日比谷公園再開発とロンドンの公園文化の話
先日、東京の残念な都市開発について解説する動画を公開いたしました。不動産投資について勉強したことはありますが、専門はあくまで債券のため、不動産投資の専門的な話はしませんでした。そのため、あまり多くの方に興味を持っていただける内容ではないだろうと考えていたのですが、とても大きな反響をいただきました。
特に印象的だったのは、日比谷公園の再開発に触れた場面について、「日比谷公園の歴史と文化をこよなく愛する会」の方が動画を取り上げてくださったことです。

それ以外にも、多くの方からコメントやリアクションをいただき、予想を上回る関心をいただけたのではないかと思っております。「続編を期待しています」という声も多数いただきましたので、そのご要望にお応えし、前回いただいたコメントをご紹介しつつ、特に公園に焦点を当ててお話を進めます。
また新聞なんかも取り上げはじめました。私の動画も少しは役立ったかなhttps://t.co/JIk7iPUa3G
— 【世界経済情報】モハPチャンネル (@MohaP_WorldNews) May 14, 2025
いただいたコメントと論点の整理
共感の声が多く寄せられた一方で、批判的なご意見もいくつかいただきました。例えば、私が「最近新しく開発された『なんとかヒルズ』や『ミッドタウン』がガラガラだという記事が出ている」と述べたことに対し、「顧客データをしっかり確認したのか、一時的な状況を取り上げて失敗と印象づけていないか」という指摘がありました。
また、「ガラガラでも利益が出ていれば問題ないのではないか」、「富裕層向けのエリアは混雑を避ける設計をしているのでは」といったご意見もありました。これらはそれぞれ一理あるご意見だと思います。ただ、私が伝えたかった論点は、実は少し異なるものでした。
その原因は建築資材や耐震構造の違いもあるでしょうが、私は資本主義の性質、すなわち「短期的収益の追求」が都市開発を均質でつまらないものにしているのではないかと感じています。
街の質と投資の短期化
私が本当に伝えたかったのは、「投資家が短期的な利回りを求めるようになると、物件の寿命や設計の前提もどんどん短期化し、その結果、街全体が“ちゃっちい”ものになっていく」という構造的な問題についてです。
もちろん、民間事業としては、高コストで低利回りのプロジェクトにはお金が集まらない現実がありますし、この傾向は今後も続くと思われます。しかし、だからこそ、都市がどのように作られ、どんな価値を提供する場所であるべきかを、私たち自身が問い直す必要があるのではないでしょうか。
日比谷公園の再開発
その流れの中で、私は日比谷公園の再開発について触れました。現在、日比谷公園を含む周囲の帝国ホテル、東京電力、旧三井銀行ビルなどを一体とした大規模な再開発計画が進行しています。その中には、120年の歴史を持つ公園の一部を取り壊し、新しい空間に作り変えるという内容も含まれています。

私はこの点について、「本当にその必要があるのか」、「東京都が管理する公園も、民間のビル開発と同様のサイクルに乗るべきなのか」と疑問を呈しました。日比谷公園は、明治の面影を残す美しい空間であり、これを取り壊してしまうのは非常にもったいないことだと思っています。
ロンドンの公園文化
私はイギリス、特にロンドンの話をすることが多いのですが、ロンドンには歴史ある美しい公園が多数存在します。リッチモンドパークのような王立公園だけでなく、市街地には「なんとかパーク」や「なんとかスクエア」といった小さな公園も豊富にあります。それらの多くは1800年代に作られたもので、豊かな緑と季節を感じられる素晴らしい空間です。

正直なところ、私はこれまであまり公園に興味がありませんでした。しかしロンドンで生活をする中で、公園の価値に気づきました。人々が春から夏にかけて芝生の上で語らい、夏場には夜10時近くまで明るい日差しの中で時間を過ごす、そうした光景に、公園の役割と文化の大切さを実感しました。
日比谷公園の存在
私は日比谷公園について、ロンドンの公園と非常に似た雰囲気を感じています。そして、そこに日本らしさが加わっている点が、日比谷公園の最大の魅力ではないでしょうか。だからこそ、この公園を大きく作り変えるという動きに対しては、非常に残念な気持ちを抱いています。
イギリスの失敗事例
イギリスでも同様の失敗はあります。ロンドン中心部にあるハイドパークのそばには、1828年に建てられたマーブルアーチという門があります。その近くに、マーブルアーチマウンドという新たな公園が作られたのですが、これが非常に安っぽく、失敗に終わった例です。
このプロジェクトは当初、約6億円の予算で行われたものの、完成したのは鉄パイプで組んだ小さな丘に植物を植えただけの構造物でした。2021年のオープン直後から批判が相次ぎ、わずか半年で閉鎖・解体されました。最終的な費用は約12億円に達し、責任を取って市議会議員が辞任する結果となりました。新しい名所を作るつもりが、市民の目には「景観を損ねた」という評価に終わったのです。
市民の関心が都市を守る
このように、古くても良いものを「守ろう、大切にしよう」という意識がなければ、美しい都市空間や公園を維持していくのは難しいのだと思います。また、「再開発をコンクリートジャングルだと批判する人が、実際には家でスマホばかり見ている」、「だからこそ街もそうなってしまうのではないか」というご指摘もありました。確かにそれも一理ある意見です。
結局のところ、美しい公園を残そう、その空間で時間を過ごそうという人が増えなければ、都市の風景はその関心のなさを反映する形で変わってしまうのかもしれません。
ラッセルスクエアガーデン
最後に、私がロンドンで最も好きな公園をご紹介いたします。それが「ラッセルスクエアガーデン」です。ロンドン中心部には「なんとかスクエア」という公園がいくつもありますが、このラッセルスクエアガーデンはその中でも2番目の広さを誇ります。1805年に開園した歴史ある公園で、大英博物館のすぐ近くに位置し、ロンドン大学の本部なども周囲にあります。

園内には立派な木々が多く、木漏れ日が差し込む美しい風景が広がっています。天気の良い日には、仕事や授業を終えた人々が思い思いの時間を過ごしており、非常に穏やかな空気に包まれています。もしロンドンを訪れる機会がありましたら、是非足を運んでみてください。
おわりに
この記事では公園というテーマについて説明させていただきました。引き続き、経済や都市の在り方について考えるきっかけになるような情報があればお届けしたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ご参考(イギリスの暮らしの記事のまとめ)
■ ロンドンの現状と日本との比較(2024/6/21)
■ 家族で海外で生活するということ(2024/6/28)
■ プレタマンジェの戦略変更と英国コーヒー業界(2024/10/8
■ 英国のワーキングホリデー急増理由と厳しい現実(2024/10/28)
■ イギリスとギネスビールとSNSの話(2024/12/18)
■ ロンドンの住宅不足とホームレス問題(2025/5/15)
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