ニュージーランド経済、リセッション回復と課題
2025年1月29日に、ニュージーランド経済がリセッションに陥り、多くのニュージーランド人が国外に移住しているという話題を取り上げました。この記事では、その後の状況をアップデートするため、ニュージーランド経済の最新動向を説明します。
オーストラリアも経済の伸びが鈍化しているものの、ニュージーランドよりは良い状態を維持しています。
このため、ニュージーランド人が仕事を求めてオーストラリアへ出稼ぎに行くケースが増えているとされています。
GDP成長率の回復とその内訳
2025年3月20日に発表された2024年10〜12月期(4Q)のGDP成長率は、前期比+0.7%となり、3四半期ぶりにプラス成長に転じました。前年の4〜6月期と7〜9月期はともにマイナス成長で、リセッションの状態にありましたが、10〜12月期に持ち直しの兆しが見られました。

成長の主な要因は政府消費の増加で、前期比+1.9%と大きく伸び、経済全体を押し上げました。一方で、民間消費は+0.1%、企業の設備投資などにあたる固定資本形成も+0.1%と低迷しています。特に固定資本形成は2023年前半からマイナスが続いており、今回のプラス転換は小幅ながら改善の兆しと言えるでしょう。
しかし、民間投資と消費は依然として弱く、本格的な回復には至っていません。
また、ニュージーランドの主要産業である農業部門では、乳製品や農作物の輸出が前期比-0.3%と減少しました。この点も経済回復の足かせとなっています。
インフレの鈍化と政策金利の行方
ニュージーランドの消費者物価指数(CPI)は、2024年10〜12月期に前年同期比+2.2%まで低下しました。これは2022年4〜6月期の+7.3%をピークに、インフレの鈍化が続いていることを示しています。

世界的にインフレが高止まりしている中で、ニュージーランドの物価上昇率は比較的落ち着いています。この背景には、経済の低迷による需要の弱さが影響していると考えられます。
オーストラリアの政策金利との関係
現在、ニュージーランドの政策金利は5.5%ですが、今後の利下げが予想されています。ただし、ニュージーランドはオーストラリアとの経済的な結びつきが強く、極端に異なる金融政策を取ることが難しい国です。
オーストラリアの中央銀行は現在4.1%の政策金利を維持しており、利下げは慎重に進められています。
オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は2月18日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、4.10%とすることを発表した。2023年11月に4.35%に引き上げた後、2024年12月まで1年間にわたり、9会合連続で据え置いていた。利下げの実行は2020年11月以来4年3カ月ぶりとなる。
ニュージーランドもこれに歩調を合わせる形で、0.25%ずつの利下げを実施すると見られます。しかし、オーストラリアより大幅な利下げを行うと通貨安が進行し、経済に悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重な対応が求められるでしょう。
オーストラリアへの移住増加とその影響
ニュージーランド経済の低迷を受けて、ニュージーランド人のオーストラリア移住が増加しています。
オーストラリアのアルバニージー政権は、2023年7月1日からニュージーランド国籍者がオーストラリア市民権を取得しやすくなる制度変更を実施しました。これにより、ニュージーランド人はオーストラリアでの社会保障を容易に受けられるようになり、移住の動きが加速しています。
オーストラリアへの人口流出が続く一方で、ニュージーランドにはイギリスや中国からの移民が流入しており、人口自体は増加しています。しかし、こうした移民の増加が経済にどのような影響を及ぼすのかは、まだ明確なデータが出ていません。
文化の異なる移民を大量に受け入れれば、様々な問題が生じてくるのは言うまでもありません。世界の先進国の多くは、少子高齢化で社会保障制度の維持が難しくなってきています。移民の人たちがそうした制度を使うケースに対して、不満が高まっているのが現状です。
ニュージーランドの投資環境と今後の展望
3月中旬にオークランドで開催された「ニュージーランド・インフラ投資サミット」で、ラクソン首相は「地政学リスクが高まる中で、ニュージーランドは平和な国であり、投資に適している」とアピールしました。確かに、ニュージーランドは地理的に孤立しており、戦争リスクが比較的低いと考えられます。しかし、それだけで投資家を引きつけるのは難しく、経済成長のためにはさらなる政策の工夫が必要でしょう。
また、ニュージーランドは経常収支と財政収支の両方が赤字、いわゆる「双子の赤字」の状態にあり、通貨安やインフレのリスクを常に抱えています。今後の金融政策次第では、経済の回復にさらなる時間を要する可能性もあります。
ニュージーランドへの移住
インフレは落ち着きを見せており、利下げの可能性が高まっていますが、オーストラリアの金融政策とのバランスを取る必要があります。また、オーストラリアへの移住増加が続いており、国内の労働市場や経済にどのような影響を与えるのかが今後の焦点となるでしょう。
ニュージーランドへの移住を考えている人にとっては、経済状況を理解した上で、どのような目的で移住するのかを明確にすることが大切です。経済成長を期待するよりも、のどかな環境での生活や異文化体験を重視する人には、依然として魅力的な国であることに変わりはないでしょう。
ご参考
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