情報と因果関係と陰謀論に関する一考察
オールドメディア報道、SNS、陰謀論、どれも学術論文の前には大差がない
これは私がメディア報道やSNSの情報について説明した際に寄せられたコメントの一つです。この言葉には本当に頷かされました。書いてくださった方は、学術論文に携わる方なのではないかと思います。それほど、核心を突いた、痺れる言葉でした。

実証分析の思い出
今回のテーマにあたって、私自身の学生時代を少し思い出しました。大学院時代には実証分析の論文を書いた経験があります。実証分析とは、「AはBに影響を与えているのではないか」といった仮説を立てて、データを用いてそれを実証するものです。そこには統計学の知識が不可欠となります。
統計学の基礎には「相関関係」と「相関係数」という概念があります。たとえば、トヨタと日産の株価に相関関係があるとしましょう。相関係数が1に近づけば近づくほど、その動きは一致します。反対に0であれば関係はなく、-1であれば真逆の動きをしているということになります。こうした基礎知識は学校で習っていなくても、知っている方は多いかもしれません。
相関関係と因果関係の違い
しかし、実際の世の中には「相関関係があっても因果関係がない」ケースが存在します。例えば、夏場にアイスクリームの売上が増える時期と、溺死事故が多発する時期は一致しています。この2つを単純に並べると、確かに高い相関を示すかもしれませんが、アイスクリームが溺死を引き起こしているわけではありません。どちらも「猛暑」という共通要因によって引き起こされているからです。
それなのに、「溺死者を減らすためにアイスクリームの販売を規制する」となったら、本末転倒です。こうした誤解を「疑似相関」と呼びます。つまり、相関関係があるからといって、それを因果関係と見なすのは早計なのです。
情報の氾濫と仮説の質
実証分析においては、どのような仮説を立て、どのようなデータを用いるかが非常に重要です。こうした統計学の基礎の話は、一見退屈に思えるかもしれませんが、今のように情報が溢れている時代には非常に重要な視点だと感じます。
私自身もYouTubeやSNSを通じて、自分の考えを発信しています。メディアの報道をそのまま伝えるのではなく、物事の要因を考え、自分なりの見通しを持ち、仮説を提示しながら話すことが多いです。もちろん、実証できないことも多いですが、仮説として提示することは重要だと思っています。
これはテレビに出ているコメンテーターなども同じで、彼らもまた仮説を語っている場合が多いのではないでしょうか。
陰謀論との線引き
世の中には多種多様な情報があふれており、中には「陰謀論」として敬遠されがちなものもあります。一方で、多くの人が注目する仮説もあります。これらは一体何が違うのでしょうか。
実は、陰謀論とされる仮説の多くは、「仮説の立て方」に問題があるのではないかと思います。先ほどの例で言えば、夏の溺死事故の増加を「アイスクリーム屋の陰謀」だとする仮説は、あまりに強引です。アイスクリーム販売員の行動と溺死事故の件数に相関があったとしても、そこに因果関係を見出すのは無理があります。これは単なる疑似相関であり、多くの人が直感的にそれを感じ取るため、「それは陰謀論だ」と受け止められてしまうのです。
因果関係の説明
仮説を提示する側が、因果関係を十分に説明できないと、どれだけ重要な内容であっても受け入れられにくくなります。つまり、仮説そのものではなく、それを支えるロジックや証拠の提示が不十分であるがために、「陰謀論」とレッテルを貼られてしまうわけです。
アイスクリームと溺死の関係にしても、「なぜアイスクリームが溺死を引き起こしているのか」をきちんと説明できない限り、その仮説は説得力を持ちません。
発信者と受け手の双方に求められる姿勢
こうした点を考えると、情報を発信する側も受け取る側も、学術論文と同じように、因果関係を正しく理解し、それを意識することが極めて重要であると言えるでしょう。
そして一方で、世の中で「陰謀論」と見なされているものの中にも、実は真実が含まれている可能性もあります。オールドメディアの報道も、SNSの投稿も、陰謀論的な言説も、学術論文という視点から見れば、どれも「仮説の一つ」に過ぎません。
因果関係の説明を丁寧に
重要なのは、どれだけ多くの人に理解される形で因果関係を説明できるかです。そうすれば、陰謀論とされていた情報も、次第に真剣に検討されるようになる可能性があると私は思います。
私自身が話している内容についても、因果関係が不十分だったり、単なる感想だと思われたりすることもあるかもしれません。だからこそ、発信する側として常に因果関係を明確にしようと努める必要があります。様々な情報に触れる中で「因果関係とは何か」を意識することが大切だと感じています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ご参考
日経新聞だけを見ていれば良いと考えている方はほとんどいないと思いますが、大手メディアの情報だけで十分だと考えていると、現在の社会で遅れをとるのは間違いありません。
様々な情報とどう向き合っていくかは、私たちの社会において大きな関心事であり続けると思います。
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