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椿屋四重奏に再会した人に勧めたい、中田裕二の楽曲

2025年に無事公演が終わった『椿屋酔夢譚』。椿屋四重奏20周年ライブのアンコールツアーとして行われた公演だ。

14年前に解散したバンド、椿屋四重奏のオリジナルメンバー、Vocal,Guitarの中田裕二さんとDrumsの小寺良太さんを含めた『椿屋四重奏2025』。演奏を聴いて、個々の活動にも興味を持った方がいるのでは。

今回の記事は、椿屋四重奏から中田裕二ソロまで応援している私が、椿屋四重奏に再会した人に勧めたい中田裕二さんの楽曲を紹介したい。

※環境によっては空白行が多くみられますが、Apple Musicリンクの仕様です。

(以下、敬称略)


中田裕二、楽曲の幅広すぎ問題

椿屋四重奏ファンの方が中田裕二のソロ楽曲に触れてみたとき、数曲聴いて気づいてしまったと思うが、楽曲の幅が広い。AOR路線で大人なロックをやるのかと思いきや、アーバンスタイルで仏教の教えを歌い始めたりする。

そもそも椿屋時代から楽曲の変化が大きく、曲を作っている当人にとっては地繋がりでも、側から聴いているファンは急な方向転換に驚かされたりする。

なので、「いろいろなジャンルの音楽が好き。裕二の作る曲はどれもすごい!」と素直に受け取れる小寺良太タイプでない限り、「とりあえず1stアルバムから順番に聴けばOK」と言い難いところがある。

中田裕二、楽曲多すぎ問題

中田裕二は、10年以上休むことなく音楽活動を続けてくれた。そのうえ、コンスタントに作品を発表している。

2025年4月現在、発売されているオリジナルアルバムは13枚。他にシングル2枚、ベスト盤1枚、カバーアルバム1枚、配信限定EPと作品数が多い。

アルバム1枚あたりの再生時間を1時間とすると、13時間以上はかかる。理想は毎日少しずつ聴けばいいのだろう。しかし、大人になってしまった我々は、自分ひとりに使える時間と音楽を聴き続ける集中力が失われている場合もある。

じゃあ、結局どれから聴けばいいの?

わかりやすいのは、ベストアルバム『TWILIGHT WANDERERS - BEST OF YUJI NAKADA 2011-2020 -』で全体像を掴んで、最新アルバムの『ARCHAIC SMILE』を聴くこと。

『ARCHAIC SMILE』は、中田裕二が今やりたい音楽の現在地、ソロ活動を続ける意味をダイレクトに伝えてくれると思う。

とはいえ、興味が持てそうなジャンルから聴きたいのもよくわかる。いきなり好みから離れた楽曲を聴いて、せっかく湧いた中田裕二への興味が削がれてしまうのは、ファンとしてはもったいなく感じる。

椿屋四重奏の楽曲から勧める、中田裕二の楽曲

そこで、『椿屋酔夢譚』で演奏された椿屋四重奏の曲から、中田裕二ソロ楽曲に近いものをセレクトしてみた。勝手にカテゴライズするのは、作り手からすると不本意かもしれない。でも、個人的には少しでも興味を持つきっかけを作ってみたいのだ。

あくまでいちファンの考えなので、解釈の違いなどはご了承願いたい。楽曲の共通項は、歌詞の世界観や楽曲のジャンルなど、さまざまな要素から考えてみた。見出しは、“椿屋四重奏の曲名→中田裕二ソロの曲名”となっている。

01.ぬけがら(深紅なる肖像 M-1)→sunday monday(école de romantisme M-1)

ジャジーなメロディに、シチュエーションは違えど、けだるいボーカルが乗る楽曲。

02.終列車(深紅なる肖像 M-2)→HEROINE(アンビヴァレンスの功罪 M-9)

さすがに中田裕二ソロに椿屋四重奏のようなゴリゴリの“和ロック”はないのだが、こちらは歪んだギターに生き急いだ青さを感じる曲。

03. 群青(椿屋四重奏 M-1)→ビターネス(ARCHAIC SMILE M-1)

曲調も違うのになぜこのセレクト?と思うかもしれないが、私の中で、椿屋四重奏というバンドを表している曲といえば『群青』で、今の中田裕二を表しているのが『ビターネス』だと思う。

どちらもメジャーシーンに融合しない、居場所は俺自身で作るんだ、という立ち回りの不器用さと楽曲の器用さを感じるのだ。

04. 舌足らず(椿屋四重奏 M-1)→ENEMY(アンビヴァレンスの功罪 M-3)

ドラマティックなドラミングから入る楽曲。“舌”というワードと、一人で思い詰めてそうな歌詞からセレクト。

05. LOVER(TOKYO CITY RHAPSODY M-10)→PURPLE(BACK TO MELLOW M-7)

中田自身も“サービス椿屋曲”と言っている『PURPLE』。(参考:歌謡曲をアップデートする中田裕二の輝ける第二幕『BACK TO MELLOW』!撮り下ろしロングインタビュー&動画コメント)2曲とも、重厚なバンドサウンドと、おそらく終わりに向かっていくであろう二人を描いた歌詞。

06.硝子玉(深紅なる肖像 M-2)→Deeper(thickness M-6)

ドラムの残響が鼓動のように、もの悲しさが漂う楽曲。二人でいるのになぜか寂しい、みたいな。

07. I SHADOW(TOKYO CITY RHAPSODY M-4)→ONLY I KNOW(Sanctuary M-8)

「僕だけが知っている、影さえも奇麗な君」を求めてくる中田裕二に会いたいならこの曲。

08. いばらのみち(孤独のカンパネラを鳴らせ M-2)→灰の夢(MY LITTLE IMPERIAL M-5)

一筋縄ではいかない恋路が、ドラマティックな構成で走り抜ける。

09.LOVE 2 HATE(TOKYO CITY RHAPSODY M-5)→アンビバレンス(アンビヴァレンスの功罪 M-6)

盲目的な恋をロックサウンドが盛り上げる2曲。

余談であるが、アルバム『TOKYO CITY RHAPSODY』が好きな方は、中田裕二ソロの『アンビヴァレンスの功罪』に親和性が高そうである。

10.シンデレラ(CARNIVAL M-10)→誘惑(BACK TO MELLOW M-7)

簡単にハッピーエンドにしてくれない曲。幸せにしてくれないのに幸せにすがるのが『シンデレラ』で、幸せにしてくれないとわかっているのに罠にかかるのが『誘惑』。

11.アンブレラ(CARNIVAL M-12)→海猫(DOUBLE STANDARD M-12)

不甲斐ない自分を慰めてくれるのは、雨上がりの青空や夕焼けだったりする。『アンブレラ』が目の前の悲しみを癒す曲だとしたら、『海猫』は古傷を優しく撫でる曲。

12.紫陽花 (薔薇とダイヤモンド M-5)→朝焼けの彼方に(LIBERTY M-9)

ストーリーテラー中田裕二が描く、悲しい恋の物語。静かに迫り来る別れを切実に表現するのが本当に上手い。

※なぜか『紫陽花』のリンクが、アルバム『薔薇とダイヤモンド』から貼れなかったので、ベスト盤のリンクを使った。

13.NIGHTLIFE(孤独のカンパネラを鳴らせ M-4)→ランナー(Sanctuary M-2)

ラップ調でユーモアと皮肉が入り混じる痛快な楽曲。

14.red blues (孤独のカンパネラを鳴らせ M-6)→Terrible Lady(LITTLE CHANGES M-2)

ブルース調で未練がましく歌い上げる。『red blues』はまだ強がっていて、『Terrible Lady』は弱さも開示している感じ。


15. CRAZY ABOUT YOU (CARNIVAL M-3)→愛に気づけよ(thickness M-10)

曲を聴けば、元カレ(中田裕二)との幸せだった日々、なかった記憶が蘇る。

16.マテリアル (Sg:マテリアル M-1)→存在(MOONAGE M-10)

精神的な支えである君と別々の道を進むことになったら、どう思う?どうしたい?そんなことを問いかけてくる曲。

17.螺旋階段(薔薇とダイヤモンド M-4)→むせかえる夜(NOBODY KNOWS M-9)

恋と呼ぶには不安定で、それでも引き返す訳には行かない繋がりが心をヒリヒリさせる。

18.恋わずらい (TOKYO CITY RHAPSODY M-3)→真空(MOONAGE M-6)

中田裕二は、巧みな表現で二人の心のもつれと情事を描く随一の人。

歌唱時における、カ行の色っぽい破裂音とサ・ハ行の吐息のような発声はイヤホン推奨。『恋わずらい』の切実たる発声もたまらないが、成熟した発声の『真空』は焦らしプレイのようで良い。

19.幻惑(Sg:幻惑 M-1)→夜をこえろ(Sg:ただひとつの太陽 M-2)

“胸を焦がす”歌謡曲のような切ないメロディーラインに、『幻惑』はハードロック、『夜をこえろ』はソウルミュージックが調和している。

20.空中分解(深紅なる肖像 M-7)→リビルド(thickness M-7)

ハードロックで軽快なサウンドに因縁深い歌詞が乗る曲。

21.不時着 (TOKYO CITY RHAPSODY M-13)→TWILIGHT WANDERERS(TWILIGHT WANDERERS - BEST OF YUJI NAKADA 2011-2020 -DISC 2 M-17)

大切な人へのメッセージとも受け取れるし、向き合い続けた音楽へのラブレターとも受け取れる。

EN01.小春日和(深紅なる肖像 M-8)→ロータス(NOBODY KNOWS M-3)

大切な人への温かい目線を向けた歌詞と、どこか切ないメロディが儚い。サビのギター進行がどちらもマイナーセブンス(m7)中心なので、耳触りに近いものを感じる。

EN02.君無しじゃいられない(薔薇とダイヤモンド M-9)→MIDNIGHT FLYER(アンビヴァレンスの功罪 M-2)

一歩間違えればダサくなりそうな歌詞をかっこよく歌い上げる。客席が一体となり盛り上がる、ライブで聴きたい曲。

中田裕二ソロで得られるものは“励まし”だと思う

ここまで、椿屋四重奏の曲から中田裕二ソロの曲に近いものを選んでみた。

しかし、同じシェフでも円熟した調理法になり、違う食材を使えばできる料理も違うもの。中田裕二ソロならではの聴いてほしい曲がたくさんある。多彩な楽曲のテイストだったり、歳を重ねることに増す演奏技術に注目してみたい。

また、個人的に椿屋四重奏にはあまりなく、中田裕二ソロで得られるものは“励まし”だと思う。それも背中を押して鼓舞する曲ではなく、一緒に寄り添うような曲だ。

宮城公演EN03.ひかりのまち

椿屋四重奏解散後、中田裕二ソロで初めて発表した曲は、奇しくも東日本大震災のチャリティーソングになった。『ひかりのまち』は、震災がおきても続いていく日常をつづっている。

静寂のホリゾント(MY LITTLE IMPERIAL M-12)

『ひかりのまち』の続編にあたる曲。(参考:中田裕二がシーンに築いた絶対領土『MY LITTLE IMPERIAL』! 前作から10ヵ月で届いたやりたい放題の2ndアルバムを 異端児にして偉才が語る、ツアークライマックス目前 撮り下ろしインタビュー&動画コメントが到着!!

悲しんだまま、ときに諦めたまま進んでもいい、あるがままを受け入れてくれる包容力のある曲。

IT’S SO EASY(THE OPERATION / IT’S SO EASY M-2)

熊本地震のタイミングで作られた曲。中田の故郷である熊本に向けて歌ったからこそ、誇張なしの「泣けばいいさ」がある。


さるこうよ(配信限定)

熊本出身のシンガー、EXILE NESMITHさん、Leolaさんと作った、熊本応援ソング。

『IT’S SO EASY』製作時には書かれていない、前向きでストレートな熊本愛に励まされる。明るくて人懐っこいNESMITHさん、Leolaさんとの共作だからこそ、日の当たるような曲になった。

君が為に(PORTAS M-10)

コロナ禍で生活様式が様変わりしていたときに作られた曲。あのときは、毎日戦犯探しをするような、ギスギスしたムードだった。『君が為に』は、中田にはめずらしくストレートな歌詞で、今を受け入れる礎を歌っている。

つかずはなれず中田裕二の楽曲を

初期衝動や青春を抱えた椿屋四重奏の曲が彗星のきらめきだとすると、中田裕二は今をやさしく照らす月だと思う。

べらぼうに上手い歌とギターはそのままに、中田裕二のフィルターを通した世界が、あるがままの今を受け入れてくれるのだ。

▼プレイリスト作ってみました。

ご興味あったらこちらもどうぞ

▼“椿屋四重奏2025”の仙台公演を観て、衝動的に書きました。

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杉浦百香(もか)@ライター この記事が、共感できるな・おもしろいなと思って頂けたら、「スキ♡」を押してくれるとうれしいです。(♡はnote会員以外でも押せます)SNSでのシェアも大歓迎してます!