金色に光るのは #シロクマ文芸部
金色に光る指輪がよく似合う、とても綺麗な指だと思った。
おはよー、と手を振る彼女の小指にキラリと光る指輪。
「可愛いね、それ」
私が言うと、彼女は嬉しそうに笑う。
「ピンキーリング、幸運が訪れるかもだよ」
「似合ってるよ」
窓際に手をかざして、キラキラと光る指輪を楽しげに眺めている。
彼女に似合う指輪がうらやましい。
私は、彼女に似合わない。
私が幸せにしてあげる、なんて言えたらいいのに。
いつか、言える日は来るのだろうか。
もしも私が指輪だったなら、幸運を願う彼女の指にぴたりと似合う指輪になれるだろうか。
彼女に、とびきりの幸運を届けてあげられるだろうか。
「ね、ね、手、出して」
彼女が無邪気に言うので、私は素直に手を差し出すと、そこにコロリと乗せられる指輪。
金色に輝いている。
「じゃーん、プレゼントでーす!」
「ありがとう、……え、なんで?!」
お礼を言いながら驚いて疑問を投げると、彼女のほうがそれに驚く。
「なんでって、なんでも? 可愛かったから」
あっけらかんと言って、付けてと催促する。
「私には似合わないよ」
「似合うよ、可愛いもん」
ためらう私に、彼女はなにかを思い出したように「あ、」と漏らす。
「おそろいとか、苦手だったかぁ」
「そんなことないよっ、ただ……、本当、似合わないと思うから」
おそろい——、確かに、私は好んでそういうことはしないけれど、彼女とおそろいのものなら、嬉しい。
私には似合わない、そう思いながらも、彼女から受け取った指輪をそろそろとはめる。
「うん、可愛い」
満足そうに言って、彼女は指輪をはめた私の小指に自分の小指を並べた。
「おそろい、いいねー」
彼女の綺麗な指と、不格好な私の指。改めて見比べると恥ずかしさが募っていくみたいだ。
「一緒に、幸せになれるといいね」
「そうだね、」
純粋に笑う彼女。私もつられて、笑う。
彼女が言う言葉と、私の気持ちが少し違うことを、彼女は知らないままがいい。
彼女と私の小指に光る金色。
私にはもう、幸運がやってきたかもしれない。
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・再会、できずに 9/12「懐かしい」
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2024.10.12 もげら
