楽々古事記【17】因幡の白兎
この楽々古事記を読めば、少し難しい古事記の本でも楽々わかるようになる!
最初から読みたい方は、
楽々古事記の一覧マガジン
からどうぞ。
今回より、大国主神の物語に入ります。
【大国主神】(オオクニヌシノカミ)
オオクニヌシと名乗る前は、
「大穴牟遅神(オオナムヂ)」
という名でした。
スサノオの六世孫にあたります。
八十神
のちに大国主神となるオオナムヂには、たくさんの兄がいました。
その兄たちは「八十神(やそがみ)」と呼ばれていましたが、ある日のこと、稲羽(因幡)の国に住んでいる「八上比売(ヤガミヒメ)」に全員が惚れてしまい、皆で求婚しに出掛けることにしました。
【稲羽(因幡)の国】
(いなばのくに)
今の鳥取県。
八上比売(ヤガミヒメ)の名は、鳥取県八頭郡八上の地名に由来すると思われます。
「おい、オオナムヂ」
「兄ちゃん、どげんしたと?」
「今から稲羽に行くけん、みんなの荷物を持ってついてこい」
「うん、わかった」
そうして出発した一行でしたが、オオナムヂは荷物を背負っていたため、八十神たちからは遅れて歩いていました。
白兎
そして、気多(けた)の岬までくると、なにやら泣き声が聞こえてきました。
うえーんえんえん、うえーん
オオナムヂがよく見ると、体の毛をむしられて、肌がヒビ割れて真っ赤に腫れあがった白兎が泣いているではありませんか。
「うわー、痛かろー。どげんしたんか?」
「うわーん、助けてくださーい」
「こりゃ酷ぇな…。なんをしたんか?」
「は、はい。さっき通った方々が、あなたのお兄様たちだと思うのですが…」
「うん、そうたい。八十神の兄ちゃんたちたい」
「チョット事情があって、体の皮が剥がれちょったんですけど、痛いけん、その八十神さまたちに相談したとです」
「で?」
「海水でよく洗って、風がよく吹くところで乾かしたら、早く良くなるけん、やってみーっち言うんけん試したら、この有様です」
【因幡の白兎】(いなばのしろうさぎ)
古事記では「稲羽之素菟」と表記しています。
バカ兎
どうやらその白兎によると、この白兎は沖の向こうの離れ小島に住んでいて、一度、本土(本州)に行ってみたいと思ったようです。
そこで悪知恵が働いた白兎が、海に住んでいるワニザメを呼んで、
「おいワニザメ。お前たちワニザメの一族と、オレたち白兎の一族のどちらの数が多いかを数えようぜ。きっとオレたち兎族の方が多いと思うけどな」
と言って挑発し、離れ小島から本土(本州)の気多の岬までワニザメを並べ、その上を数を数えながら飛び跳ねて行ったそうな。
そして、もう少しで気多の岬に着くところで、白兎が、
「バーカ、オレはただ、本土に行きたかっただけだよーだ。ワニザメのバーカ」
と、嘘をばらしてしまったのが運の尽き…。
怒ったワニザメが白兎を捕まえて、毛をむしり取ってしまったとのことでした。
【ワニザメ】
ワニなのかサメなのか、はたまた他の生き物なのかわかりませんし、そもそも動物ではなく・・・ということです。ワカチコ。
「そして八十神兄さんたちか…」
「はい…すんません」
「とりあえず、真水で体を洗おう。塩はいかんっちゃ」
「はい」
「そして蒲の穂(がまのほ)の花粉を撒いた上に寝っ転がれば、また元通りになるけんね」
「はい、ありがとうございます」
「んで、二度と調子こいたら、ちゃーらんけんな」
「はい」
白兎はオオナムヂに言われた通りにすると、すぐに体が楽になって行きました。
【調子こいたら、ちゃーらん】
調子に乗ったらダメですよ。の意
予告
「オオナムヂさま」
「なぁん?」
「八十神が狙っているヤガミヒメは、あなた様と結婚することになりますよ」
「えッ、そうなん?」
「はい、必ず」
そう言った白兎は、よほど疲れていたのか、深い深い眠りにつきました。
「(眠れるほど楽になったか…。良かった良かった)」
ひと安心したオオナムヂは荷物を背負うと、また八十神を追って歩み始めました。
このあと、大災難が降りかかるとも知らずに…
今回はこれにておしまいです。
が・・・チョット雑談を。
古事記の本の選び方
なんだか偉そうな書き出しで申し訳ないですが、この楽々古事記が終わったら、古事記の本を手に取って読んでいただきたいと述べました。
その本の選び方としては、
入門編→中級編→上級編
と、3冊ほど読むことをおススメします。
※入門編は、この楽々古事記でOKだと思います。
では、どんな内容の本を選ぶのか?…ですが、古事記や日本書紀については、
「歌(和歌など)の解説が丁寧であること」
に尽きると思います。
(語句の解説も多ければ多いほど良いと思います)
古事記では、たくさんの歌が詠まれていますが、古典などを知らない人が入門編から歌をガッツリやるのは気が滅入ると思いますので、中級編以降は是非とも歌の解説で選んでみてください。
(この楽々古事記は入門編として考えていますので、ほとんどの歌は省いています)
歴史を学ぶということは、知識ではなく、
「当時の人々が、どんな恋愛をし、どんなものを食べ、どんな景色を見、どんなことを語らい、どんな夢を見たのか?」
などの情緒風情を感じ取ることが肝要で、そのことを知るには歌がうってつけです。
古事記や日本書紀に出てくる歌や語句の解説を学んだだけでも、それなりにわかるようになりますので、他の歌を詠んだとき(例えば百人一首)、あなたはその当時へタイムスリップできるようになると思いますよ。
(神話の時代に歌なんかねぇだろ! というのはワカチコで♬)
では終わりますね。
図を2枚ほど貼っておきます。
図① スサノオ系図
冒頭でオオナムヂはスサノオの六世孫と述べましたが、スサノオの系図を見て、今一度、確認してくださいませ。

図② オオナムヂ系図

北九州市で飲食店などをやっています。
気になる方は下記のプロフィールをご覧くださいませ。
ではでは。。。
次回:【18】復活のオオナムヂへ
一覧:楽々古事記の一覧へ
著者:プロフィールへ
