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tr413
灯火 2章 声の欠片
灯りの消えた部屋には
微かに甘い香りが漂っている。
流れに逆らう様に繋がりを求めたふたりは
溶けるように絡みつき、やがて激しさを鎮めていく。
彼の荒い息づかいが続いている。
肩にあてた彼女の頬に心臓の鼓動が激しさを伝える。
いつからだろう、彼の息づかいが荒さを含む様になったのは。
未だ喧騒の残る街の灯りがぼんやりと窓に映り、二人の影が壁にゆらりと揺れた。
激しい情熱が冷めた後に残ったのは
不安を隠せないで彼を見つめる私の眼差し。
目を閉じている彼の腕に手を重ねて、彼の鼓動に耳を傾ける。
朝から降り続いている雨の音が私を邪魔する。
いつしか彼の胸はいつもの平静さをとり戻し
軽い寝息へと変わっている。
穏やかさを戻した部屋には、雨の音だけが満ちている。
これからの二人の行き先がどのような結末を迎えるなんて何もわからない。
不安定な二人の関係は安らかなものにはならないかもしれない。
ただ今だけは
彼の刻む鼓動に【健やかであれ】と祈りを乗せる
二人の運命が続くまで
私はあなたを見つめていたい。
