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金融機関のガバナンスの闇と圧力の話


 日本の金融機関に潜む闇とでも言いましょうか、精神的に追い詰められて、最悪の結末を迎えてしまう。そんなケースについて解説したいと思います。統計的なデータや経済の話ではありません。あくまで私がこれまでの社会人生活で見聞きしてきたこと、そして最近感じたことをベースにしています。それを踏まえてお付き合いいただけたらと思います。

テーマ選択の理由

 このテーマを選んだのは、最近、モヤモヤと心配になるようなことが身近にあったからです。この業界で20年近く働いてきて、様々なことを見てきましたが、中でも精神的に追い詰められて亡くなってしまう、というようなケースはやはり無視できない現実です。
 それも、実際に私のすぐ近くで3人の方がそういう形で命を落とされました。1つの会社ではなく、複数の会社での出来事です。同じ部署ではなかったにしても、比較的近い距離感にいた方々でしたので、かなりショックを受けました。

エリートの苦悩

 亡くなった3人のうち、2人は20代の独身、もう1人は30代後半で、家庭も子どももありました。いずれも優秀な方々で、日本を代表するような大学を出て、いわゆる金融エリートの道を歩んできた人たちです。
 ただ、その3人に共通していたのは、過剰な業務負担、そして上司からの過度な叱責やパワハラに近い言動でした。人間関係に悩み、会社からのプレッシャーに耐えられなかった、そうした状況が見て取れました。
 
私のようにエリートでもない人間からすれば、「そんな会社、さっさと辞めればいいのに」と思うかもしれません。でも、彼らにとっては「コースを外れる」ということへの恐怖があったのだと思います。世間や会社、家族からの期待がプレッシャーになっていたのかもしれません。

組織の対応

 そしてさらに残念なのが、そうしたことが起きた後の会社の対応です。共通して言えるのは「まるで何事もなかったかのように進む」という点です。部下が亡くなっている。しかも、その原因が上司による精神的な圧力であったことは誰の目にも明らかだったにもかかわらずです。
 実際、その加害的な言動をしていた上司が、後に課長や部長を経て、役員にまで昇格したというケースもありました。つまり、「部下にどう接していようと、上にゴマさえすっておけば出世できる」という空気があるということです。

 そんな組織、どう考えてもおかしいでしょう。でも、それがまかり通っている。そういう現実が、金融機関の中には今も存在しているのです。

表面上のガバナンス

 今の時代、「働き方改革」だとか、「人権に配慮した企業活動」だとか、企業は表向きには立派なことを言っています。でも、いざ問題が起こると、どうやってうまく片付けるかに注力してしまう。問題を起こした人たちを責任ある立場から外すのではなく、騒いだ部下が悪いという方向で収めようとする。
 
これは企業の体質というよりも、そこにいる“多くの人の意識の問題なのだと思います。「自分が巻き込まれたくない」、「面倒ごとは避けたい」、「穏便に済ませたい」、そういった事なかれ主義が、結果として弱い立場の人を切り捨てていく構図をつくっているのではないでしょうか。

ガバナンスを語る側のガバナンス

 最近は機関投資家が「ESG投資」とか言って、企業の環境・社会・ガバナンスを重視していると表明しています。実際に、投資先企業に対して「ガバナンスが甘い」とか、「取締役会の構成に問題がある」とか、いろんな指摘をしています。

出所)経済産業省

 でも、その投資元となっている金融機関自身が、部下が精神的に追い込まれて亡くなった時に、何の対応も取らず、問題のある上司を守るようなことをしている。正直、「どの口が言うんだ」と思うこともあります。人のことを言う前に、自分たちの足元を見てからにしてくれよと、私は本気でそう思っています。

日本の機関投資家が、ダルトン・インベストメンツのように積極的な行動を取れるようになるには、まだ多くの改善が必要です。

フジテレビ問題に見る日本の機関投資家の闇

昔の同僚の連絡

 最近昔の同僚だったAさんから連絡がありました。今の上司から精神的な攻撃を受けていて、非常に苦しいという話でした。Aさんは有名大学出身で、新卒からずっと同じ会社でキャリアを積み、今では課長をしています。いわば順調な人です。
 しかし、その順調さが逆に足かせになっていて、「今さら方向転換はできない」、「今ここで辞めたらすべてが終わってしまう」という思考に陥ってしまっているのかもしれません。社内で誰かに相談できないのかと聞いてみましたが、「そんなことは言えない」という答えでした。Aさんは私と同世代ですが、「自分が悪いんだ」と思ってしまうタイプで、自分を責める傾向が強い。そのような話を聞いて、「人はこうやって追い詰められていくんだな」と実感しました。

過去の状況

 実はこのAさんとは、かつて同じ職場で働いていた時、B君という若手社員が同じように精神的に追い込まれたというケースがありました。その時、私はB君とともに声を上げましたが、Aさんは「問題にしたくない」と言って協力を拒みました。
 その時はそれで終わりましたが、今振り返ってみると、Aさん自身が「事なかれ主義」であったがゆえに、誰にも頼れない環境を自ら作ってしまったのかもしれません。そして今、そのしわ寄せがAさん自身に来ているようにも感じます。

問題の構造への一考察

 こうした話を聞くたびに、もちろんパワハラをする上司が悪い、企業の体制にも問題がある、とは思います。でも、それだけでは片づけられない。見て見ぬふりをする人たち、事なかれ主義を貫く人たち、そのすべてが、この問題を構造化させていると思います。
 
そして何よりも、「そんな人間を偉いポストにつけるな」ということに尽きると思います。マネジメント能力も、人間としての思いやりもない人間が、組織の中で権限を持ってしまう。そんな状態で「ガバナンスが大事です」と言っても、説得力があるわけがありません。

最後に

 この記事ではガバナンスを語る金融機関の闇の部分についてご説明しました。今後も、こうした問題に目を向けながら、自分なりに考えて発信していければと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


ご参考

日本のヘッジファンドである農林中央金庫のガバナンスについて、私は一定の疑問を抱いています。

農林中央金庫の損失と増資の解説

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