女子サッカー市場の拡大とビジネス面の発展
下記の写真は、2025年7月29日にロンドンで起きた出来事を写したものです。6万5,000人もの人々が集まったということですが、これはデモや抗議活動ではありません。女子サッカーのヨーロッパナンバー1を決める大会「EURO」でイングランドが優勝し、水曜日にロンドンで優勝パレードが行われた際の光景がこの写真です。女子スポーツでこれだけの観客が集まるというのは、なかなか考えにくいことかもしれません。

イングランド女子サッカーの台頭
イギリスではここ最近、女子サッカーの市場が急拡大しており、経済的にも無視できない存在になっています。この記事ではその話題を取り上げたいと思います。
ヨーロッパでナンバー1を決めるサッカー大会「EURO」は、今年スイスを開催国として3年ぶりに行われ、決勝戦は7月27日に開催されました。イングランドはPK戦の末にスペインを破り、2大会連続の優勝を果たしました。2022年の大会でもイングランドが優勝しており、「イングランド黄金期到来」と言われる結果となりました。

サッカーの母国であるイングランドですが、男子代表はこれまで大きな活躍が少なかった歴史があります。女子EUROでの優勝も、1984年の大会創設以来、2022年が初めてでした。長くヨーロッパ女子サッカーはドイツが席巻し、1995年から2013年まで6大会連続で優勝を果たすなど、ドイツの黄金期が続いていました。しかし2020年代に入り、イングランドが一気に頭角を現すようになったのです。
イングランドのスター選手クロエ・ケリー
今回の決勝戦でPKを決め、勝利を引き寄せたのがクロエ・ケリー選手です。前回大会の決勝戦でも決勝ゴールを決めており、イングランドのエース的存在です。彼女は1998年生まれの27歳。ロンドンのアーセナルでキャリアをスタートし、エヴァートンを経て2020年からはマンチェスター・シティで活躍しました。今年7月には古巣アーセナルへの移籍が発表されています。
クロエ選手がシュート決めてユニフォーム脱いでる写真は、セクシーすぎて使えませんでしたhttps://t.co/BNUbd86tyJ
— 【世界経済情報】モハPチャンネル (@MohaP_WorldNews) August 1, 2025
身長168cm、体重59kgと比較的小柄ながら、スピードを武器にするフォワードです。サッカーだけでなく、ファッションブランドのモデルとしても活躍し、人気の高い選手です。昨年結婚し、現在の年俸は30万ポンド(日本円で約6,000万円)以上とも言われています。さらに大手ブランドとのスポンサー契約で年間数億円を稼いでいるとも報じられており、女子サッカー選手ではなかなか見られない高額収入です。
イングランド女子サッカーの人気
日本の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」では、サッカーだけで生計を立てられない選手も多いと言われています。それと比較すると、クロエ選手の収入は桁違いと言えるでしょう。ただ、彼女だけが特別というわけではなく、近年イングランドでは女子サッカー全体の人気が急上昇し、選手たちの収入も増加傾向にあります。
移籍金と観客動員数
この勢いを示す例が移籍金の高騰です。2025年、女子サッカー史上初めて100万ドルを超える移籍金が発生しました。アメリカのナオミ・ギルマ選手がアメリカのクラブからチェルシーに移籍した際に110万ドルが支払われ、さらにカナダのオリビア・スミス選手がリバプールからアーセナルに移籍した際には100万ポンド、米ドル換算で134万ドル(約2億円)が動きました。
なぜこれほど高額になったのかといえば、観客動員数の増加が大きな要因です。イングランド女子リーグ「Women's Super League」の平均観客数は、2011年時点でわずか550人だったのが、2023~2024年シーズンには7,363人まで増加しました。最多観客数を誇るアーセナルでは平均3万人以上、最多試合では6万人を超える観客が集まりました。これは日本のJリーグで観客動員トップの浦和レッズ(平均3万7,000人)と肩を並べる規模です。
市場拡大の要因とビジネス面の発展
観客数の増加に伴い、スポンサー契約や放映権収入も拡大しています。イギリスの大手銀行バークレーズはリーグスポンサーとして1,500万ポンド(約30億円)の契約を結び、テレビ放映権収入も年間15億円規模に達しています。
女子サッカー人気が高まった背景には、男子サッカーのチケットがあまりにも高騰し、庶民には手が届かなくなったことがあります。男子サッカーの試合は会員制で、会員ランクを上げるために多額の費用を払わなければならず、チケットの入手が難しくなっています。こうした中で、比較的手頃な価格で観戦できる女子サッカーが人気を集めたのです。
サッカーとビジネス
サッカーはビジネスとしての側面が非常に強いスポーツです。特にヨーロッパでは、プロリーグだけでなく、育成年代も含めたあらゆるカテゴリーで大きなお金が動いています。
また、SNSの普及によって女子選手の存在が身近になったことも大きな要因です。以前はテレビで取り上げられる機会が少なく、女子サッカーを知るきっかけが乏しかったのですが、今はSNSを通じて選手を知り、応援するファンが増えました。さらに、女子サッカーそのもののレベルが大きく向上し、スピード感や技術が男子に迫る面白さを持つようになったことも人気拡大に寄与しています。
選手が集まるイングランドリーグ
こうした市場拡大を背景に、世界中の女子サッカー選手がイングランドに集まるようになっています。これは男子サッカーにも共通する現象です。日本からも多くの女子選手が渡英しており、2020年から2023年にかけてアーセナルでプレイした岩渕真奈選手をはじめ、マンチェスター・シティの長谷川唯選手、リバプールの長野風花選手など、現在12人以上がイングランドのトップリーグで活躍しています。
イギリスでは代表チームでのプレイ経験がないとビザが取りにくく、移籍は簡単ではありません。しかし、それでもイングランドで得られる収入は日本国内と比べて圧倒的に高く、今後も多くの選手がイングランドを目指す流れは続くと見られています。
女子サッカー市場の未来
サッカーより野球派という方もいるかもしれませんが、女子サッカーがこれほど大きな市場に成長していることは知っておいて損はないでしょう。私はクロエ・ケリー選手を応援しながら、女子サッカー界全体の発展をこれからも注視していきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ご参考
2034年のサッカーワールドカップに向けたサウジアラビアの計画は、壮大でありながら多くの課題を伴っています。
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