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投資初心者に伝えたい、プロと素人の違い


 2025年4月7日、日経平均株価は2,644円下落し、終値は3万1,136円となりました。終値は昨年8月の暴落時を下回る水準、新NISAが始まった2024年以降で最も安い水準です。株式投資をしている多くの人が、含み損を抱えた状況になっていると見られます。

投資初心者の動揺

 SNSなどを見ていると「大きな含み損を抱えて、もう投資をやめたい」、「精神的に限界で、夜も眠れない」など、弱気な投稿が溢れています。私の元にも、「こういう時はどうすればよいのか」、「機関投資家はこういう局面でどうしているのか」といった質問が多数寄せられています。
 今の日本には、投資初心者が多くおられるということでしょう。

投資初心者へのアドバイス

 そして、そうした多くの人が投資を行う上で本来知っておくべき基本的な考え方を、意外と知らずに運用しているようにも思います。プロの投資家や、運用の本質を理解している人が情報発信している場面があまり見られないことも、一つの要因かもしれません。この記事では、そうした意外と知られていない投資の重要なポイントについて説明します。

プロと素人の違い①

 多くの人が「S&P500が大きく下がった」、「日経平均が大きく下がった」、「どこまで下がるんだろう」、「下値余地はどのくらいあるのか」といったことに関心を持っているようです。
 実際、株式市場全体がどこまで下がるか、どこまで行けば割安と判断できるか、そういったことを探る方法がまったくないわけではありません。しかし、私自身は、こうしたアプローチはやめたほうが良いと考えています。

 この点に、プロと素人の違いが表れているのではないかと思っています。多くの人は、「投資で稼いでいる人=すごい」、「稼いでいない人=ダメだ」といった見方をしがちですが、そもそもそれは素人の発想です。投資においては、まったくスキルがなくても、たまたま儲かるということはありますし、スキルがあっても負けることはあります。

リスクマネジメントと再現性

 では、プロと素人の違いとは何なのか。それは「リスクマネジメント」や「再現性」、「勝てる確率の高い戦略に賭ける姿勢」です。
 日経平均がどこまで下がるか、S&P500がいつ反転するか、そうしたことを予想しても、当たる確率は極めて低い。毎年、年始に「今年の年末株価はどうなるか」といった予想がメディアなどで話題になりますが、ほとんど当たりません。
 それを見た素人が、「プロも当たっていないではないか」と言う場面も見られますが、そうではありません。プロは、そうした「当たらないところ」で勝負していないのです。

プロと素人の違い②

 相場が大きく動いたときに、「機関投資家が先回りして仕掛けて売り崩した」などと語る人がいますが、そういうことを言っているのは、ほとんど素人です。
 もちろん、特定の企業の株価に対して空売りを仕掛けるといったことは一部であるかもしれませんが、市場全体に対して売り崩しができるほどの影響力を持つ投資家は存在しません。そして、相場全体を予測して先回りするというのも、現実的には不可能です。

 では、プロの投資家はどのように儲けているのか。

 投資家によって戦略は様々のため「これが正解」という話はできませんが、私が現役の頃に行っていた運用について、少し紹介します。

イールドカーブ戦略

 私は債券の運用を担当していました。債券市場でも、「金利が上がるか下がるか」といった話題に目が行きがちですが、プロはそこを予想してポジションを取るような勝負は、基本的にしません。そういった予想は当たりにくいからです。

 では、どう儲けていたか。

 例えば「イールドカーブ戦略」と呼ばれる方法があります。2025年4月7日、日本の債券市場では、2年国債の利回りが0.5%に近づく場面がありました。0.5%というのは政策金利と同じ水準であり、これは今後2年間、利上げが一切ないという市場の予想を示しています。
 
しかし、日銀のこれまでの説明や、日本の物価・賃金動向からすれば、いきなり利上げが完全に停止するというのはやや考えづらい。つまり、2年国債の利回りは少し下がりすぎている可能性が高い。そうした場面では、2年国債の保有比率を下げ、逆に割安と判断できるような、より長期あるいは短期の債券を組み合わせて保有する。こうしたポートフォリオ調整を淡々と続けていくことで、着実に利益を積み上げていくのです。

 これがイールドカーブ戦略の基本です。

出所)日本銀行

プロの賭けのポイント

 ここで言いたいのは、プロは「市場全体が上がるか下がるか」といった難しい予想をするより、もっと予想しやすく、歪みが生じているポイントにベットしているということです。
 株式ファンドであれば、優秀なアナリストが個別企業を分析し、相場の動きに関係なく上昇の可能性が高い銘柄を見つけて投資する。そういった戦略を取っているのかもしれません。
 プロと素人の違いは、「相場全体が上がるか下がるか」に賭けるような無謀な投資をしていない、という点にあります。

リーマンショックの後、ポートフォリオのリスクをコントロールする方法について何が有効だったのか、振り返る研究が盛んに行われました。その結果、リーマンショックの前後で最も安定したリターンを獲得したのは、年金運用などがよく採用している資産配分を一定に保つ戦略だったとされました。

金融危機時の機関投資家の投資戦略の振り返り

個人投資家でも実践できる戦略

 こうしたプロの戦略は、個人投資家には難しいという意見もあるかもしれません。しかし、個人が最も手軽に「タイミングリスク」を避けられる方法として、「ドルコスト平均法(積立投資)」という有効な戦略があります。
 毎月一定額を淡々と購入していく。これは非常にシンプルですが、理にかなった手法です。

 また、株式であれば、個別銘柄を分析し、市場全体に左右されにくいリターンを狙うという戦略もあり得ます。もちろん、それでも損失が出ることはありますが、「相場の上下」に賭けるよりは、はるかに安定した運用が可能になるでしょう。

自分の仕事や趣味の領域では、自然とトレンドや動きを追い続けている、誰にも負けない強みのようなものがあると思います。仕事や趣味に関連することに興味を持ち、様々な視点で分析を続けることは非常に有益です。

情報収集の具体例と分析の方法、そして分析の実践

総括

 この記事では、「日経平均が上がるか下がるか」といった話題に翻弄されるのではなく、プロがどういった視点で投資を行っているか、特にリスクマネジメントと戦略の再現性について解説しました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


ご参考

私が現役でファンドマネージャーをしていた頃、まさにこうした各国の財務省からプレゼンテーションを受ける側の立場だったからです。ヨーロッパやアジア、中東、中南米など、様々な国の財務省や債券の発行体と、番組で取り上げられていたようなミーティングをたくさん経験しました。

NHKの国債発行チームに見る財務省IRの限界

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