就活生とYouTuberに共通する、伝える力
学生の方に金融機関の面接や就職活動について質問を受けることがあります。私自身は就職氷河期に就活を経験し、その後も何度か転職をしていますが、実はこれまで面接で一度も落ちたことがありません。
中途採用の面接では「方向性が合わない」、「お互いの条件が折り合わない」といった理由で採用に至らなかったケースはあります。ただ、新卒の頃から、純粋に「面接で落ちた」ことはないです。

伝える力
私は就活コンサルでもなければ、学生時代に外資系の内定を複数獲得したわけでもありません。そのため、「就活の極意」を偉そうに語るつもりはありません。一方、最近はYouTuberの方から「どうやって面白い動画を作るのか」といった質問を受けることもあります。実はこの話、就職活動の面接と非常によく似ていると感じます。
どう話せば相手に「面白い」、「聞いてみたい」と思ってもらえるか。これは、YouTubeに限らず、面接の場でも同じです。つまり「人を引きつける力」、「伝える力」こそが、どちらにも求められる共通のスキルだと言えるでしょう。
知りたい情報を届けることの大切さ
私は日頃から様々なYouTubeチャンネルを見ています。特に、海外に住む日本人YouTuberの動画はよく視聴します。ただ、その中には「動画本数は多いのにチャンネル登録者がずっと数千人のまま伸び悩んでいる」というケースもあります。
そうしたチャンネルでよく見かけるのが「〇〇に行ってみた」、「〇〇をやってみた」といった企画です。しかし、その内容を見て思うのは「それで一体どうしたの」ということ。訪れた場所がよほど珍しいか、誰もが興味を持つような場所であれば別ですが、多くの場合は日本人にとって馴染みのないマイナーな土地が紹介されているだけだったりします。
もちろん、それが趣味であり楽しんでやっているのであれば問題はありません。しかし「もっとたくさんの人に見てもらいたい」と思うなら、それでは限界があります。どこかに行ったという表面的な事実だけでは、多くの人を引きつけるのは難しいです。
見た情報より知りたい情報
私も旅行や出張先での出来事を話すことがあります。ただし、「〇〇に行きました」と表面的なことを伝えるのではなく、現地で得られた経済情報や、それに関連する内容を調べて紹介するようにしています。場合によっては「現地に行った」とは言わずに動画を作ることもあるほどです。
重要なのは、「行ったかどうか」ではなく、「皆が知りたいと思っている情報を届けられるかどうか」です。視聴者が興味を持ち、価値を感じる話ができているか、それが最も大切なことです。
面白い話
これは鉄道系、旅行系など他のジャンルでも同じだと思います。ただ「行ったことを話す」のではなく、そこから面白い視点や意外な一面を見つけ出して届ける。その工夫ができているかどうかが重要です。
極端な場所に行ってネタにするには、大きな費用や時間が必要になりますし、限界もあります。経済情報を扱う私の動画も「すごい裏情報」を毎回出せるわけではありません。しかし、誰でもアクセスできる情報の中から、切り口を工夫し、興味深い文脈で伝えることはできます。
面接で求められている話
これは就職活動の面接でも全く同じです。
学生時代にどんなことに取り組みましたかという質問に対して、多くの学生が「他の人と違う経験を語らなきゃ」と思いがちです。スポーツで成績を残した、何かの活動で賞を取った、というような「目立つ成果」がないとアピールできないと感じてしまう。
しかし、面接官が重視しているのは、そういった「成果そのもの」ではなく、その裏にある「過程」です。
地味な日常業務の中でも、しっかりと工夫し、違いを出していける人。それが企業で活躍できる人材です。コンビニのアルバイトでも、サークル活動でも、その中で「自分はどう工夫していたのか」、「何を考えて行動したのか」を話せる人の方が、面接では好印象を持たれるでしょう。
日常のヒント
YouTuberを始めたばかりの人がよく「ネタがない」と言います。でも、私は「ネタなんていくらでもその辺に落ちている」と答えます。例えば、ロンドンの道路に空いている穴、水道管の破裂など。普通の人が見たら「どうでもいい」と思うような話題でも、掘り下げていくと社会の仕組みや経済の構造、インフラの課題など、色々なことが見えてきます。
以前、ロンドンに新設された「エリザベス・ライン」のニュースが話題になっていた時、私は「ピカデリーラインにエアコンがついた」という小ネタを取り上げました。一見どうでも良い話ですが、それが英国の財政、インフラの歴史、中央と地方の関係など、より広い文脈に接続されてくるわけです。
普通の経験の伝え方の工夫
就活でもYouTubeでも、奇抜なことをする必要はありません。日常の中にある何気ない出来事を、どう捉えて、どう語るか。そこに違いが出てくるのです。人を引きつける話の仕方には共通点があります。
就活生も、YouTuberも、その視点を持つことで、もっと「伝わる話」ができるようになるのではないでしょうか。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
ご参考
単にお金を儲けるだけではなく、それ以上の何かを提供する。私は、サイゼリヤの経営は素晴らしいものだと感じています。今後ともよろしくお願いいたします。
サイトマップ(目的別)はこちら
