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ナイトバードに連理を Day 6 - A - 2

【前 Day 6 - A - 1】

(906字)

 清心の指定した工房には、教室を90度傾けたような広く深い地下空間があった。その棚も兼ねた石壁一面には夥しい数のコーデックが並べられていた。それらは確かに武器に見えた。拳銃、刀剣、斧、槍……そのどれもが片手で扱う程度の大きさであり、そして茶賣の部下が身に着けている火器にはない優美な模様が全面に彫刻されていた。

 早矢は映画で見るような象牙の拳銃を思い出し、その価値を何となく推察した。それ以上の感慨は浮かばなかった。緊張し、知識にも乏しく、なにより発見されたコーデックの量に圧倒されていた。

 早矢は暴き出された階段の上に戻り、外光だけでも明るい工房で手近な机に腰掛け、コーデックを運び出す傭兵たちを眺めていた。

「やたら多いけど、本当に価値があるのか?」
「マチマチだな。売る分にはどれも売れるだろうが、実用向きじゃないコーデックは客層が狭い。少し工夫がいる」

 すぐ近くで同じように作業を見ていた、茶賣が当然のように答えた。率先して地下室に飛び込み、コーデックの目踏みを終えた茶賣は明らかに上機嫌だった。室内に頼はいない。それもまた間違いなく早矢の緊張に拍車をかけていた。

「だが原石よりはるかに儲かる。うまく捌けば基地の一千、二千個分にだってなる。お手柄だよ夜目殿。気を落とすな」

 茶賣は腕で額を拭った。今すぐこの男から離れたい。早矢は本心からそう思ったが、頼のためにこそ踏みとどまる必要があった。

「……全部掻っ攫うのか?」
「いや、出来の良い上澄みを見繕った。二隻では載せるにも限度がある。宝の山を売りに出すなら物証があればいい」
「回収の手間は他の人間に取らせるわけか」
「悪党らしいことを言うようになったな」

 早矢には揶揄に構う余裕もなかった。コーデックをさほど運び出さないとなれば、この街にとどまる時間は短くなる。引き延ばさなければならない。だがどうやって。考えることに精一杯だった早矢は背後から工房に踏み入った人影にも直前まで気付かず、その声に飛び上がって驚く羽目になった。

「茶賣、ボートが群れで来る。味方じゃない」
「もてる男はつらいな、おい」

 茶賣は驚くこともなく、ただ肩を竦めて工房を出た。早矢も立ち遅れながら後に続いた。 【Day 6 - A - 3に続く】



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