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楽々古事記【28】雉の頓使い

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天若日子(アメノワカヒコ)

アマテラスとタカミムスヒは、また神様を集めて会議をしました。

「どげんしたら、いいっちゃろか?」

アマテラスのその問いに神々がザワついていると、

「天津国玉神(アマツクニタマ)の息子アメノワカヒコを使わしてみらんですか?」

と、オモイカネが口を開きました。

「アメノワカヒコか…。わかった、それで行こか」

アマテラスは、そう答えると、

・天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)

・天之波波矢(あめのははや)

という名の弓矢を用意させました。


「お前がワカヒコか?」

「はい。アマテラスさま」

「この弓と矢をやるけん、葦原中国に行って国譲りの交渉をしてきてくれんやか?」

「はい、わかりました。行ってきます」

「(えらい素直やな…)」

天若日子(ワカヒコ)は身支度を整えて地上に降りると、大国主神に会いに行きました。

下照比売命(シタテルヒメ)

大国主神が娘のシタテルヒメと散歩しているときでした。

ワカヒコが近寄ってきて話しかけてきました。

「あなたがオオクニヌシですか?」

「そうですけど…」

「国譲りの交渉に来たワカヒコです」

「(またか・・・)」

そう大国主神が思っていると、ワカヒコがしどろもどろに聞いてきました。

「そそ、その、と、となりの娘さんは?」

「私の娘のシタテルヒメですが…」

「ほ、ほ、ほう」

「(わかりやすいやっちゃのぉー。顔まっ赤やんか)」

下照比売命(シタテルヒメ)は超絶に可愛かったので、天若日子(ワカヒコ)は一瞬で恋に落ちてしまったようです。

そう思ってシタテルヒメを見ると、そのシタテルヒメも頬を染め、まんざらでもなさそうな感じです。

「(んなら、国譲りはさせない方向で!)」

そう思った大国主神は、ワカヒコと娘のシタテルヒメを結婚させました。

ワカヒコの義父となって逆らえないようにしたのです。

「(スクピーと一緒に造った国なんやぞ! そう簡単に取られてたまるかッ!…まぁ変な神様もおったけどな…)」

8年後

天上界ではアマテラスが、また頭を抱え込んでいました。

「またやん…。今度は8年も音信不通ばい…。オモイカネ、どげんなっちょるんかっちゃ!」

「は、はい…すんません」

「ハァ~」

「えっと…じゃぁ、鳴女(なきめ)を地上にやって、理由を聞いてこさせましょう」

「鳴女? 鳥の雉(きじ)か?」

「はい」

「わかった。早めにね」

鳴女(なきめ)

鳴女は地上に着くと、天若日子(ワカヒコ)が見える高い木にとまって、アマテラスとタカミムスヒから預かった質問をしました。

「ケーン、ケーン、ケンケン」
(おいワカヒコ、お前はなんしよるんか?=の意)

「うるさいなぁー、何だ?」

「ケーン、ケーン、ケンケン」

「しゃーしーのぉ!」

すると、ワカヒコの横にいた世話係「天佐具売(アメノサグメ)」が、

「ワカヒコさま、この雉の鳴き声は凶相です。早く始末を!」

慌ててそう言いました。

「凶相?…そうか、んなら射抜いちゃるけん、見ちょけよ!」

ビシュッ

ワカヒコは、地上に降りるときに授かった弓矢で鳴女を射抜いてしまいました。

鳴女を射抜いた矢はグングンと天高く飛んでいき、高天原にいるアマテラスとタカミムスヒの前まで飛んで行きました。

天之波波矢(あめのははや)

ポトリ・・・

目の前に落ちた血に染まった矢を見たアマテラスが目を見開きました。

「こ、この矢は…」

「うむ。これは確かにワカヒコに授けた矢やな…」

そう答えたタカミムスヒは、その矢をむんずと掴み、

「ワカヒコに悪心があるかも知れんな…。もし悪心が無ければ矢は当たらん。でも悪心があれば、『返し矢』となってワカヒコに当たるやろう」

と言うと、握りしめた矢を地上に向かって勢いよくブン投げました。

ギューーーーン

シュルルルーーッ

グサッ!

グエ~ッ

なんとその矢は、昼寝をしていた天若日子(ワカヒコ)の胸に命中したではありませんか。

そうなのです。

実は、8年もいる間にワカヒコは国譲りどころか、自分が葦原中国のトップになろうと画策していたのでした。

【返し矢】(かえしや)
射た矢を射返されると、自分に命中してしまうということ。
この物語が語源。

今回はこれにて終了なのですが、この話には続きがありますので、簡単に触れておきますね。


瓜2個

天若日子(ワカヒコ)が亡くなったことを知った妻の下照比売命(シタテルヒメ)は大声をあげて泣き崩れました。

その鳴き声は大地を這い、天を駆け、天上界にいるワカヒコの父「天津国玉神(アマツクニタマノカミ)」や、その親族に届きました。

父アマツクニタマが葦原中国で息子ワカヒコの葬儀を行うと、シタテルヒメの兄「阿遅鉏高日子根神(アヂスキタカヒコネ)」が葬儀にやってきました。

このタカヒコネはワカヒコにそっくりだったので、タカヒコネを見た親族は、ワカヒコが生き返った!と思って大喜びしました。

ですが、亡くなったワカヒコと間違えられたタカヒコネは、カンカンに怒って葬儀をしている喪屋をバラバラにし、残骸を蹴とばして帰って行ってしまいました。

とさ。。。


ということで、今回の図と、天若日子(ワカヒコ)が載った大国主神の系図を貼って終わります。

【雉の頓使い】(きぎしのひたづかい)
今回のタイトルですが、「行ったまま帰らない使者」という意味の諺です。
今回の物語が語源。

図① 国譲り失敗編

図② 大国主神系図

ワカヒコは中段あたりです。

北九州市で飲食店などをやっています。
気になる方は下記のプロフィールをご覧くださいませ。

ではでは。。。


次回:【29】建御雷神参上!
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