い、彼をこのイベントに誘おうと思った。私の大学の友達も数人いるし、友達として仲良くなる作戦としては絶好のチャンスであった。私が相手に好意があると疑われずに親睦を深められる…!
しかし、送信ボタンを押すのに30分も迷った。
一緒にイベントに行く友達になんとか背中を押してもらい、息を止めたままメッセージを送信した
ついに送ってしまった〜〜〜〜!!!!!!
断られたらどうしよう、気持ち悪いと思われたらどうしようと、ドキドキしながら返事を待った。
そしたら彼は快くOKしてくれた。
結果は分析通りっちゃ分析通りなのだが、胸の高まりが治らなかった。
分析② |これは勝ちだと思った日曜日の夜
音楽イベントの当日、彼が現れた瞬間、心臓の鼓動が一気に早くなった。
何を話せばいいのか、頭が真っ白になりそうだった。だけど、ここで今までの分析と心理学の本が私を助けてくれた。
彼の趣味、好きな話題、話し方の癖。
ひとつひとつ、記憶の引き出しからそっと取り出して、会話の糸口にする。そして、時間が経つにつれて、話は恋バナへと流れていった。
「このタイプの人間が恋バナをするのは、自己開示のサインだ」と私は確信した。
彼のようなタイプは、自分の本性が色濃く出た体験、つまり特異な人間関係=恋愛を話すことで、内面を語ろうとする癖がある。
「今こそが彼の本質を知る機会だ」と、音楽が鳴り響くうるさいフロアで、マギー審司並みに耳をでっかくして話に集中した。
彼の言葉の選び方、話すスピード、ちょっとした言いよどみ。すべてを拾いながら、私は彼の「大切にしているものは何か」を感じ取ろうとしていた。統計や分析で予測はできても、結局目の前の人の言葉や仕草には、どんな数字よりも濃い真実が宿っている。
そして彼はふと、「俺ね、結局変わった人が好きなんだよね」と言った。
私はその瞬間、心の中でガッツポーズをした。
💪💪💪💪💪💪
彼の好きなタイプが「変わった人」なら、もうこれは私の独壇場でしかない。ほぼ100%勝ちである。
私には自信があった。私ほどクレイジーなレディーはこの世にはいないと。
だって私は、過去にアメリカの大学の入学式へ向かうため、アメリカ行きの飛行機に乗る4時間前に皮膚科に飛び込み舌ピアスと唇ピアスを開けて舌と唇が腫れ上がり、1週間まともに喋れず友達を作る機会を逃した女だ。
普通、入学式に合わせて髪を整えたり、服を新調したりするのに、私は「今しかない!」という謎のインスピレーションに従って、空港へ行く前に皮膚科にダッシュ。満面の笑みで迎えた入学式で、舌と唇は、すでに倍のサイズになっていた。もはやホラー。そして腫れすぎて誰とも喋れず友達が1週間できなかった。
そんな私が「変わっている」と評価されるなら、これほど誇らしいことはない。そもそも恋愛に対してこんなに分析すること自体変わっている。大の変人だ。
もちろん、初対面でピアスの話をぶっこむのはハードルが高い。だから私は、会話の中でさりげなく変人ポイントを滲ませていった。ほんのり狂気を混ぜた思い出たちは、まさに変わった人アピールに最適だった。
彼は最初こそ「へえ〜」と軽く流していたけれど、次第に「それ、面白いね」と笑ってくれた。
そのとき確信した。
彼は私の変わっているを、ちゃんと面白がってくれる人だ。
それって、私にとってものすごく大事なことだった。この人の隣なら、私は無理に普通の女性を装わなくていいかもしれない。そう思った瞬間、私は恋に落ちるだけじゃなく、安心して彼に飛び込む決心をした。
今でさえ結婚の決め手を彼に聞くと、1番の理由として「今まで出会った中で5本指に入るほど面白いから」と返ってくる。
それを聞くたびに、私は心の中で「よしっ」と思ってしまう。戦略とか分析とか、それだけじゃない。私の変わっている部分を、ちゃんと笑って、面白がって、愛してくれる人に出会えたこと。それこそが、この恋が打ち上げ花火で終わらなかった最大の理由なのかもしれない。
分析③ |彼の好意を数値化する
どんなに変人アピールをして、共通の話題で盛り上がったとしても、私はまだ彼の中では友達の枠を出ていない気がした。
実は音楽イベントの時に、「なんで僕を誘ってくれたの?」と聞かれた時に、「〇〇君のこと気になってて、もっと話したいと思ってた」と伝えたのだが、この鈍感さんにはまるで伝わってなかったようだ🤷🏻♀️
彼の中には、フレンドゾーンと恋人ゾーンの間に、目には見えないけれど確実に存在する「薄い壁」がある。それは、本人も意識していないような、ごく自然な境界線。この壁を乗り越えるのが、思っている以上に難しい。
なぜなら私の分析によると、彼は「ぐいぐい来られる」のがあまり得意ではない。だけど、基本的にはとても優しくて、目の前の相手の感情を敏感に察知し、「この人、困ってるな」「どうにかしてあげなきゃ」と思いやりから行動してしまう一面がある。
つまり、私が思い切って距離を詰めたり、好意をストレートにぶつけたりすれば、もしかすると彼は情で私の気持ちに応えようとする可能性だってある。
しかし、情で始まる恋なんて嫌だ!
ロマンが全くない!
ロマンがなきゃ、恋じゃない!
義務でも、同情でも、なんとなくの流れでもなくて、「どうしようもなく惹かれてしまった」という感情で始まる恋が、私にとっての本物なのだ。
まずは友達としてじっくり仲良くなり、最終的には私の中身を相手から本心で好きになってもらいたかったので、私は自分の好意を一切出さなかった。
とはいえ、今回の私はただ感情に振り回されるタイプではない。こういうときこそ、冷静にデータ分析で臨むのが私流。
会話の流れ、リアクションの熱量、返信スピード、目線の動き、会う頻度
すべての要素を総合的に見て、彼の今の私への好意レベルは「77%」と仮定した。「80%」から異性として少し気になるレベルの好意ならば、現段階では彼からの私への好意は異性の親友レベルで、恋愛として進むには決定打がない状態。
ただの友達よりは少し特別、でも恋人候補としてはまだ入り口にすら経ってない。
あと数%、彼の気持ちを傾けるためにはどうしたらいいか?この数%を動かす戦略こそが、私の次のミッションだった。
分析④|とにかく持論を述べる
次に注目したのは、彼のMBTIタイプだった。彼のタイプから読み解くと、「自分の意見に反発して論破してくれる相手」を好む傾向が強いらしい。
つまり、ただ「はいはい」と同意するだけの関係は好まない。
例えば、Mrs. GREEN APPLEが好きな人に対して「私もそれ好きだよ」と合わせる、いわゆる「類似性の法則」は、彼にはあまり通用しない。
なんなら自分の考えを持ち、ぶつけ合いながら深めていくことに価値を感じるタイプなのだ。つまり知的好奇心レベルが高い。
私のnoteを見ていただければわかるだろうが、私もかなり自分の考えやこだわりがある癖強人間だ。
そこで私は、積極的に自分の意見や持論を口に出してみることにした。たとえ相手と考えが違っても、ちゃんと理由を述べてぶつかる。そうすることで、彼の興味を引き、会話に熱を生み出せるはずだ。
結果としては、私の積極的な発言が、彼との距離をぐっと縮めるきっかけになった。LINEをなんと7時間もしてしまったのだ。議論としては炸裂しすぎていたため、寝不足のまま大学に行った。
そこから彼の私への対応が少しずつ変わっていった。明らかに返信のスピードが速くなり、会話の内容も深みを増していった。私が自分の意見をしっかり伝えることで、彼も心を開いてくれているように感じた。
毎日LINEをするような関係になり、いよいよ、2人きりで出かける作戦に移ろうと思った。友達としてではなく、1人の異性として彼に見てもらうために。
分析⑤|初デートとしてはハードルが高すぎる場所に行く
彼のタイプの特徴を踏まえると、ありきたりなデートスポットよりも、ちょっと変わった場所や新しい体験を好む傾向がある。
そこで、私は普通のカフェや映画館ではなく、少し変わった場所を選んで初デートを計画した。
いつもと違う空間で、二人で新しい体験を共有することで、自然と会話も弾み、彼の本質をより深く知るチャンスになると考えたからだ。
初デートは、詳細は伏せるけれど、「いや、それ初デートの場所としてはハードルが高くない?」と全員に突っ込まれるであろう、とあるイベント会場に行った。
そこでは、ドラァグクイーンがランウェイを颯爽と歩き、華やかなファッションショーを繰り広げていた。さらに別のステージでは、人体改造を施した人たちが自らの身体をアート作品として披露していた。
多くの人にとっては「刺激が強い」かもしれない。でも私にとっては、創作や表現の極限を見るような場で、アートが人の枠組みをいかに飛び越えるかを間近で感じられる、最高にワクワクする時間だった。
そして知的好奇心レベルの高い彼なら、このイベントを「ユニークだね」という言葉でただ片付けず、リスペクトをしつつ、いろいろ深く分析してくれそうだと思った。
イベント会場に足を踏み入れた瞬間、空気が一変した。きらびやかな照明と音楽、舞台を歩くドラァグクイーンの堂々とした姿、そして会場全体を包み込む独特な熱気。普段のデートでは絶対に味わえない非日常に、胸が高鳴る一方で、ほんの少しの緊張もあった。
隣を見ると、彼も驚いた様子で目を丸くしていた。でも、その表情はすぐに興味と好奇心に変わり、会場を見渡しながら、カルチャーを尊重しつつ自分なりの視点で語り始めた。
私の興味や感性を否定せず、むしろ楽しもうとしてくれる姿に、じんわり嬉しさが広がった。言葉を交わす以上に、同じ空間と感覚を共有できたことで、距離がぐっと近づいた瞬間だった。
そして、彼と目を合わせるたびに、彼がニコニコしているのを見逃さなかった。
音楽イベントで会った時はほぼほぼ真顔だったが、急に笑顔で私をみつめるようになった、
これはもう完全に脈アリでしょと私に自信を持たせた。
😓|全然告白をしてくれない
やりとりを重ねて1ヶ月が過ぎた頃、電話も毎日するようになり、私の分析では彼の私への好意はすでに恋愛ゾーンに達しているはずだった。なんなら90%ぐらいいってるだろう。
実際「miyuuみたいに議論ができる人は凄く理想的だ」「こんなに女性と深く話し合えたことない」と、私の議論作戦(?)が効いているのか、好意を感じさせる言葉も増えてきた。
なんとたまたま見ていたyoutubeの動画が同じだったのだ。ベーシックインカム的男女論という動画をたまたま同時期に視聴していたのだ。
自由恋愛を地獄として語っている動画だ。多分この動画を恋愛初期に視聴している人は、私と彼ぐらいしかいないと思う。そりゃ深く話し合えますよね。
それなのに、なぜか告白は全然してくれない。
だけど電話では声を震わせながら「今気になっている人はいるの?」とは尋ねてくるのだ。彼にとって私は、ただの議論好きにしか見えてないのだろうか?
どう考えても、恋愛的に興味ない人と毎日電話をしたりはしないであろう。気になってる人はYouに決まってるじゃん!!
彼のタイプ的に、感情をストレートに表現するのが苦手なのかもしれない。あるいは、私との関係をもっと慎重に進めたいのかもしれない。
私としては、「好き」と言ってほしい気持ちでいっぱいだし、本音を言えば、「本当に私のことを好きなの?もしかして私の分析が間違っている?」「どう誘導すれば告白する?」と心の中は不安でいっぱいになっていくのだった。
ここで私の分析の落とし穴にようやく気づきます。
分析の落とし穴🕳️|恋愛を素直に楽しんでなかった。
これまでの私は、恋愛を「攻略すべき謎解き」や「分析すべきデータ」として捉えすぎていたのだ。感情を数値化し、相手の反応を解析し、最適解を探すことに夢中で、純粋に恋愛を楽しむことを忘れていた。
なんなら、考えすぎてかなり空回りしていた。
自分の本当の気持ちをちゃんと感じることなく、「どうすればうまくいくか」ばかりを考えていた。
そして相手の感情でさえも「作品」のように冷静に観察し、整え、完成させようとしていたのだ。だが、恋愛の感情は決して整然としたものではなく、むしろ未完成で揺らぎやすいもの。感情を理論で縛りすぎると、自然な喜びや戸惑い、切なさといったリアルな感覚が薄れてしまう。
「そもそも、恋愛は数字や理論で測れるものじゃないのかもしれない」
彼の言葉や行動を理論的に解釈するあまり、自分の心が置き去りになっていた。
本当は、恋ってそんなに都合よくはできていない。相手ありきのことなので、どこへ向かうのかも、どこで嵐に巻き込まれるのかもわからない。そもそも「目的地」なんてないのかもしれない。ただ、その瞬間の風や波の動きに身をゆだねることでしか、たどり着けない場所がある。私は、自分の中にあるその素直な感情を、ずっと「非効率」だと排除してきた。けれどそれこそが、恋愛の醍醐味だと気づいた。
私は恋愛という名の感情の海に、ずっと地図とコンパスを持って挑んでいたのだ。
この気づきは、私が美術や創作と向き合う感覚に似ていた。私が作品を創るとき、完璧な計算や理論だけで成り立つものは少ない。むしろ、偶然のひらめきや感覚の揺らぎ、予想外の色彩や線の動きが作品に命を吹き込む。感情を押し殺して頭だけで作ったものは、どこか生き生きとしないように感じる。
恋愛も、創作も、コントロールできないからこそ面白い。
自分の感情を味わうこと。相手の反応を、そのまま受け止めること。わからないままにしておくことさえも、時には必要なんだ。
感情の揺れや戸惑いも受け入れ、そのまま感じることを大切にしたい。
そう思えたとき、私はようやく「攻略」ではなく、「経験」としての恋愛を始められた気がした。
「もっと素直に、この時間を味わおう。」
そう決めてから、私は少しずつ力を抜き、彼との会話をただ楽しむことにした。まるでキャンバスに自由に筆を走らせるように、恋愛という一つの作品を、自分なりの色で描きはじめたのだ。
🔔|ついに告白の瞬間が
以前の私なら、「ここでこう話を切り出せば、告白への最短ルートだ」と頭の中でシナリオを組み立てていた。
でも今回は違った。分析は脇に置いて、ただ彼の言葉と表情、そして自分の胸の高鳴りに素直に向き合うことにした。そして自分の感情を素直に表現した。
「嬉しい」と感じたら、そのまま「嬉しい」と言った。
「悲しい」と感じたら、「悲しい」と伝えた。
計算も駆け引きもなく、ただ、自分の気持ちをそのまま表現するようになった。
それだけで、心と心が通い合うような感覚があった。恋愛をうまくやるのではなく、感じることの大切さを、やっと実感できた気がした。
そして気づけば、彼の口から自然に、告白の言葉がこぼれた。途中から分析や駆け引きなんてしなくても、ちゃんと彼は私を好きになってくれていた。
彼は正直に打ち明けた。
「実はずっと、miyuuが僕のことをどう思ってるのか分からなかった」
その言葉を聞いた瞬間、胸が少しチクリとした。
彼なりに、不安だったのだろう。私はというと、恋愛を分析することに熱中しすぎて、本来なら表情や言葉で伝えるべき気持ちを、うまく表現できていなかった。
心の中では好きでたまらなかったのに、その想いは数字や理論の裏に隠れてしまっていたのだ。今振り返れば、彼の不安は私のポーカーフェイスが生み出していたのかもしれない。
でも、私が分析をやめて、ただ彼との時間を全力で楽しむようになってからは、少しずつ私の好意が伝わり始めたのではないかと思う。
理屈抜きで向き合うことで、彼との距離が自然に縮まっていったのだと感じた。
彼には正直に、今回の恋愛を分析してきたことを伝えた。自分の手の内を全て明かした。心理学、動物行動学、算命学、ホロスコープ、MBTI診断…数え切れないぐらい分析ツールに頼った。驚かれるかなと思ったけれど、彼は優しくこう言ってくれた。
「分析とか戦略がなくても、僕はmiyuuのこと好きになっていたと思うよ。」
確かに、分析や計画があったからこそ距離を縮めるのが早まった部分もあるかもしれないけれど、何よりも大切なのは自然体で相手と向き合うことなんだと改めて実感した。
ちなみに分析の9.9割は当たっていたようだ。
💍|付き合ったその後
それはゴールデンウィーク中、彼はきっちり有給を消化して、驚異の15連休。私はその間大学もなく結果的にふたりでずっと一緒にいた。
日中は一緒に出かけたりお互いの友人に紹介し合ったり、夜は一緒にカラオケに行ったり、散歩したり、語ったり。なんなら寝起きの顔すら見慣れてしまったほど。ほぼ「半同棲」だった。
私も彼も「ひとりの時間がないと無理」なタイプのはずなのに、この15日間、一度も「ちょっと距離置きたいな」と思わなかった。
むしろ、彼のほうが仕事が始まる前日には明らかに落ち込んでいて、「会社行きたくない…」じゃなくて「miyuuと離れたくない…」のテンションだった。
15日間、毎日24時間一緒にいても窮屈に感じない相手なんて、それだけで奇跡みたいなものだと思う。
そんな日々を送る中、ある日。
私の部屋の窓辺で、彼が静かに洗濯物を干していた。
陽の光を背に、シャツの袖を伸ばし、ハンガーにかけるその姿は、何でもない日常の一コマなのに、やけに丁寧で優しかった。
その瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなり、理由もなく涙がこぼれた。
あれこの人と結婚したいかも…
特別なセリフを言われたわけでも、映画のようなドラマチックな出来事があったわけでもない。ただ一緒に過ごす時間の中で、自然とそう思えてしまった。
どうやったら結婚できるんだろう。
いつもの私なら、ここでまたデータを集め、戦略を立て、結婚までの最短ルートを探すはずだ。「こう言えば、こう動くはず」そんな風に相手の行動を予測し、導こうとするのが、これまでの私のやり方だった。
でも今回は違った。
彼が疲れて帰ってくる日は、ただ全力で迎え入れて「おかえり」と抱きしめたくなった。
近所で彼の好きなパンを見つけたら、理由もなく買っておきたくなった。
寒い朝、まだ寝ている彼に毛布をかけ直してあげたくなった。
彼がくだらない話で笑っているとき、その笑顔をずっと見ていたくなった。
美味しそうにご飯を食べてる時には、写真に収めて残しておきたくなった。
計算ではなく、ただ彼の心に寄り添いたいと思った。不安や疲れを感じたときには、そっと包み込んであげたくなった。何かをしてもらうためじゃなく、何かをしてあげたい、そんな感情が、自分の中に生まれていることに気づいた。
そして、そんなある夜、ふと私が聞いてみた。
「〇〇は私と将来どうにかなりたいの?」
この質問って、決して重く聞こえないように言ったつもりだったけど、彼はちょっとだけ声を張って、でもまっすぐな目で、こう返してきた。
「どうにかなりたいに決まってるじゃん!」
…え、なにそれ、軽めのプロポーズじゃん。
ちょっと不意打ちすぎて笑いそうになったけど、心は震えてた。
そしてその1ヶ月後、旅行先のフランス・ニースにて海風の中で、彼は真剣な顔をして指輪を差し出した。
「僕と結婚してくれませんか?」
その瞬間、お互いにボロボロに泣いた。
ただ、彼の瞳を見つめた瞬間にわかった。これが私たちの進む道だと、
指輪を差し出す彼の手の震え、朝の海風、胸に込み上げる言葉にならない想い。計算も分析も全部飛び越えて、ただその瞬間だけが真実だった。
恋愛は、数字や理論じゃない。
私にとって愛は、こんなにも生きている実感をくれて、魂を燃やす最高の燃料だった。
ちなみにプロポーズの返事としてはフランス式に習って「Oui(フランス語で”はい”」と答えた。
⚪︎自己紹介⚪︎
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