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楽々古事記【25】さよならの向う側

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五穀と酒

「ねぇスクピー? アイツら、なんしよっちゃろか?」

「なんか、田畑をグチャグチャにしよらん?」

「チョット行ってみよっか?」

「うん、そやね」

二人は、山の麓(ふもと)で田畑をいじくりまわしている人たちのところへ行ってみました。

「なんしよっと?」

「田んぼって、どげんやって作るんかなぁ?っち思ってやりよるとです」

「田んぼ、知らんの?」

「はい、オレらは山に住んじょって、獣を捕って食べたり、山菜を食べたりして生活しとったんで、よぅわからんとです」

「ふーん」

「で、田や畑で穀物を作って食べたら美味しいぞっち聞いたもんで…」

「なぁーんだ、そんなことか。そんなことなら教えちゃるよ」

「えッ! いいとですか?」

「うん、ええよ」

どうやら田や畝を壊したスサノオみたいな人たちではないようです。

安心した二人は、力を合わせて教える事にしました。


オオゲツヒメを斬り捨てた屍から穀物がわんさかと出てきて、その種をカムムスヒが拾い上げ、この葦原中国に授けたことは以前述べましたが、スクナビコナはそのカムムスヒの子ですから、穀物系は、お手のモノかも知れません。
また、大国主神は医療系が得意なので、薬草や穀物の滋養強壮には明るいので、これまたお手のモノなのかもですね。


「よしッ、穀物を収穫したら、みんなでお祭りやろうな!」

少名比古那神(スクナビコナ)がそう言うと、みんなが目をパチクリさせて、

「お祭りっち、酒が出るとですか?」

「うん、当たり前やん」

「お酒っち、どんなんなんですか?」

「…っちゅうか、お前ら酒も知らんのか?」

「はい…出来たら、酒の造り方も…」

と、興味津々でしたし、スクナビコナも呑みたかったので快くOKしました。

収穫祭

村の鎮守の神様の
今日はめでたいお祭り日
ドンドンヒャララ
ドンヒャララ
ドンドンヒャララ
ドンヒャララ
朝から聞こえる笛太鼓

年も豊年満作で
村は総出の大祭
ドンドンヒャララ
ドンヒャララ
ドンドンヒャララ
ドンヒャララ
夜まで賑う宮の森

治まる御代に神様の
めぐみ仰ぐや村祭
ドンドンヒャララ
ドンヒャララ
ドンドンヒャララ
ドンヒャララ
聞いても心が勇み立つ

「いやー、楽しいなぁー!」

「いっぱい収穫できて良かったぁー!」

今まで山に住んでいた者たちは、豊作+酒も入ったこともあって、呑めや歌えの大騒ぎ、みんな赤ら顔で大喜びしました。

「良かったねー、スクピー」

「うん、ホントに良かった」

二人でしみじみと喜びを噛みしめていると、

「どうぞ。山で捕れたモノやけど、食べてください」

と、目の前に何かを焼いた肉を置きました。

「コレ、何の肉なん?」

「これですか? これはウサギの肉です。美味しいとですよ」

ピクッ!

その瞬間、大国主神が固まりました。

見かねたスクナビコナが助け舟を出しました。

「ごめんごめん。このオオクニヌシっちゅーのは、ウサギの肉が食べれんとですよ」

「ウサギの肉が?」

「うん、あのー、そのー、あッ! 宗教上の理由で食べれんとです」

「宗教…。あ…そうですか…」

怪しいヤツを見るような目を向けられた大国主神は、

「(助け舟になっちょらんめーが…あとで見ちょけよ)」

と思ったものの、愛想笑いをしてその場をしのぎました。

約束なしのお別れ

前日の収穫祭の酒が残る中、二人はみんなに別れを告げて旅に出ました。

その旅の途中、大国主神が腰を下ろして休んでいると、スクナビコナが粟の穂によじ登って、グワングワンと穂を揺らしはじめました。

「スクピー、なんしよん?」

「(・・・)」

「危なかろーもん、やめりっちゃ」

「おい、ダイコク」

「な、なん?」

「達者でな…」

パシッ!

ピューーーーン

粟の穂に弾かれたスクナビコナは、海のかなたに飛ばされて行ってしまいました。

「えッ??? どぉーゆーこと?」

何が起こったのかわからない大国主神は、スクナビコナが飛んで行った方を見つめて呆然としました。

「(な、なんで?…)」

どうやらスクナビコナは、常世の国へ帰ってしまったようです。

そのことを理解した大国主神は、少名比古那神と過ごした日々を思い出しました。

ケンカしたこと

仲直りしたこと

一緒に人々を助けたこと

同じ釜の飯を食べたこと

酔って一緒に歌ったこと

温泉のできごと

そして、初めて出会った日のこと・・・

そのひとつひとつを思い出すたびに…、その思い出をひとつずつ振り返るたびに、少名比古那神の笑顔がまぶたの奥に蘇りました。

友を失った寂しさに、たまらなくなった大国主神は、

「スクピーーーッ!」

と、スクナビコナが消えていった彼方に叫びました。

その悲しい声は大空に響き渡りましたが、こだまが返ってくることはありませんでした。

おしまい。


いかがだったでしょうか?
大国主神と少名比古那神の大冒険はこれにておしまいです。
話を面白くするために、他の神話や伝承を加えました。
それは、この楽々古事記を読んだあとに、いろんな神話や伝承に触れると、「神話ってこんなに楽しいんだ」ということを知って頂きたかったからです。
どうか、どうかご理解くださいませ。

動画紹介

私の大好きな葛城奈海さんが、お友達のカエル博士と一緒に「スクナビコナとタニグクの話」をしてくださっています。
なぜ蛙? 名前の由来は? など、非常に楽しい対談ですので、前編と後編を是非ともご覧くださいませ。


【日本志塾・YouTube学園】チャンネル

👇前編
【古事記とカエル】ファンにとって新たな発見?カエル博士が古事記を読み解く!

【日本志塾・YouTube学園】チャンネル

👇後編
【日本神話】『少彦名神』に登場するカエル。実は重要な役割を担っていた!


では、図を貼って終わりますね。

図① さよならの向う側

図② 系図 大国主神①

図③ 系図 大国主神②

図④ 系図 スクナビコナ

図⑤ スクナビコナ引退

北九州市で飲食店などをやっています。
気になる方は下記のプロフィールをご覧くださいませ。

ではでは。。。


次回:【26】名もなき神
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著者:プロフィール

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