楽々古事記【24】湯けむり旅情
最初から読みたい方は、
楽々古事記の一覧マガジン
からどうぞ。
病魔退散
「おい、ダイコク…おかしくねぇか? この村」
「ああ、やけに静かやな」
「チョット見てくるけん、ココで待っちょって」
「うん、気ぃ付けてな」
とある集落に着いた二人は、その不気味な静けさに気味悪く思っていました。
そして少名毘古那神(スクナビコナ)が集落の近くに行くと、家の中から、
「ケホッ、ケホッ…」
という、空咳が聞こえてきました。
スクナビコナは小窓を開けてたずねてみました。
「どーした? 病気か?」
「どちらさまで?」
「通りすがりの旅人だ」
「だったら、早くこの村から出て行った方が…ケホッ…病気がうつりますぞ…ケホッ」
「村の者は、みんな病気なんか?」
「はい、流行り病が蔓延しとるようで…ケホッ」
「そうか」
スクナビコナは急いで大国主神(オオクニヌシ)の元に戻り、
「病気が蔓延しちょるらしいぞ、この村」
「そうか」
「そうかじゃねぇよ、このやろう!」
「なんが?」
「とぼけやがって…。病気っちゅーたら、お前の出番やろーが!」
と、大国主神を急かしました。
急かされた大国主神は、
「そんなに焦んなよ、すぐに片づけちゃるけん!」
と言って、村人に聞き取り調査をして、薬をチョチョイと作って配りました。
薬をもらった村人たちは、日を追うごとに体調が回復し、十日と経たずに元気になりました。
「さっすがダイコク」
「おうッ!」
元気になった村人を確認すると、また旅に出ました。
スクピーピンチ!
「なんかキツそうやな。大丈夫かスクピー」
「だ、だいじょばんかも…」
※だいじょばん=大丈夫ではない。の意
フラフラと歩くスクナビコナを心配した大国主神が、
「この前の村の病気がうつったんやか?」
「い、いや違うみたい。なんかよーわからんけど…」
と、返事をしたかと思ったら、そのまま道端にペタンと座り込んでしまいました。
「おい、スクピー!」
「う、う、う~ん…」
「どんな感じなん?」
「なんか、きちーと」
※きちー=きつい
いろいろと調べてみました大国主神でしたが、
「熱もないし、旅の疲れかもしれんな」
「すまんなダイコク…」
「気にすんなっちゃ。よしッ! 温泉を掘っちゃるけん待っちょけ」
「お、温泉?」
「そッ、温泉🎵」
と言って、さっそくザクザクと掘り始めました。
一時間…二時間…三時間…
大国主神は黙々と掘り続けました。
「ありがとうダイコク。でも、もういいよ。お前がへばるぞ」
「気にすんなっち言いよろーが!。いつもスクピーには助けられちょるけん、こんぐらいは、なんちことないっちゃ」
「ダイコク・・・」
「もうじき温泉が出るはずなんやけど…、ってか、出たぞスクピー!」
大国主神は、とうとう温泉を掘り当ててしまいました。
「やっぱスゲーなダイコクは」
「湯治っちゅうのはメチャクチャ効くけんな。ほらッ」
大国主神は手のひらにスクナビコナを乗せ、そのまま温泉に浸からせてあげました。
「気持ちいいなぁー。ダイコク」
「そやろ」
「お前の手、ずっと温泉堀りよったけん、ボロボロやん」
「もう喋らんでいいけん、黙って温泉に浸かっとけっちゃ」
「(・・・)」
大国主神が掘り当てた温泉で、大国主神の手のひらに乗ったまま、温泉に浸かるスクナビコナ…。
この二人は無言のまま、ゆっくりとした時間を共に過ごしました。
玉の石
「おい、ダイコク!」
その呼びかけに目を覚ました大国主神が、目をこすりながら体を起こすと、大きめの石の上に笑顔で立っているスクナビコナの姿がありました。
「スクピー!」
「おかげで元気になったよ」
「良かったー!」
スクナビコナは、元気になったのが嬉しかったのか、それとも大国主神に元気になった姿を見せたかったのかはわかりませんが、その石の上でピョンピョンと飛び跳ねて、小躍り(こおどり)しました。
「よしッ、オレはもう大丈夫たい。ダイコクは?」
「オレも、あのあとに温泉に入ったし、夜もグッスリ寝たけん、大丈夫!」
「そうか。なら早速やけど、次のとこに行こか?」
「おう!」
「ぅんでもさぁ、ダイコク?」
「ん? なん?」
「なんでお前、二度もくたばったん? そんなに医療が得意なら、自分で治して生き返ったらよかったろーに…」
「そ、そこには触れたらダメやん…」
「なし?」
「だってそれって、読者にはワカチコなんやからさぁ…」
「なんかそれ…」
アハハハハー
笑いあう二人はその温泉をあとにして、そんなくだらない話をしながら、また旅に出ました。
その温泉って…
大国主神が掘った温泉とは、愛媛県にある「道後温泉」のことです。
また、少名毘古那神(スクナビコナ)が小躍りした石も、「玉の石」として道後温泉本館の敷地内にお祀りされていますよ。
道後温泉
※このウェブサイトのトップからは見つけにくいです。
「神代・玉の石の説話」
道後温泉公式エリアガイド
松山市ウェブサイト
「玉の石伝説」
では今回はこれにて終了です。
今回の図を貼っておきますね。
図① 今回の図

図② 系図 スクナビコナ

図③ 系図 大国主神

北九州市で飲食店などをやっています。
気になる方は下記のプロフィールをご覧くださいませ。
ではでは。。。
次回:【25】さよならの向う側へ
一覧:楽々古事記の一覧へ
著者:プロフィールへ
