偏差値30台からの広尾学園小石川中学AG合格への軌跡 ‐ 第5回 TOEFL iBTスコア90までの奮闘
前回は「塾の変遷」についてまとめました。
今回は、TOEFL iBTスコア90に至るまでの経緯について書きます。
「英検準1級を5年生で取っているのだから、いけるだろう」
――そんな楽観的な見通しから始まった挑戦は、思うようには進みませんでした。
親の諦めと、息子の執念、その執念が引き寄せた運、そして最後に90へと届いた話です。
広尾学園や広尾学園小石川の帰国生/国際生入試AGコースでは、TOEFL iBT90以上のスコアを提出することで英語の筆記試験が免除になり、英語の点数は提出したスコアに応じて算定されます。
当時の私は、それを「有利になる仕組みの一つ」くらいにしか捉えておらず、その“本当の意味での有利さ”まで理解していませんでした。
〇なぜ英検1級ではなく、TOEFL90を目指したのか
息子は小学校5年生の10月に、英検準1級に合格していました。
帰国生・国際生入試を目指す中で、塾の先生から何度も言われていたのが、「まず英検準1級を取ること」でした。
英検準1級を持っていれば、学校によっては英語試験の免除や得点換算などの優遇を受けられます。帰国生・国際生入試を考えるうえでは、準1級はかなり有力な武器になる資格です。
では、準1級を取った次に何を目指すのか。
さらに上の英検1級を目指すという選択肢もありました。
しかし、志望校の入試制度を調べていくと、英検1級が受験上の大きなメリットになる学校は、少なくとも私たちが受験を考えていた学校の中では見当たりませんでした。
もちろん、英検1級を取得すること自体には大きな価値があります。
ただ、1級を目指すよりも、その時間を合格に直接つながるものに使うほうがよいと考え、次は広尾学園と広尾学園小石川の受験で実利のあるTOEFL iBT90を目標としました。
特に息子の場合、広尾系の英語筆記試験に出てくるポエムなど、文章の情緒や表現を読み取るような問題は、かなり相性が悪いと感じていました。
英語そのものはできても、そうした問題で安定して点を取るのは簡単ではない。それならば、TOEFLで90を取り、英語筆記試験を免除してもらう。
英検準1級を受験の武器として確保したうえで、次はTOEFL90。
これが、我が家の中学受験における英語の戦略になりました。
〇TOEFL iBTを甘く見ていたスタート
とはいえ、この時点では、TOEFL iBT90の難しさを私は十分に理解していませんでした。
息子はすでに英検準1級を取得しており、帰国子女アカデミーの成績も伸びてきていました。
そのため私は、「あと半年ほどしっかり勉強し、6年生の夏期講習が終わってから数回受ければ、90は取れるだろう」と楽観的に考えていました。
また、受験回数をできるだけ少なくして、出費をおさえたいという気持ちもありました。とにかくTOEFL iBTの受験料は高いです。
しかし、実際に受験を始めてみると、その考えが甘かったことを思い知らされることになります。
〇受験開始、そして現実
8月末から受験を始めましたが、12月まで毎月受けたスコアは次のとおりで、簡単にはいきませんでした。
1回目:69
2回目:78
3回目:88
4回目:77
5回目:84
〇想像以上に高い壁
TOEFL iBT90は、簡単ではない。英検準1級とは別次元でした。
回数を重ねても決定打が出ない。
受験料は5回で約15万円です。
「これ以上は厳しい」親としては、ここで諦めようと考えました。
〇親の諦めと子の執念
私と妻には焦りもあり、5回目の受験でも90に届かなかったとき、
正直なところ、ここで一区切りにすべきではないかと考えました。
その背景にあったのが、サレジアン国際学園です。
数回の説明会に参加して、とても魅力的な学校だと感じていたからです。
模擬試験の志望校判定でも、AGコース合格率90%の結果が出ていました。
「ここまで頑張ってきたのだから、サレジアンにご縁をいただけるのであれば、十分ありがたい」――私は、そんな気持ちになっていました。
(サレジアン国際学園の印象については、参加してきた各学校の説明会について今後に書こうと思っているので、そこで触れることにします)
私は息子に言いました。
「もうTOEFL iBTスコアの申請はせずに、広尾と広尾小石川は、英語筆記試験を受けることにしよう」
しかし息子は、
「最後にもう一回だけ受けたい、絶対90とりたい」と、はっきり言いました。
私は、もう15万円も受験料かかってるんだから、勘弁してくれと言いたいところをなんとか抑えて、息子の気持ちに応えることにしました。
今思えば、ここが、我が家の中学受験の大きな分岐点だったと思います。
〇ラストチャンスの設定
試験までの間に、TOEFL iBTの勉強時間をできるだけ多くとるとして、
スコアを広尾小石川に提出する期限から逆算すると、
ラストチャンスは、1月中旬の試験が最後でした。
しかも、スコア発表の時期に幅があるため、提出期限に間に合わない
リスクもあるというギリギリの選択でした。
〇TOEFL iBTの改訂という“運”
そして、その試験日は、TOEFL iBTの試験形式が変更される日でした。
変更の主な点は
・試験時間が短縮
・講義形式(難解な内容)が減少
・会話重視へ
息子には、
「リスニングセクションの難しい単語が多い大学講義形式の問題が苦手」
という傾向があったため、この変更はプラスに働く可能性がありました。
〇最後の結果
結果は、90ジャスト、ギリギリでの到達でした。
しかも新形式では発表が早く、今までより4日早い約3日で結果が判明。
スコア書類提出期限にも十分間に合いました。
〇振り返って思うこと
・TOEFL iBTの試験を受けるスタートが遅かった
・想像以上に難しかった、という点がありましたが、
一方で、本人が最後まで諦めなかったことで、
形式が変更された試験を受けることができたという、運との巡り合わせもありました。
この運は、本人の諦めない気持ちが引き寄せたものだと今では思っています。
結果として、息子はギリギリでスコア90をとることができました。
もしこれがなかったらどうなっていたか。
ポエムなどの特殊な問題が多い英語筆記試験をクリアすることは息子には至難の業であり
正直に言って、合格はなかったと思います。
また後になって、通っていた塾が実施した2026年中学受験の総括会で興味深い話を聞きました。
広尾学園を受験した生徒たちのデータでは、
TOEFL iBT利用者の合格者平均スコアは100だったというのです。
息子は最後まで努力して90に到達しましたが、その数字を聞いたとき、
広尾学園の不合格という結果についても納得することができました。
〇TOEFL iBT試験の改訂による今後の影響について思うこと
TOEFL iBT試験の改訂についてネット上では、次のようなコメントが多く見られます。
「試験時間が短くなったことや、内容がより身近なものに変わったことで、
日本人が苦手だった『専門的でとても長い文章』を読み続ける必要がなくなった。そのため、以前よりやさしくなったと感じる人が増えている。」
こうしたことを踏まえると、
広尾学園や広尾学園小石川の英語試験免除に必要なTOEFLスコアも、
これからは少しずつ上がっていくのではないでしょうか、
その意味でも早めの準備と受験が大切だと思います。
今回はここまでです。
次回は、第6回「教育にかかったお金」について、家計のやりくりなどを含めて書きたいと思います。
