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【愛玩動物看護師が解説】愛犬の心臓を狙う歯周病菌。無敵の酵素「ジンジパイン」から身を守る方法

愛玩動物看護師、そしてOCEPアニマルオーラルケアアドバイザーとして歯周病の真の恐ろしさについてこれまで書いてきました。
その中でもやはり脅威なのはグラエ菌(人の場合ジンジバリス菌)なのですが、今回はその恐ろしさをもう少し深堀して書いていきたいと思います。


1. グラエ菌の最恐の武器「ジンジパイン」とは?

レッドコンプレックス(凶悪な歯周病菌の集団)の中でも、特に恐ろしいのが「グラエ菌」です。その凶悪さの源は、彼らが放出する酵素「ジンジパイン」にあります。 彼らの活動には鉄が不可欠ですが、体は鉄を奪われないよう、ヘモグロビンなどに結合させて厳重に管理しています。

2. 傷が治らない!? 血小板を阻害し「鉄」を奪う手口

しかし、ジンジパインはこの結合している鎖(タンパク質)を切り裂き、鉄を奪います。

ジンジパインの酵素がヘモグロビンのたんぱく質を溶かし、へミン鉄にして取り込むことを表した画像

鉄を奪った後は、菌は黒く変色します。 さらに恐ろしいのは、ジンジパインが鉄を奪うだけでなく、傷の修復のために働く「血小板」の働きまでも阻害してしまうことです。

傷の修復を邪魔し、ヘミン鉄を奪い、そして時にはその空いた傷から血管内に侵入します。また、傷の修復が難しくなるのは血小板を集めてしまう(凝集)してしまうからですがこれは「血栓」の原因になってしまいます。

歯周病菌のグラエ菌がヘモグロビンの鎖を切りへミン鉄に変えて取り込み黒色化する様子を説明した画像

3. 免疫細胞も切り裂く!ペプチド化による爆発的増殖

ジンジパインの攻撃は鉄だけに留まりません。菌の増殖にはタンパク質が必要ですが、そのままでは取り込めません。タンパク質はアミノ酸の鎖(ペプチド)の集合体です。ジンジパインはこのたんぱく質の鎖を「はさみ」で切り刻むように溶かし、ペプチドに変えてから取り込みます。

こうして取り込んだペプチドで増殖し、さらに凶悪な菌となり、他のレッドコンプレックスと手を組むことでその力はさらに増し、手が付けられないものとなります。

歯周病菌のグラエ菌がたんぱく質の鎖を断ち切りペプチドに変えて取り込む工程を説明した画像

ジンジパインのこの「タンパク質の鎖を断ち切る」力は、免疫細胞を構成するタンパク質にも向けられます。まさに、向かうところ敵なしの状態です。

4. お口の中から心臓へ…「僧帽弁閉鎖不全症の引き金

お口の中を制圧したジンジパインは、時に空いた傷から血管内に侵入し、全身へ巡ります。心臓弁にたどり着けば、弁を硬化させ機能を失わせ、やがて「僧帽弁閉鎖不全症」にしてしまうことがあります。 前述の心臓以外にも腎臓や肝臓にも悪影響を与えることがわかっており、人の場合は脳、例えばアルツハイマーの原因になっていることもわかっています。

本当に恐ろしい菌です。しかし、逆を言うとジンジパインを阻害すればグラエ菌も悪さが出来なくなります。

5. ジンジパインの牙を折る「天然の防御策」と未来への希望


グラエ菌のジンジパインをどうにかできる方法はないのか悩んでいる姿と、ジンジパインがたんぱく質の鎖を溶かし、ペプチドやへミン鉄を奪う構図を説明している画像

「これについて研究している方はいないのでしょうか?」と思われる方もいると思います。これは研究中ではありますが、実際にアルツハイマーの進行を防ぐ新薬としてプロテアーゼ(ジンジパイン)阻害薬の研究がされている最中です。

これは医療としてですが、実は天然の物でプロテアーゼ(ジンジパイン)阻害するものが身近にあったりします。それは「林檎のポリフェノール」やウコンに含まれる「クルクミン」で、研究によりこれらが効果あると論文や研究結果が報告されています。

ただ、もちろん、基本的にグラエ菌を活動させるような状況を作らない(無酸素環境の歯周ポケットを作らないのはもちろん、

レッドコンプレックスが活動するために不可欠な前段階、オレンジコンプレックスが活動する環境も作らないのが一番大事なのは言うまでもないと思います。

このプロテアーゼ(ジンジパイン)阻害薬が開発されれば歯周病学の常識もがらりと変わる可能性があるので、医療の進歩に期待したい所ですね。

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