階級社会イギリスのアクセントと差別問題
この記事でお伝えするのは、古くから王族を中心とした階級社会だと言われてきたイギリスについてです。近年は移民も増え、「差別的なことはあってはならない」という価値観が社会に広まってきています。しかし、表立っては語られなくても、人々の心の中には階級社会的な認識が今も残っており、階級意識が存在すると言われています。
イギリスの階級社会の歴史的背景
イギリスが階級社会だと呼ばれる背景には、産業革命の時代から続く歴史があります。王族を頂点に、貴族、その下に実業家や専門家などを中心とした中流階級、そして労働者階級が最下層に位置するという構造です。かつては労働者階級の中でも職業によって上下が区別されることもありました。

現代に残る貴族特権と資産
現在では人権の観点から貴族と労働者で法的な差はありませんが、歴史的経緯により上流階級は莫大な資産を保有していることが多いです。例えば、ロンドンの一等地の多くは、代々上流階級が所有してきました。貴族はその土地を貸し出すことで、今も莫大な利益を得ています。こうして一部の特権階級は、生まれながらにして豊かな暮らしを享受しているのです。
特権階級を除いても、中流階級や労働者階級の間に階級意識は根強く残っています。現代では職業だけでなく、出身地域やルーツの国も関連する場合があります。ただし、公の場で職業やルーツによる差別を口にすることはありません。表向きには差別は存在しないことになっていますが、本音と建前があるのです。
アクセントが映し出す階級
その「本音」が表れるのが、英語のアクセントです。日本語に方言があるように、イギリスでも地域によってアクセントが大きく異なります。さらに地域差だけでなく、階級によっても発音が変わります。上流階級が話す英語は「レシーブド・プロナンシエーション:Received Pronunciation(容認発音)」と呼ばれ、BBCのアナウンサーや学校の先生が用いる標準的な発音です。
RPはReceived Pronunciation(容認発音)の略称です。つまり、RPは発音のみを指すのです。ただ、RPを話す人は身分の高い人、教養のある人たちです。だから彼らの英語は発音ばかりか、文法や語彙もきちんとしていることになります。
一方、ロンドンの労働者階級が話す英語は「コックニーアクセント」と呼ばれ、発音は大きく異なります。コックニー(cockney)は日本でいう江戸っ子の言葉のようなもので、特徴的な音や言い回しがあります。
近年では、レシーブド・プロナンシエーションとコックニーアクセントが混ざった「エスチュアリー英語(Estuary English)」を話す人も増えています。ロンドンの中でも地域によって使われる傾向は異なり、労働者階級の多い地域ではコックニーが多く話されます。
アクセントと差別
アクセントはその人の背景を示すことがあり、差別や偏見につながる場合があります。例えば「ブラックカントリー」と呼ばれるイングランド中西部の地域は、産業革命時代に重工業が盛んでしたが、現在は所得の低い人が多く、そのアクセントが見下されることもあると言われます。移民もまた所得の低い地域に住むことが多く、特徴的なアクセントを話す場合があります。
職業と発音の関係
弁護士やコンサルタントといった中流以上の職業では、強いアクセントの英語は不適切と見なされることがあり、多くの人がレシーブド・プロナンシエーションを話すよう努めます。しかし、アクセントは生まれつき身についたもので、完全に変えるのは難しいものです。そのため、無理に変えようとしても違和感のある発音になり、ルーツが分かってしまうこともあります。
若者とアクセント
特徴的なアクセントを持つ若者は、からかわれたり話題にされたりすることがあります。地方出身者がロンドンの大学に進学すると、自分のアクセントが異なることに気づき、将来のキャリアのために発音を意識的に変える人もいます。しかし、それは簡単ではなく、からかわれることを恐れて授業中に発言を控える学生もいるそうです。
元サッカー選手のデビッド・ベッカム氏も、マンチェスターのアクセントから標準的な発音に変えたとされています。
日本との比較
日本では現在、方言で差別されることはほとんどありませんが、昔は地方出身者が就職試験で不利になることもありました。私の父も田舎出身で強いコンプレックスを抱いていたように思います。イギリスは今でも昔の日本のように、地方のアクセントを持つ人が見下されたりからかわれたりすることがあります。
公の場とプライベートでのアクセント
金融などの業界では、ほぼ全員がレシーブド・プロナンシエーションを意識して話すため、それ以外のアクセントはほとんど聞きません。しかしプライベートでは地元の話し方に戻る人も多く、地域ごとの多様なアクセントが飛び交います。日本人からすると、コックニーやエスチュアリーの発音は非常に聞き取りにくく、同じロンドンでも全く異なる言語のように感じられることがあります。
アクセント文化の魅力と問題
英語のアクセントは発音系YouTuberのだいじろーさんが面白おかしく解説しており、私もよく視聴しています。コックニーや地方都市のアクセントを聞くと、日本人には「本当にこれが英語なのか」と驚くこともあります。しかし、イギリス国内ではこれらが今も差別や偏見の対象になることがあり、多くの人が悩みを抱えています。
動画の中でたいじろーさんの話をしたら、視聴者の方から沢山共感のコメントを頂いた。だいじろーさんは面白い!いつか会ってみたいYoutuberのひとり!
— 【世界経済情報】モハPチャンネル (@MohaP_WorldNews) August 7, 2025
今でも階級社会だと言われているイギリスのアクセントによる差別問題について解説しました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ご参考(イギリスの暮らしの記事のまとめ)
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